他人様の夢の中で右往左往【インセプション】映画感想
原題:INCEPTION/上映時間:148分/製作年:2010年
- 監督:クリストファー・ノーラン
- 脚本:クリストファー・ノーラン
- 撮影:ウォーリー・フィスター
- 美術:ガイ・ヘンドリックス・ディアス
- 出演:レオナルド・ディカプリオ、渡辺謙、ジョセフ=ゴードン・レビット、エレン・ぺイジ、キリアン・マーフィー、トム・ハーディー他
【あらすじ】
未来では他人様が寝ている間にその夢の中に潜り込み、アイデアを盗む企業スパイが活躍していました。コブ(レオナルド・ディカプリオ)は、その中でも凄腕のスパイで、国際指名手配犯として追われる身となっています。更にコブは自分の妻の殺害容疑も掛けられています。そんな折コブは、サイトー(渡辺謙)からこれまでに経験した事のない仕事の依頼を受けます。それは人の寝ている間にアイデアを盗むのではなく、植え付ける「インセプション」というもの。これを引き受け成功すれば殺人容疑を抹消してもらえる上に、子供達とも会う事が出来る。迷った挙句、新しい試みに挑戦するコブですが・・・。
【感想】ネタバレします
劇中で渡辺謙は「斉藤」でも「さいとう」でもなく、「サイトー」と呼ばれています。そこがちょっと面白かったです。
この作品は『パプリカ』と酷似している事で有名ですが、すいません『パプリカ』を観てません(汗)。
監督は、『プレステージ』、『インターステラ―』などのクリストファー・ノーラン。SF大好きで、CGをあまり使わない監督としても有名です。
主役のコブを演じるのはレオナルド・ディカプリオ。この他にもジョセフ・ゴードン=レヴィットやキリアン・マーフィー、トム・ハーディーらが出演しています。
ターゲットとなる人を眠らせてそこに犯罪者チームが潜っていく、というアイデアが非常に良いと思いました。私自身の好みとしては、一番最初に潜った階層の映像が一番好みです。雨が降っていて路面を電車が凄い勢いで走っていて、犯罪チームたちはそこで右往左往します。最後の方の雪景色のスキーアクションシーンは、007を明らかに意識した作りになってるなと思いました。
時間が無くなるとまた誰か一人が眠り、更に深い階層へ潜り込んでいく斬新な作戦で時間稼ぎをしていくイケメン犯罪チーム。この発想には1本取られたなという感じです。この仕事の依頼者であるサイトー(渡辺謙)もチームに参加します。大企業のトップなのに大変ですね・・・。同じ日本人だからかも知れませんが、どうも気になって渡辺謙ばかり目で追ってしまいます。(2014年のハリウッド版ゴジラの時も、そうでした。)
それとこのチームの人達はなんだかんだで、へまをする事が多いです(笑)。豪華キャストと一流スタッフで制作されたSF超大作でありながら、何処かしらジャンル映画の臭いがするのはそのせいかも知れません。また未来の犯罪者という設定だからかも知れませんが、つるっとしたイケメン揃いで怖そうな人が1人もいません。
「キック」で夢から覚めるっていうのは、普段落ちる夢を見た時に蹴る感じに似てるなと勝手に解釈しました(笑)。また今ここで起こっている事は現実なのか否かを判断する時、コブはコマを回します。日常的に言えばこれは、夢の中でほっぺたをつねるのに似てる気もしなくはないですが。今ここにある世界が現実かどうかが分からない系の映画は、観終わった後も頭の整理が出来ず、チンプンカンプンになるのですが、なんだかんだ言って興味が湧き、結構観てしまいます。
今生きている世界が夢やイメージで作られた世界なのか、現実なのか分からない作品は『トータル・リコール』や『惑星ソラリス』などがありますが、インセプションの場合、夢の中で更に夢を見るので複数階層の世界が出来上がり、そこがややこしくも魅力的に感じました。
とにかく映像表現がスタイリッシュなので、それだけでも十分に観る価値はあったかなと思います。
今度のノーラン監督の新作『ダンケルク』の予告編です。
日本での公開は2017年9月9日です。