アナログちゃんのこっそり映画鑑賞記

自宅でこっそり鑑賞した映画についてぽそぽそつぶやきます。

スピルバーグのデビュー作【激突】タンクローリーに追いつめられる恐怖

激突

激突!スペシャル・エディション [DVD]

原題:DUEL/上映時間:89分/製作年:1971年

 

【あらすじ】

主人公デヴィッド・マンは知り合いから貸したお金を返してもらう為に、待ち合わせの場所へと車を走らせていた。車の前方には、タンクローリーが大量の排気ガスを容赦なく吐き出しながら、のろのろと走っていた。しびれを切らしたデヴィッドは、タンクローリーを追い抜いた。しかし後部に位置したタンクローリーは、それまでにはないスピードを出して追い抜き、再びデビッドの車の前にピタリと付けのろのろ運転。デヴィッドは前の車をもう一度抜きスタンドに入った。デヴィッドがスタンドを出ると、今度は先ほどのタンクローリーが猛スピードで後ろから煽ってくるではないか?この意味不明で奇妙な行動をとるタンクローリーにイラつくデヴィッドだが、時間が経つにつれて自分が狙われているのだと判断する様に・・・。

 

【感想】完全ネタバレ

スティーブン・スピルバーグのデビュー作。砂漠の中の1本道を、ただただひたすらタンクローリーがものすごいスピードで追ってくる恐怖を描いた超傑作だと思います。主人公がしてしまった事は、「目の前をのろのろ走っているタンクローリー排気ガスが嫌だったから、何気に追い抜いた」たったそれだけの事。それがタンクローリードライバーの勘に触ったのか、ものすごい勢いで煽ってきて主人公のデビッド・マンを脅かします。こんな事で逆恨みされたのでは、日常生活の全ての自分の行いをいちいち振り返らなければいけませんよね。カラッと晴れた空とだだっ広い自然を映し出しながら、この閉塞感は何だろう?と思いました。若くしてコレを創るなんて、やはりスピルバーグは天才なんですね。

 

劇中の画像ではありませんが、こんな感じの所です。

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この作品はスティーブン・スピルバーグのデビュー作ですが、この頃からもうすでに彼のイジワル描写が始まっていると思います。大人が困っている時に、無邪気にはしゃぐ子供などがそうですね。スピルバーグらしいなと思います。

また「激突」はもともとテレビ映画として製作されたものです。原作・脚本は「縮みゆく男」などの小説を書いたリチャード・マシスン。彼は映画「地球最後の男(1964)」の原作者でもあります。

不条理な仕打ちに対する恐怖 

激突の面白い所は、とんでもない仕打ちを受けているにも関わらず、それを観て主人公が自分を責めている様にも見てとれる事だと思います。タンクローリーの運転手が時折鳴らす不気味なクラクションは、悪意そのものですね(笑)。特に何もしていない主人公が悪意を持たれる事自体、非常に不条理です。ちょっと追い抜いただけで「気に食わねえ」と仕返しされるのではたまったもんじゃない。どうもこの気の毒な主人公に、感情移入してしまいます。

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 これから一体どうするんだろう?でも非常にすがすがしいラスト

自分の行いを省みる者は若干弱気になり、その様な事を一切考えない者は他人を責めてばかりでどんどん強気になる。例え映画の中とは言えども、モラル・マナー・法律を一切無視して生きていく者に怖いもんなし、みたいな話にはなかなか共感できません。だからこそラストが痛快で良い。車は1台パァにしているし、帰りもどうするんだという所ですが、このすがすがしさは何だろう?もうヘトヘトな筈なのに、見えない敵に勝利して軽くジャンプをする主人公は子供の様に無邪気です。いずれにしても敵が見えないという状況が、如何に窮屈で精神的ストレスを与えるものなのかという事を考えさせられました。

 

 

タイムアクセル12:01

タイムアクセル12:01

タイムアクセル 12:01(字幕版) [VHS]

原題:12:01/上映時間:94分/製作年1993年

 

