アナログちゃんのこっそり映画鑑賞記

自宅でこっそり鑑賞した映画についてぽそぽそつぶやきます。

ザ・スクエア 思いやりの聖域【映画感想前編】 完全ネタバレ

ザ・スクエア 思いやりの聖域

原題:The Square/上映時間:151分/製作年:2017年

ザ・スクエア 思いやりの聖域(字幕版)

監督:リューベン・オストルンド

脚本:リューベン・オストルンド

出演:クレス・バング、エリザベス・モス、ドミニク・ウェスト、テリー・ノタリー

 

※このレビューは『フレンチアルプスで起きたこと』も少しネタバレしています。

ザ・スクエア 思いやりの聖域』この映画のこと、すっかり忘れていました。そんな映画がごまんとあってゾッとします。以前は鑑賞した映画をいちいちメモしていたのですが、最近うっかり忘れていたりすることも多くて(汗)。この映画は、去年やっと鑑賞したのですが『フレンチアルプスで起きたこと』以上に風刺が効いてるなと感じました。

 

ザ・スクエア~』は、鑑賞前に上映時間が151分と知り「うわっ長いな~」と思ったのですが、実際観てみると風刺の効いたブラックコメディが心地良く、ずいぶん短く感じられました。『フレンチアルプス~』の方は、問題のシーンが衝撃的ですが、それ以降の場面は割と単調で山場が少ないと言えなくもありません。確かに夫が泣き出すシーン、ラストシーンなどは衝撃的ですが...。それに比べこの『ザ・スクエア~』は、意地悪で不快なシーンのオンパレードなので退屈な場面がほとんどないのです。

  

ザ・スクエア 思いやりの聖域】の概要


第70回カンヌ国際映画祭パルムドール受賞作!映画『ザ・スクエア 思いやりの聖域』予告編

監督は リューベン・オストルンド

『 ザ・スクエア 思いやりの聖域』は、2017年に公開された(日本では2018年に公開)スウェーデンの風刺映画です。スウェーデンと言えば、福祉大国という印象が強いですが、劇中では以外にも貧富の差の激しさが目立ちます。またこれらの格差が生む社会問題や、人々が他人に無関心であることは意外な一面であり、イメージ通りではないスウェーデンを見せられた気がします。

日本も一見住みやすそうな国であり、しかしその実こうですよ...みたいなところがありませんか?まぁ、自分はそれでも日本は住みやすい国だと何となく思いますが。そんなこんなでスウェーデンの人々のいやぁ~な側面を鋭く描いた監督はお馴染み『フレンチアルプスで起きたこと』で一躍注目を浴びた、リューベン・オストルンドです。ザ・スクエア 思いやりの聖域』は第70回カンヌ国際映画祭パルムドール、バルカン賞をはじめ、それ以外にもかなりたくさんの賞を受賞していて驚きました。

・ボストン映画批評家協会(外国語映画賞

・シカゴ映画批評家協会(外国語映画)

放送映画批評家協会賞外国語映画賞

などなどです。

オストルンド監督の意向

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画像引用:https://www.facebook.com/TheSquare/

オストルンド監督は現代の人々の他者への無関心を憂いて、この映画を製作するに至ったようです。またこの映画が製作されるより前に、「ザ・スクエア」というインスタレーションが実際に展示されています。この映画には、誰かが困っていても、他の誰かが何とかするだろうと皆が思ってしまい、結果誰も助けない...。このような傍観者効果を改善したい、という思いが込められているようです。また監督はこうも話しています。

私はアート作品というより、横断歩道と比べられるような存在として「ザ・スクエア」をつくりたいと思ったんだ。横断歩道っていうのは、ファンタスティックだよ! 道路に線を引くだけで、「車は歩行者に注意しなければならない」という同意、新たな社会契約をつくりだしているんだからね。

横断歩道がファンタスティック(汗)( ;・_・) え?

