アナログちゃんのこっそり映画鑑賞記

自宅でこっそり鑑賞した映画についてぽそぽそつぶやきます。

映画感想【スターシップ9】完全ネタバレ

スターシップ9(字幕版)

原題:Orbiter 9/上映時間:95分/製作年:2016年

製作国:スペイン・コロンビア合作

監督:アテム・クライチェ

脚本:アテム・クライチェ

出演:クララ・ラゴ、アレックス・ゴンザレスベレン・ルエダアンドレス・パラ他

 


『スターシップ9』予告

 

 

スターシップ9【あらすじ】一部ネタバレ

エレナはまだ見ぬ未知の星を目指して、一人恒星間飛行を続けていた。一緒に飛び立った両親は既にいない。
近未来、過度の公害に汚染された地球には未来はなく、人類は新しい星への移住を必要としていた。
ある日、スペースシップの給気系統が故障し、エレナは近隣のスペースシップに救援信号を送る。
その呼びかけに応えて姿を現したのが、エンジニアの青年アレックスだった。
一目見て、互いに恋に陥る二人。
しかし、エレナはこの飛行に隠された秘密を知らなかった。それは、人類の未来を賭けた高度な実験だった。
二人はなぜ出会ったのか―?!

映画「スターシップ9」公式サイト

 

スターシップ9【感想】完全ネタバレ

宇宙船でひとりぼっち、とか宇宙のどこかの星で一人ぼっちなどの映画作品を観るのが好きです。パッセンジャーを観た時は「おおっー」と思いましたが、こちらを鑑賞するとパッセンジャーと同等か、それ以上に面白く感じられました。

 

パッセンジャー (字幕版)
 

 

エレナは役を演じるのはクララ・ラゴ。技術士のアレックス役はアレックス・ゴンザレスです。パッセンジャーに比べると、メジャーな俳優が出ている訳ではありませんが、充分に楽しめました。アレックスはやけにそっけないと言うか、冷たいと言うかちょっと感じが悪いぐらいなのですが、その後の展開を観ていくとなるほどこの対応にも説明が付き、この男性が如何に誠実であるかが伺えます。

 

完全にネタバレします。◆400デイズやルームも一部ネタバレします。

 

最近は何でもかんでもディスプレイで確認出来る時代ですが、エレナの様な境遇の場合、自分の目や足を使って現状を確認する事は、極めて重要になってくるなと改めて思いました。

 

これはダイハード4.0を観た時も思ったのですが、テレビやモニターに映し出されるものを100%信じたらダメですね。ただ劇場公開時鑑賞した時には、まだそんなに危機感を感じなかった。最近になって観返すと、あーって思いました。確かブルース・ウィリス演じるジョン・マクレーンが店から飛び出してひたすら走って、現場の状況を確認しに行くのですが、その極めて原始的なやり方が良い。もうあのシーンだけでも、大満足です。

 

でもその為には体力が必要です。その点エレナは毎日欠かさず筋トレをしているのですが、あまり役に立っているとは思えない。

 

主人公エレナは生まれた時から、ずっと宇宙船の中にいます。彼女には両親がいたのですが、酸素の量が足りなくなった事から彼女を生かす為宇宙船から去った。そんなメッセージの記録映像が残っています。

 

宇宙船から出ると生命の危機に遭遇するので、空かない窓やモニターで現状を確認するしかありません。とても考えられない。もしも自分の部屋の外側の状況をモニターでしか確認出来ないとなると、もうそれだけで相当なストレスですよ。きっと。通常夜中でも雨の音がしたら、何気に窓を開けてべランダから様子を見たりしている訳で。宇宙船だと窓があっても開かないので、外の景色が本物かどうか確認出来ない。

 

更に彼女は、ずっと一人でいる事にも慣れきっている様子。でもやっぱりエレナにとっては技術屋が修理に来るなんて事が、超ビッグイベントなのです。これが何とも切ない。

 

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画像引用:https://movie.jorudan.co.jp/cinema/33475/

 

そうしてイケメンエンジニアが乗ったカプセルが、エレナの宇宙船に連結する時の様子が、モニターに映し出されます。それを黙って見つめるエレナ。

 

しかしこのエンジニアアレックスは、綺麗な若い女性を目の前にしているのに、憂鬱そうでぶっきらぼうなんです。一方エレナの方は、両親がいなくなってからずっと孤独を抱えたまま。その上次に誰かと会えたとしても、20年後ぐらいと思っている訳です。

 

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画像引用:https://movie.jorudan.co.jp/cinema/33475/

 

と言う理由から、彼のベッドに忍び込んで誘惑します。すると彼も彼女を受け入れ、一線を越えた関係になります。しかしアレックスは業務が終了すると、またも無愛想にあっさり帰ってしまう。この男ツンデレ?でも違いました。

 

ここから彼が憂鬱な本当の理由が、明かされる。彼は宇宙服を着てエレナの宇宙船から出ますが、それは単なる格好に過ぎない。エレナの宇宙船を出ると、そこは通路になっていてエレベーターに乗ります。扉を開けると、見慣れた地球上の景色が・・・。彼は林の中をすたすたと歩き、車に乗って帰ります。えええっつーー。

 

後々この映画の他の方のレビューなんかを読んでいると、皆さんの反応が実にクールで驚きました。確かにこの手の話は割とありますが、ここで素直にビビった自分は、ホントバカなんじゃないかと。

 