【あらすじ】

科学研究所の人事部に勤めているバリーは、今一つ仕事が出来ずにクビ寸前。その日の朝も遅刻をし、女上司にデスクの上が散らかり放題だと指摘される。その上博士の部下2人の社員登録を抹消してしまっており、訂正を求められる始末。

バリーは以前から密かに思いを寄せているリサと言う名の女性がいるが、彼女は博士の研究に直接携わっている研究員だった。その日どういう訳かランチを選んでいる時にたまたまリサに声を掛けられたバリーは、舞い上がってしまい上手く話せず、トンチンカンな発言を連発。共にランチを過ごす事は出来なかった。

その日の夕方、バリーが仲の良い同僚と帰宅しようとしていたら、研究所の前でリサを見かける。リサは花屋から赤いバラを買っていた。それにうっとり見とれているバリーと友達だが、その時・・・・。

【感想】ネタバレ全開

『恋はデジャ・ブ』をご紹介したのでそれと類似した映画『タイムアクセル12:01』もご紹介します。奇しくもこの2つの作品の公開年は共に1993年。ほぼ同時期にこの様な類似した作品が公開された事は興味深いです。

 analogchan.hatenablog.jp

 原作は、リチャード・ルポフの「12:01 PM」。またこの「12:01 PM」は1990年に短編映画としても映画化されていて(タイトルは12:01 PM)、これはアカデミー賞の短編映画賞にノミネートされています。

監督は『バーニング』や『ヒドゥン』などで有名なジャック・ショルダー。

いい奴なんだけど結構ダメなトコがたくさんある主人公バリー・トーマスを演じるのは、ジョナサン・シルバーマンです。

 

あらかじめどの様な映画か分かって鑑賞したのですが、始まって20分も経たない内に衝撃的な展開があって「えええええー」って思いました。つまりこの映画は主人公バリーの時間が繰り返される事によって、問題解決の為に役立つ様な仕組みになっています。

 

バリーが2周目のループに入っている時、その事実に気付くのがあまりに遅くてイライラしました。割れた筈の花瓶が元通りになっていたり、昨日と全く同じニュースが流れていたりと色々ヒントが出て来ているのに、二日酔いのせいにしたりしてなかなか気付いてくれません(笑)。研究所のオフィス内では周囲の人の服装は毎回同じなのに、バリーのシャツとネクタイの色だけが毎回変わるのがちょっと切ないです。同じ日が繰り返される内に徐々に物事の真相が明白になっていくといったスタイルなので、退屈したり飽きたりせずに、鑑賞する事が出来ました。

 

最初は要領が悪くて困った人だなと思って観ていたバリーですが、どんどん格好良くなっていくのが分かります。口うるさい女上司に逆切れするシーンなんか最高です。

どうせこいつが黒幕なんだろうと思っていたデンクは、予想に反して正義感の強い良い男でした。バリーには悪いけどもう一周ループして、出来れば彼を救って欲しかったです。

 

ラストはややバッドエンド(意外でした)でありながらも、リサの命を救うことが出来た事からラブラブムードの二人。ちゃんと翌日が訪れた事に狂喜したバリーの表情から、同じ一日を何度も繰り返す事が如何に地獄であるかがよく伝わってきました。

 

(余談)

バリーの持っている目覚まし時計がかわいくて欲しくなりました。こんなヤツです。 

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あとは刑務所に入れられた囚人の役で、『マチェーテ』のダニー・トレホがちょこっと出演しています。バリーが「今日の繰り返し」と嘆くと、囚人は「それがブタ箱暮らしさ」とクールに答えます。シブい。

 

 

 

 

エドガー・アラン・ポー原作 世にも怪奇な物語

世にも怪奇な物語

世にも怪奇な物語 HDニューマスター版 [DVD]

原題:Histoires extraordineires/上映時間:122分/製作年:1967年

監督:ロジェ・ヴァディム(第1話「黒馬の哭く館」)

  :ルイ・マル(第2話「陰を殺した男」)

  :フェデリコ・フェリーニ(第3話「悪魔の首飾り」)