監督の詳しいインタビュー記事はこちらです。

↓   ↓   ↓   ↓   ↓

https://i-d.vice.com/jp/article/akwdek/team-hurricane-two-years-later

 

※ 完全ネタバレ記事ですので、鑑賞済みでお読みいただくことをおすすめします。面白いと思った所は全て記していきますので、未見の方はくれぐれもご注意下さいますようお願いいたします。

ザ・スクエア 思いやりの聖域】の主な登場人物〈ネタバレあり〉

どの人物にもあんまり好感が持てないのが本作の特徴。しかしその反面、感情移入はたやすいです。劇中の人物らがイラッとしているのがモロに伝わってきますね(笑)。思いやりのない嫌な人物との共感、そこがある意味この作品の持ち味と言えるでしょう。俳優さんらの演技は申し分なく、素晴らしかったです。

クリスティアン(演:クレス・バング)

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画像引用:http://www.transformer.co.jp/m/thesquare/

この映画の主人公。現代美術館のキュレーターとして活躍するセレブリティで、いわゆる人生の成功者です。テスラという電気自動車に乗り、慈善活動の支援も行っている。幼い子供が2人居ますが、妻とは離婚したようすです。仕事上は「ザ・スクエア」という高尚な企画を運ぶ中、自身のプライベートではほぼ無意識のうちに好き放題やってしまう。それが祟ってか、後半には彼の周りでろくでもない事件が連続して起こり、タジタジになっていきます。

アン(演:エリザベス・モス)

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画像引用:http://www.transformer.co.jp/m/thesquare/

冒頭からインタビュアーとして登場。クリスティアンの見当違いなアンサーにぽかんとするが、後に彼と肉体関係を持ったりもします。ボノボというチンパンジーに似た生き物を飼っていますが、動物を愛しているかどうかは疑わしいですね。悪い人ではないんだろうけど、クリスティアン同様どこか温かみが感じられない人物。こういう人とどこかで会ったことあるなぁという印象。

ジュリアン(演:ドミニク・ウェスト

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画像引用:http://www.transformer.co.jp/m/thesquare/

ガラ・パーティのシーンでは、猿パフォーマーのオレグ(モンキーマン)に執拗に絡まれます。周囲の視線を気にしながら何とか体裁を保とうと、笑ったり逆に猿になりきって見せたりしておどけますが、それがオレグの気に障ったのかとことん追い詰められ、うろたえる結果に...。ドミニク・ウェストはこの奇妙な見せ場を、絶妙な演技力でもって盛り上げました。

オレグ(演:テリー・ノタリー)

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画像引用:http://www.transformer.co.jp/m/thesquare/

どうかすれば悪意すら感じられる猿パフォーマー。あるいは、芸術家としてプロフェッショナル過ぎるのかも知れません。もう主役はこの人で良いのではないか?と思う程、インパクトのある人物。演じているテリー・ノタリーは今後どんどん増えていくであろう、モーション・キャプチャー俳優のベテランであり、パーティシーンでの活躍は素晴らしいものでした。オレグという名前は「ドッグマン・オレグ」という実在したパフォーマーから来ているようで、このことは町山智浩さんのトークショーレポートに詳しく書いてあります。

cinefil.tokyo

で、ドッグマン・オレグことOleg Kulikのパフォーマンスを実際にYOUTUBEで観てみると、過激なことをやりすぎて通報されてましたね(笑)。私が見た限りでは、ムツゴロウさんのような変態っぽさも感じられました。


Oleg Kulik : liaisons dangereuses - Tracks ARTE

マイケル(演:クリストファー・レス)

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画像引用:https://twitter.com/TheSquareJP?ref_src=twsrc%5Etfw%7Ctwcamp%5Eembeddedtimeline%7Ctwterm%5Eprofile%3ATheSquareJP&ref_url=http%3A%2F%2Fwww.transformer.co.jp%2Fm%2Fthesquare%2F

クリスティアンの部下。クリスティアンからは、常に面倒なことを押し付けられているようす。クリスティアンの代理でコンビニへ行き子供と面会した際には、強い口調で責め立てられたりと、大変な迷惑を被ります。

 

