アナログちゃんのこっそり映画鑑賞記

自宅でこっそり鑑賞した映画についてぽそぽそつぶやきます。

エドガー・アラン・ポー原作 世にも怪奇な物語

世にも怪奇な物語

原題:Histoires extraordineires/上映時間:122分/製作年:1967年

監督:ロジェ・ヴァディム(第1話「黒馬の哭く館」)

  :ルイ・マル(第2話「陰を殺した男」)

  :フェデリコ・フェリーニ(第3話「悪魔の首飾り」)

原作:エドガー・アラン・ポー

出演:ジェーン・フォンダピーター・フォンダ第1話

   アラン・ドロン、ブリジッド・バルドー(第2話

   テレンス・スタンプ、サルヴォ・ランドーネ(第3話

 本作はエドガー・アラン・ポーの怪奇幻想小説の3作品を、それぞれ三人の映画監督が映画化したオムニバス作品です。第3話の【悪魔の首飾り】があまりにも恐すぎる事で有名ですが、私個人としては第2話の【影を殺した男】が一番興味深かったです。

 

第1話「黒馬の哭く館」

【あらすじ】

メッツェンゲルシュ・タイン伯爵夫人のフレデリック(ジェーン・フォンダ)は22才。若くして莫大な財産を相続した。日々自由奔放で、退廃的な生活を送るフレデリック。近くの城には、従兄のウィルヘルムが一人で住んでいたが、両家は数世紀にもわたって犬猿の仲だった。ウィルヘルムは馬や狩猟以外の事にはほぼ無関心だった。

ある日、キツネ猟の為の罠にかかってしまったフレデリックは、近くにいたウィルヘルムに助けを求めた。(かなり上から目線で)。しかしこの出来事以来フレデリックはウィルヘルムの事が忘れられなくなり、遂には彼の城まで自ら出向く。フレデリックは、彼を自分の城に招待するもあっさりと断られる。

それまで好き放題生きてきたフレデリックは、人から拒否された事などなかった。激しい怒りと嫉妬を感じた彼女は、家来にウィルヘルムの厩に火をつける様に命じるが・・・。

【感想】ネタバレあり

わがまま放題やっていたフレデリックですが、裕福であっても自堕落な生活からは何も得るものがないと何処かで分かっていた様にも思えます。しかしそこから脱出する唯一の希望と言っても良い存在の、従兄のウィルヘルムを自分自身のせいで失ってしまった。彼の大切にしていた馬を攻撃するなんて相当なゲス野郎ですが、彼女もまさかウィルヘルムが馬の身代わりになって死ぬとは思っていなかったのでしょう。自業自得ですが、この若さでこの事件は相当にキツイですね。以後、ウィルヘルムの魂が乗り移ったであろう不思議な黒い馬とだけ時間を共にするフレデリック。空虚に流れていく時間を埋めるには、それしか選択肢がなかったのではないかと思われます。

 

しかしおとなしくなったのかと思いきや、あのラストシーンはやはり官能を追及する姿であり衝動を抑える事が出来ない彼女の性格がよく露われていると思います。彼女は結局以前と何も変わってないなと思いました。この有り様では、きっと運良くウィルヘルムが生きていたって、ロクな事ないと思います。

 

第2話「陰を殺した男」

【あらすじ】ネタバレあり

子供の頃からサディスティックな気質を持つウィリアム・ウィルソン。寄宿学校では同級生を苛める問題児。しかしある日彼が好き放題やっているといると「ウィリアム・ウィルソン」と名乗る同姓同名の良き少年が現れ、そこでイジメは中断されます。ウィルソンは、常に善人である方のウィルソンに監視されている様な気になり、それが不快の原因に。

大人になってからも、更にたちの悪い悪戯を試みるウィルソン。しかし今度は容姿がウィリアム・ウィルソンアラン・ドロン)そっくりの善人が現れ、被害にあっている人を助けます。しびれを切らした彼は遂に・・・。

【感想】ネタバレ全開

たまたま点けたテレビで、アラン・ドロンがブリジッド・バルドーの背中を鞭打つシーンを観てしまったのが、この作品との出会いです。なんじゃこりゃー(汗)。その後の展開も見入ってしまいましたが、ラストが更に衝撃的!その後、たまたまドッペルゲンガーを題材にした映画を調べていたら、この作品が『世にも怪奇な物語』の中の1作品だったのだ!と分かりました。

 

自身のドッペルゲンガーと戦うストーリーの中で、悪い人の方が主役の作品は珍しい気がします。後々ちゃんと見返して気付いた事は、ウィルソンの周りの連中も悪事を止めようとしない事。じっと見ているだけで、いけない人達です(笑)。そして良いウィルソンが登場すると、すっと帰ってしまいます。

 

子供時代には寄宿学校を放校となったウィリアム・ウィルソン。二人共が放校になったという事から、この二人は顔は違えど同一人物であるとみなして良いでしょう。大人になっていくにつれてますますサディスティックな趣味がエスカレートしていくウィルソンに対して、善ウィルソンも負けずに現れては悪行を阻止しようと試みます。

 

見所はやはり悪アラン・ドロンと、善アランドロンがフェンシングで対決するシーン。あとはアラン・ドロンとブリジッド・バルドーがトランプの賭けをするシーンです。涙を流した美しいブリジッド・バルドーが、アラン・ドロンに平手打ちを食らわすシーンは、脳裏に焼き付いてなかなか離れてくれません(笑)。

 

第3話「悪魔の首飾り」

【あらすじ】

落ち目であるイギリスの俳優トビー・ダミッドテレンス・スタンプ)は、フェラーリという報酬を条件にイタリア映画の出演のオファーを引き受けます。アルコール中毒であるトビーは、イタリアの空港に降り立った時からもうすでにフラフラ状態。映画製作をする人たちに迎え入れられ、イタリアのオスカーの授賞式へと向かいます。「黄金の狼」という賞を受賞したトビーですが、周囲から明らかに浮いている様子。場の空気に馴染めずついつい酒を飲み過ぎてしまいます。

遂にはスピーチでも「自分は偉大な俳優なんかじゃない、何故私を呼んだのか?」とキレはじめステージから走り去ります。オスカーの受賞会場を後に、トビーは用意されていた約束のフェラーリを受け取りますが・・・。

【感想】ネタバレあり

3作品の中でダントツに怖いです。フェリーニ監督がこんな恐ろしい作品を手掛けるとは・・。主人公であるトビー・ダミッド(テレンス・スタンプ)が白いボールを持った女の子の幻覚を見るのですが、この少女の表情が鳥肌もののおぞましさです。

トビー・ダミッドがフェラーリをゲットしてからは、ずっと何かが起こりそうな不気味な描写続きです。アルコールをさんざん摂取した俳優トビーの目線で、車が暴走する様を鑑賞し続けるのはちょっとつらかったです。

そしてギョッとするラストシーン。意外な展開です。リドリースコット監督作の『悪の法則』のある超ショッキングなワンシーンはこの映画のラストシーンととても似ています。あの恐さはここからきているのかなと思いました。