原作:エドガー・アラン・ポー

出演:ジェーン・フォンダピーター・フォンダ第1話

   アラン・ドロン、ブリジッド・バルドー(第2話

   テレンス・スタンプ、サルヴォ・ランドーネ(第3話

 本作はエドガー・アラン・ポーの怪奇幻想小説の3作品を、それぞれ三人の映画監督が映画化したオムニバス作品です。第3話の【悪魔の首飾り】があまりにも恐すぎる事で有名ですが、私個人としては第2話の【影を殺した男】が一番興味深かったです。

 

第1話「黒馬の哭く館」

【あらすじ】

メッツェンゲルシュ・タイン伯爵夫人のフレデリックジェーン・フォンダ)は22才。若くして莫大な財産を相続した。日々自由奔放で、退廃的な生活を送るフレデリック。近くの城には、従兄のウィルヘルムが一人で住んでいたが、両家は数世紀にもわたって犬猿の仲だった。ウィルヘルムは馬や狩猟以外の事にはほぼ無関心だった。

ある日、キツネ猟の為の罠にかかってしまったフレデリックは、近くにいたウィルヘルムに助けを求めた。(かなり上から目線で)。しかしこの出来事以来フレデリックはウィルヘルムの事が忘れられなくなり、遂には彼の城まで自ら出向く。フレデリックは、彼を自分の城に招待するもあっさりと断られる。

それまで好き放題生きてきたフレデリックは、人から拒否された事などなかった。激しい怒りと嫉妬を感じた彼女は、家来にウィルヘルムの厩に火をつける様に命じるが・・・。

【感想】ネタバレあり

わがまま放題やっていたフレデリックですが、裕福であっても自堕落な生活からは何も得るものがないと何処かで分かっていた様にも思えます。しかしそこから脱出する唯一の希望と言っても良い存在の、従兄のウィルヘルムを自分自身のせいで失ってしまった。彼の大切にしていた馬を攻撃するなんて相当なゲス野郎ですが、彼女もまさかウィルヘルムが馬の身代わりになって死ぬとは思っていなかったのでしょう。自業自得ですが、この若さでこの事件は相当にキツイですね。以後、ウィルヘルムの魂が乗り移ったであろう不思議な黒い馬とだけ時間を共にするフレデリック。空虚に流れていく時間を埋めるには、それしか選択肢がなかったのではないかと思われます。

 

しかしおとなしくなったのかと思いきや、あのラストシーンはやはり官能を追及する姿であり衝動を抑える事が出来ない彼女の性格がよく露われていると思います。彼女は結局以前と何も変わってないなと思いました。この有り様では、きっと運良くウィルヘルムが生きていたって、ロクな事ないと思います。

 

第2話「陰を殺した男」

【あらすじ】ネタバレあり

子供の頃からサディスティックな気質を持つウィリアム・ウィルソン。寄宿学校では同級生を苛める問題児。しかしある日彼が好き放題やっているといると「ウィリアム・ウィルソン」と名乗る同姓同名の良き少年が現れ、そこでイジメは中断されます。ウィルソンは、常に善人である方のウィルソンに監視されている様な気になり、それが不快の原因に。

大人になってからも、更にたちの悪い悪戯を試みるウィルソン。しかし今度は容姿がウィリアム・ウィルソンアラン・ドロン)そっくりの善人が現れ、被害にあっている人を助けます。しびれを切らした彼は遂に・・・。

【感想】ネタバレ全開

たまたま点けたテレビで、アラン・ドロンがブリジッド・バルドーの背中を鞭打つシーンを観てしまったのが、この作品との出会いです。なんじゃこりゃー(汗)。その後の展開も見入ってしまいましたが、ラストが更に衝撃的!その後、たまたまドッペルゲンガーを題材にした映画を調べていたら、この作品が『世にも怪奇な物語』の中の1作品だったのだ!と分かりました。

 

自身のドッペルゲンガーと戦うストーリーの中で、悪い人の方が主役の作品は珍しい気がします。後々ちゃんと見返して気付いた事は、ウィルソンの周りの連中も悪事を止めようとしない事。じっと見ているだけで、いけない人達です(笑)。そして良いウィルソンが登場すると、すっと帰ってしまいます。