という訳でそこは地球でした。エレナはオービター計画の、悪く言えばモルモットだった。人類は地球を離れ、新しい星セレステへの移住を計画していた。エレナは15年後に宇宙船がデビューした時の、飛行シュミレーションの実験台なのです。

 

この様な境遇の人があと9人いて、それぞれ番号の付いたシュミレーターに閉じ込められています。彼らは自分を宇宙への移民だと思い込んでいるが、セレステへ到着する事はない。彼らは本当の事を知らないまま、死ぬまで孤独に地下で過ごすのです。

 

アレックスはこのプロジェクトに参加する科学者でした。彼はこの飛行シュミレーションにより、数百万人の命が救えるというメリットしか見ていなかった。しかしエレナと一夜を過ごしたおかげで、すっかり情が移ってしまいます。どんなに科学が進歩しても人の気持ちは不確か・・・

 

と言う訳で彼は組織のルールを破り、再びエレナの所に行きます。エレナはきっと「えっ、そんなに簡単に来れるの?」と驚いた筈です。そして彼は彼女の置かれている状況を、パパッと手短に話しました。

 

そんな訳でエレナはエンジニアの彼と外の世界、即ち地上に逃亡します。初めて彼女が宇宙船(と思っていた)の世界から抜け出し、地球の景色を観るシーンがあります。この感じは『ルーム』で、ジャックが初めて外の世界と触れるシーンと似ていると思いました。

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また彼と同じ様に、太陽の光とかに目や体がちゃんと適応するのかなと不安にもなりました。

 

 

スターシップ9の監督インタビューで、アテム・クライチェはこの様に話しています。

この映画のコンセプトは、閉鎖されている場所から初めて表へ出ていくのが最初のイメーシで、そこから、そのイメージを元に起こるストーリーの中で「人間としての葛藤」をコンセプトにしようと考えました。

http://cinema.u-cs.jp/interview/orbita9-hatem-khraiche/

 

 

そして着いた先は彼の家。アレックスは、ここで彼女を匿うつもりです。

 

その後彼はセラピストシルビアに、その事を話すのですが。未来ではセラピストも顔を見せず、狼のポリゴンに向かって話すスタイルになっていました。しかしその女性が、ホントにいい感じの人です。 

 

ここからも中だるみせず短い尺の中で、次々とテンポよくお話が展開します。以下ポイントを、ご紹介します。

 

エレナにとって更にショッキングな事実が!彼の部屋の資料から判明

エレナは実はクローンだった。アレックスはその事を黙っていたのですが、彼の留守中に彼女は自分自身の資料を見つけてしまいます。そんな大事なもん、鍵をかけるなり隠すなりセキュリティしっかりしなさいよアレックス。

 

犠牲を払ったと思っていた、エレナの両親が生きていた

エレナの両親はエレナを生かす為に宇宙船を去ったという話でしたが、これも当然嘘でした。エレナが両親を訪ねると、2人はびっくり。こんな気まずい事は、そうそうありません。両親と思っていた人達は、軍の科学者だったのです。

 

逃げ出したは良いが、エレナは地上で生き延びられない体

クローンであるエレナの肌は地球上の日常生活に適応せず、生存する為にはあの地下の偽宇宙船に戻るしかない。これじゃ、逃げて来た意味ないじゃん。衝動的に動いたアレックス、予習不足。

 

エレナとアレックスを匿おうとしたセラピストが、射殺される

セラピストは、エレナの目の前で射殺されます。私は最初このシーンに、不満を持ちました。ラストがあの着地なら、彼女が殺される必要はなかった。しかしエレナの心理的葛藤と成長を描くには、多分このシーンが必要なのです。このショッキングな出来事により、エレナはアレックスが同様に殺される事を恐れ、自ら科学者達に捕まる様に仕向けます。更に言えば彼女はクローンであっても人と同じ心を持っていると、観客に証明されるという見方も出来ると思います。

 

天気は予報でなく、気象計画に変わっています

来月は水曜の夜に雨を降らせます。とかラジオで言っています。またアレックスは、やたらとヌードルを食していました。ブレードランナーっぽいです。

 

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桁外れにスケールが違うだけで中身スカスカのSF映画よりも、むしろリアリティがあって良かったです。この映画の良い所は多分、目新しい設定や斬新なSFのルールだけではない所。入口はジャンル映画であっても、着地は予想外の方向へ導かれている様な気がします。

 

ストーリー後半でセラピストを殺した残忍な科学者達が、エレナとアレックスを保護したのは、おそらくエレナが妊娠していたからに過ぎません。彼らを黙らせたのは、人とクローンのハーフという目新しい研究。よって実験対象になるのなら、彼らを生かしエレナに新しい境遇を与えた。結局エレナは元のさやに戻り、アレックスも地上にはもう住めない。

 

そしてラストのワンカット。

 

決してハッピーエンドだとは言い切れないですが、それにしてもアレックスはやれる事はした。彼は何とかエレナを守れるギリギリラインの折衷案を出し、この件に決着をつけたから素晴らしい。よって温かい気持ちになれるエンディングに、仕上がっていると思います。

 

 

 (余談)

結局宇宙船でひとりぼっち映画かと思っていたら、宇宙に行かないSF映画の方でした。宇宙に行かないSF映画では、迷作ですが400デイズなどもありました。こちらは宇宙飛行士の適性を測る為、地下にあるモロ宇宙船そっくりな施設の中へ潜り込むといった内容です。途中までは本当面白いのですが、彼らが地上に出てからの話がぽかん・・・です。惜しい。製作途中で、予算が尽きたのではという噂もありました。

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スターシップ9(字幕版)

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