アナログちゃんのこっそり映画鑑賞記

自宅でこっそり鑑賞した映画についてぽそぽそつぶやきます。

映画【ターミナル】空港に住む羽目になった男

ターミナル

ターミナル (字幕版)

原題:THE TERMINAL/上映時間:129分/製作年:2004年

【あらすじ】ネタバレあり

ニューヨーク、JFK国際空港。この日、ビクター・ナボルスキーは、はるばる東ヨーロッパのクラコウジアという小国からある大事な約束を果たすためにやって来た。だが、いざ入国しようとした矢先、彼の国でクーデターが発生し、事実上国家が消滅してしまう。これによってパスポートが無効となった彼は、アメリカへの入国を拒否される。しかも情勢が安定するまでは帰国することもできず、空港内に完全に足止めされてしまう。英語も分からず通貨も持っていない彼は、やむを得ずこのターミナルの中で寝起きしながら事態が改善するのを待つのだったが…。

映画 ターミナル - allcinema

 


ターミナル - 予告編

【感想】ネタバレ全開

全体的に現実感のない映画である事は否めませんが、良い作品だったと思います。

主人公であるビクター・ナボルスキーは英語が話せないのにたった一人でアメリカへ行き、通訳もおらずしどろもどろ。

そもそも彼がすんなり空港を無事に出る事が出来たとして、あの語学力でジャズミュージシャンにサインを求める事が出来たかどうかも怪しいですね(笑)。しかし言葉が通じないのって、観ていてこんなにイライラするんだなと思いました。

 

そんな具合で映画が始まってしばらくは、イライラしっ放しでした。空港の税関国境保護局の職員は不親切で、ビクター・ナボルスキー(トム・ハンクス)との会話は全くかみ合わない。少なくとも彼の国ではとんでもない事が起こっている訳ですから、もう少し丁寧に説明すべきだと思います。通訳を呼んで複雑な事情をきちんと彼に伝えるとか。事情も分からないままパスポートを取り上げられた挙句、ポケベルとテレカ、食事券をポンと渡されて空港に放り出されるビクター・ナボルスキー。これはあんまりだと思いました。ナボルスキーは、具体的な事情が分からないまま、空港のテレビのモニターで自国の事情を見てしまって、そりゃもう大パニックですよ。

 

そんな時に限って人々は皆不親切で、主人公はドジを踏んでばかり。周囲の冷たすぎる人々には、悪意すら感じます。これはまたスピルバーグの意地悪描写が始まったな、という感じです。彼一人が空港で立ずさんでいて、周囲の人は皆自分の目的の方向にさっさと歩いているカットが印象的です。

 

物語が面白くなりはじめ、安心して観る事が出来る様になったのは、ナボルスキが散らかったカートを元の位置に戻す事で、25セント稼ぐ事が出来るのを知った頃から。それで、何とかやっとバーガーを買って生活していける様になります。更に入国審査官トレース(ゾーイ・サルダナ)に惚れた男が、彼女に毎日会う機会のあるナボルスキーに頼み事をします。ギブ&テイクの関係が築ける協力者が現れた事で、彼はようやく日々の食事にありつける様に。

 

ナボルスキートレースに毎日近づいて行き、あれこれ質問するのを見るのは楽しかったです。またナボルスキーの方にもお目当ての女性(キャサリン・ゼタ=ジョーンズ)が出来、空港に住む事がちょっとだけ楽しくなってきた様子。キャビンアテンダントの彼女は39歳という設定ですが、全然そう見えない(汗)。

 

更にどういう訳かペンキを塗るのが得意だった彼は建設業にスカウトされ、ちゃんとした仕事にありつく事が出来る様に。次第に空港で働く人々と親しくなっていくナボルスキー。

 

物語の終盤ナボルスキーは、ニューヨークへ出向く事が出来る様に。最初はあんなに冷たかった空港の人々から温かい支援を受けて、やっと目的を果たす事が出来るナボルスキー彼が空港を出た直後のイジワル保護局長の中途半端な態度がこれまた、イマイチ良く理解出来ませんでした。

 

想像していた映画とは違っていましたが、さすがはスピルバーグ。中だるみをしたりだらだらと感じるシーンは少なく、なんだかんだ言っても130分はあっという間でした。

 

この作品は、フランスのシャルル・ド・ゴール空港で18年間過ごす事になったメフラーン・ナーセリーさんの実話からインスピレーションを得て制作されたと言われています。

 

さてこの映画に出て来るJFK空港内は、驚く事に全てセットです。なぜこの様な巨大なセットが制作されたのかというと、当時空港で撮影許可が下りなかったからの様です。更に主人公の国であるクラコウジアも、架空の国です。ビクター・ナボルスキーが喋っているクラコウジア語はトム・ハンクスがただデタラメに言っているだけだそうです。なるほど、何処かリアリティがなく、それが面白い感じになっているのは、そのせいかなと思いました。それにしても、とても良く出来た素晴らしいセットです。歩いている人も全部エキストラって事ですね。エスカレーターも、ショップも全部セット。31アイスや日本の吉野家も出て来ます。まるで本物の空港です。更にエンドクレジットも凝っていて、最後まで退屈させない作りになっているなと思いました。