 

子供時代には寄宿学校を放校となったウィリアム・ウィルソン。二人共が放校になったという事から、この二人は顔は違えど同一人物であるとみなして良いでしょう。大人になっていくにつれてますますサディスティックな趣味がエスカレートしていくウィルソンに対して、善ウィルソンも負けずに現れては悪行を阻止しようと試みます。

 

見所はやはり悪アラン・ドロンと、善アランドロンがフェンシングで対決するシーン。あとはアラン・ドロンとブリジッド・バルドーがトランプの賭けをするシーンです。涙を流した美しいブリジッド・バルドーが、アラン・ドロンに平手打ちを食らわすシーンは、脳裏に焼き付いてなかなか離れてくれません(笑)。

 

第3話「悪魔の首飾り」

【あらすじ】

落ち目であるイギリスの俳優トビー・ダミッドテレンス・スタンプ)は、フェラーリという報酬を条件にイタリア映画の出演のオファーを引き受けます。アルコール中毒であるトビーは、イタリアの空港に降り立った時からもうすでにフラフラ状態。映画製作をする人たちに迎え入れられ、イタリアのオスカーの授賞式へと向かいます。「黄金の狼」という賞を受賞したトビーですが、周囲から明らかに浮いている様子。場の空気に馴染めずついつい酒を飲み過ぎてしまいます。

遂にはスピーチでも「自分は偉大な俳優なんかじゃない、何故私を呼んだのか?」とキレはじめステージから走り去ります。オスカーの受賞会場を後に、トビーは用意されていた約束のフェラーリを受け取りますが・・・。

【感想】ネタバレあり

3作品の中でダントツに怖いです。フェリーニ監督がこんな恐ろしい作品を手掛けるとは・・。主人公であるトビー・ダミッド(テレンス・スタンプ)が白いボールを持った女の子の幻覚を見るのですが、この少女の表情が鳥肌もののおぞましさです。

トビー・ダミッドがフェラーリをゲットしてからは、ずっと何かが起こりそうな不気味な描写続きです。アルコールをさんざん摂取した俳優トビーの目線で、車が暴走する様を鑑賞し続けるのはちょっとつらかったです。

そしてギョッとするラストシーン。意外な展開です。リドリースコット監督作の『悪の法則』のある超ショッキングなワンシーンはこの映画のラストシーンととても似ています。あの恐さはここからきているのかなと思いました。

 

 

恋はデジャ・ブ/1日がとても長い映画

恋はデジャ・ブ

恋はデジャ・ブ (字幕版)

原題:GROUNDHOG DAY/上映時間:101分/製作年:1993年

監督:ハロルド・ライミス

脚本:ダニー・ルービン、ハロルド・ライミス

出演:ビル・マーレイアンディ・マクダウェル、クリス・エリオット

 

【あらすじ】ネタバレします

 小さな田舎町の超マイナーな祭りの取材に、イヤイヤ行かされる事になった売れっ子天気予報キャスターのフィル(ビル・マーレイ)。彼はペンシルベニアの田舎町(パンクスタウニー)に行かなければならないので、とても機嫌が悪いのです。なぜ自分がそんな仕事をしなければならないのか?と言わんばかりです。プロデューサーであるリタは、彼がきっとホテルは嫌だと言い出すだろうと見越して、彼の為にわざわざペンションを用意しています。翌朝目が覚めたフィルは、ウッドチャックが春の訪れを占う祭りに出かけます。中継中のカメラの前でも無愛想で、さっさ終わらせて帰ろうとするフィル。ところがあいにく吹雪の影響で道路が通行止めになり、帰ることが出来ないのでもう一泊する事に・・・。

【感想】途中からネタバレします

大して期待せず鑑賞したのですが・・・。『恋はデジャ・ブ』というタイトルが連想させる映画とは、全く違ったものでした。このタイトルだと、どうも軽いノリのラブコメをイメージしがちです。かと言って原題のグラウンドホッグデイでは、日本人にとっては何の事なのかさっぱり分からず、ぽかんとするばかりですね。

 

主人公のフィルは最初本当に嫌な奴です。そしてこの映画は、この男が徐々に成長していく事を描いた物語です。ただその描かれ方が独特で、そこがこの作品の肝だと言っても過言ではないでしょう。

 

ウッドチャックが春の訪れを占うグラウンドホッグディは、アメリカやカナダで実際にあるお祭りの様です。プロデューサーであるリタは、この町に行く事をとても楽しみにしたりしていてキュートです。フィルは行きの車の中で、ウッドチャックのマネをするリタをバカにしたりして、相当に嫌な奴ですね。あらかじめ彼の為にペンションが予約されていた事からも、普段から何かとわがままだという事がうかがえます。お天気キャスターをしていますが、自分を過剰評価している風な高慢な態度も頂けないです。

 

2月2日の祭りの朝、フィルは6:00に目を覚まします。まだ未見の方はここからのシーンを、少し注意深く観る事でこの映画をより楽しめると思います。目覚ましからは地元のラジオ放送で、その日がグラウンドホッグデイだと言う事が伝えられます。部屋を出て食堂に立ち寄り、祭りへ行くとリタとラリーはすでに来ています。不愛想に取材するフィル。撮影が終わるとさっさと帰ろうとするフィルの気持ちとは裏腹に、3人とも吹雪で帰れなくなってしまいます。長距離電話もつながらず、フィルは「有名人専用の回線を用意しろ」などと、恥ずかしげもなく言います。

 

注意ここからネタバレします

結局昨日と同じペンションに泊まる事に。翌朝目を覚ましてから、意外な展開になっていきます。私はこの2日目の描写が新鮮で一番印象に残りました。カーテンを開けるとまた同じ祭りをやっている・・・。昨日と同じ人に同じ場所で声を掛けられる・・等、何かおかしいぞ的な描写が続きます。ワクワクしながら見ていると、どうやら主人公であるフィルだけ、2月2日が延々とループしている様子。事態がだんだん分かってきて妙に落ち込むフィル。リタに助けを求めますが理解されず、精神科を薦められます。しかししばらくすると同じ日が繰り返されるシステムを利用して、女の人を口説いたり、大金を盗んだり。どうせ同じ日が繰り返されるなら好き放題してやろうじゃないか開き直るフィル。どこまでも悪い奴ですね・・・。

 

コメディですが見方によれば、この同じ日を繰り返すというのは拷問の様で結構おそろしくてキツイです。

 

 私達の人生は、主人公フィルの様に同じ1日を繰り返すことはありませんが、大なり小なり似た様な思いをしているのでは?と思いました。例えば、職場でいつも同じ人と同じ様な内容で口論になるとか。ファーストフードで注文する時どうしてもスムーズにいかないとか。毎回遅刻をする人。ああもうこんな事は、繰り返したくない。そう思っていてもなぜか繰り返してしまう。

この様な心理的ストレスが、同じ1日を繰り返すという形で表わされている様に感じました。だからこそ、この主人公のフィルに共感出来るのではないかと思います。主人公フィルが何よりも望んでいるのは2月3日が訪れる事であり、それは長く長く繰り返された拷問の様な2月2日が過ぎる事を意味しています。フィルは人の役に立つ事をしたり他人を思いやる事で、このループから抜け出す事に成功します。ループする日常的なストレスも主人公フィルと同じやり方で、解決するかもなと思いました。

 

 

あまりの怖ろしさに途中でリタイヤした映画「フローズン」

 フローズン

原題:Frozen/上映時間:93分/製作年:2009年

フローズン [DVD]

あまりのグロさと恐ろしさに最後まで観る事が出来ず、途中で鑑賞をリタイアしたスリラー映画です。

【あらすじ】

ノー天気な3人の若者ダン、ジョー、パーカーは、日も沈み閑散としてきたスキー場で最後にもう一滑りしようとリフトに乗り込む。ところが、彼らに気づかなかったスキー場の係員が、全員帰ったと勘違いしてリフトを停止してしまう。3人は地上はるか15メートルの場所で頼りなく揺れるリフトに取り残されてしまったのだ。しかも運の悪いことに、スキー場の営業が再開されるのは1週間後だった。照明も落とされ、気温がどんどん低下していく中、徐々に事態の深刻さを痛感していく3人だったが…。

出典:映画 フローズン-allcinema

 

【感想(観た所まで)】ネタバレあり

意外と評判が良かったみたいなので、ケーブルテレビで放映されるようになってからすぐに鑑賞。登場人物の3人が雪山のリフトにポツンと取り残される映画って事は、あらかじめ知っていたのですが・・・こんなに恐ろしいとは。

 

4回ぐらい挑戦したのですが、いつもほぼ同じシーンの所で耐え切れず挫折。パチンとテレビを消してしまいます。そのシーンとは、3人の内の1人がリフトから飛び降りるシーン。何て無謀な事を・・・と思っていると、その後の展開が想像以上にエグくて、イスから飛び上がり画面から離れてしまうぐらいの怖さです。映像はかなりグロ、その上基本スリラー映画ですからビビらせ方も半端なく「もうこれはたまらん!」と見続ける事を断念しました(何回も)。ですからこれ以降はどうなってしまったのか分かりませんが、何度もチャレンジはしているので、逆に印象だけは残ってしまっている映画です。

 

そもそも一見楽しげなのですが、最初から3人の関係が妙にギクシャクしていたのが、気になっていました。この類の映画にありがちな、浮かれた男女の若者が怖い目に合う的なストーリーにしては、キャラ設定がペラペラな若者ではなく、比較的地味なあまり浮かれていない人達が出ているのも特徴です。よって少々感情移入がしやすくなっていて、それが怖さを増す原因となりました。

 

しかしこんなトラブルに巻き込まれるとは、この3人はおそらくたまたまこの日の行いが悪かったのでしょう。昼間の内もリフトの係員に無理やり安く乗せてもらったりとかして、ちょっとわがままです。やはり安易に人をなめてかかった態度をとるのは、やめた方が良いですね。これはひょっとしてリフト係員の嫌がらせか?と思ったぐらいです。いずれにせよ最後まで観ていないので何とも言えない所が残念です。

 

 

【スペル】映画感想☆入れ歯が襲ってくる恐怖

スペル

スペル コレクターズ・エディション [DVD]

原題:DRAG ME TO HELL/上映時間:99分/制作年:2009年

監督:サム・ライミ

脚本:サム・ライミ、アイバン・ライミ

出演:アリソン・ローマンジャスティン・ロング、ローナ・レイヴァー

 

ホラー映画が苦手な方にも、比較的おすすめです。

【あらすじ】

銀行の融資窓口担当であるクリスティンは、恋人のクレイとラブラブな日々を送っていた。過去にはダイエット成功経験もあり、仕事にも熱心なクリスティン。支店長からは次長のポストが空いており、出世の可能性もあるとほのめかされる。そんなある日、身なりの汚い老婆(ガーナッシュ)が窓口にやってきた。ガーナッシュはローンの延長を要求してくるが、支店長に相談をした上であっさり申請を却下。クリスティンの足元にすがる様にして何とかならないかと頼み込むガーナッシュだが、動揺したクリスティンは、思わずセキュリティを呼んでしまう。この対応に対して老婆ガーナッシュの態度が豹変する。

【感想】完全ネタバレ

それなりにグロかったり怖かったりするのですが、なぜか笑って楽しめるホラーです。原題はDRAG ME TO HELLですから、私を地獄に連れてって・・ですね(笑)。パッと見た感じではそこまで悪くない人の、ちょっとした不親切。これが原因で、主人公が地獄に引きずり込まれていく様が描かれていて恐ろしいです。

 

クリスティンは自分の出世の足かせになりそうだという理由から、老婆(ガーナッシュ)への融資を断った訳です。実際はローンを延長する事は出来たという事実が、クリスティン自身を苦しめている様にも見えました。

 

もしも完全にローンを延長する事が無理だったのであれば、ガーナッシュさんがこの世のものとは思えない姿でつきまとってきても、もう少し強気で対応できたのかも知れません。

 

しかしサービスをする側の態度として考えれば、クリスティンはすぐにセキュリティを呼んだりしてあれはちょっと失礼ですよ。と思ってしまいます。まあ、老婆の方のマナーもかなり悪いですが・・・・。

 

最後の最後までクリスティンを守り抜こうとする、恋人のダルトン。彼は偉いなぁと思っていると、彼の大好きな趣味によってハッピーエンドを匂わすクライマックスから一気にバッドエンドに転落。なるほど前半のあの部分が、伏線になっていたのね・・・と分かりました。

 

何はともあれ、このガーナッシュさんの描写が非常に凝っていて凄すぎなので、観る価値は充分にあると思います。ガーナッシュさんから飛んでくるものは色々です。入れ歯は口から出てきて単独で襲ってきます。この老婆は何故こんなにしつこいのだろうと、少々呆れますね。入れ歯・ハエ・ゲロ等グロさが怖いというより、不衛生さが怖い作品だと思います。

ガーナッシュさんが昏睡状態に入った時、彼女の家には結構たくさんの人が集まっていました。こんなに人望があるのなら、この中の誰かに助けを求めても良かったのでは?とも思います。いずれにせよ、「人を呪わば穴二つ」とは、この事だなと思いました。

 

 

リミット/低予算で製作されたシチュエーションスリラー映画

リミット

[リミット] スペシャル・プライス [DVD]

原題:Buried/上映時間:94分/製作年:2009年

ワン・シチュエーション・スリラーである上ほぼ一人芝居。閉所恐怖症の方にはあまりおススメ出来ません。

【あらすじ】

 主人公が目を覚ますと、たった1人で箱の中に閉じ込められていました。

【感想】ネタバレ全開

この映画は、約1時間半主人公であるポール(ライアン・レイノルズ)しか出て来ません。いわゆるワンシチュエーションもののスリラーです。箱の中の狭い空間でずっと一人芝居が続き、観ているこちら側も息苦しくなりました。しかしほぼ一人しか出て来ませんから、この人に付き合い感情移入するしかないです。

 主人公ポールの手元にあるものは、携帯電話、オイルライター、酒、薬のみ。更にストーリーが進行していくと、ご丁寧に犯人であろう人物が用意したペンとメモ帳、懐中電灯、ナイフ、ライトをゲットします。

 

ポールはあちこちに携帯電話をかけて様々な助けを求めますが、だらだらとたらいまわしにされたりします。時間と共に携帯電話のバッテリーも消耗しますから、緊急事態にこんな対応されたらキツイですね。箱の中に閉じ込められている緊迫した空気とは裏腹に、安全な地上で電話を受けた人間の悠々とした態度が伝わってきて、観ているこちら側もイラついてきます。

 

 1つ疑問に思ったのは、なぜこの男は自力で脱出しようと試みないのか?と言う事。「くそー」とか大声でわめいて棺らしきものを蹴ったりはしますが、自力で逃げようとする様子はあまりないのです。携帯電話があって他者と連絡が取れるという事は、一見命綱の様にも見えますが、下手な対応をされた日には致命的です。またメンタル面に於いても、主人公の孤独感見捨てられるんじゃないか的恐怖は半端ないと思います。

 

ショッキングな展開が続くクライマックス。主人公はこのまま脱出出来るものと思ってました(笑)。しかしラストの「すまない、マーク・ホワイトの棺だった」には愕然とします。何と言うか1時間半を返せというか・・・。しかし「すまない、マーク・ホワイトの棺だった」には決して笑えないラストであるにも拘わらず、なぜか笑ってしまう所があります。更に言えば妙に明るいエンディング曲が、どうゆう意味だろうととても気になりました。

 

話はそれますが、2015年に放送された「世にも奇妙な物語 25周年記念!秋の2週連続SP」の『箱』というストーリーがこの映画と非常に似ている事が、映画ファンの間で話題になった様です。こちらは女性(竹内結子)が主人公です。またラストのオチは全く違うものとなっています。 この手のものだと、ヒッチコック劇場の『死人の脱走』が面白そうです。いまだに観た事はないのですが、機会があれば観てみたいです。
 

 

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