ザ・スクエア 思いやりの聖域】あらすじ〈ネタバレあり〉

主人公クリスティアンは、現代美術館のキュレーターを務めるセレブリティです。ある朝彼は、街の広場のような所で助けを求める女性の声を聞きました。周囲の人は皆知らん顔。クリスティアンは近くにいた男性と共に彼女を助けますが、その直後に財布とスマホとカフスを盗まれたと知ります。

 

職場に着いた彼は部下にスマホGPSを探知させ、犯人の居場所を突き止めようとしました。しかし建物までは特定できるのですが、財布を盗んだ犯人がどの部屋の住民かは分かりません。そこで部下であるマイケルが、全ての部屋に同じ脅迫文を送りつけるという大胆な案を提案。盗まれた財布などは後日コンビニに届けるように、文書に指示書きします。

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画像引用:http://www.transformer.co.jp/m/thesquare/

脅迫文を考える間、妙に盛り上がる2人

 

クリスティアンは喜々として、部下と共に犯人の住む団地へ向かいました。しかしそこはセレブである彼らとは違い、貧困層の人々の住む区域です。予想外のイカツい雰囲気にビビり上がった部下は、「提案はしたが自分はポスティングはしない」と言い出しました。仕方なく全ての部屋のドアポストに、自分で脅迫文を入れるクリスティアン。彼は自分のことであるにもかかわらず「何でオレがこんなことしなきゃならない訳?」と不満げです。クリスティアンがことを済ませると2人は、そそくさとその場を離れますが、何となくどんよりした空気が流れます。

 

一方美術館では、新しい展示である「ザ・スクエア」の企画が進められていました。この「ザ・スクエア」という作品は、美術館の敷地内にただ正方形の空間を作るというだけのものです。しかしこの四角の中は信頼と思いやりの聖域であり、この中に入った人は、「全ての人が平等の権利を持ち、公平に扱われる」というルール。いわゆる参加型のアートなのです。

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画像引用:https://twitter.com/TheSquareJP?ref_src=twsrc%5Etfw%7Ctwcamp%5Eembeddedtimeline%7Ctwterm%5Eprofile%3ATheSquareJP&ref_url=http%3A%2F%2Fwww.transformer.co.jp%2Fm%2Fthesquare%2F

広報担当は外部の企業の若い男性2名。彼らは、炎上しても良いので注目を集めるような奇抜なYOUTUBE動画を制作するつもりです。数日後...。クリスティアン宛にコンビニに小包が届き、財布とスマホが戻ってきました。やれやれと胸をなでおろすクリスティアン。しかしそれからしばらくして、新たな小包がクリスティアンの元に届いたと連絡が入ります...。

ザ・スクエア 思いやりの聖域 のイラッとくるポイント(完全ネタバレ)

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画像引用:https://twitter.com/TheSquareJP?ref_src=twsrc%5Etfw%7Ctwcamp%5Eembeddedtimeline%7Ctwterm%5Eprofile%3ATheSquareJP&ref_url=http%3A%2F%2Fwww.transformer.co.jp%2Fm%2Fthesquare%2F

話の大筋はあらすじでも触れましたように、一流のセレブである主人公が財布をスラれたことから、調子を狂わせていくさまが描かれています。「ザ・スクエア」という高尚な企画を進行しつつも、プライベートではスリにあったからと言って脅迫文を無差別に送り付けるキュレーター。この事件以降、クリスティアンは自分の心の狭さをいやという程実感することになり、観客である私もクリスティアンの心情にのまれていった...そんな感じです。その中でも、私がイラッときたポイントをピックアップしてみました。

コンビニ前でホームレスの女性にファーストフードを奢るシーン

財布とスマホが無事戻ってきたことでクリスティアンはいささか機嫌が良くなり、コンビニ前にしゃがみ込んでファーストフードを奢って欲しいと頼むホームレスに、バーガーかサンドウィッチかを買ってあげます。しかしそのホームレスの女性は、オニオン抜きを要求してきたりして、結構ずうずうしいタマネギぐらい自分でどけろよ、バーカと咄嗟に思ってしまった自分(汗)。しかし、これが監督の意図なのですね。奢ってもらうのだから、要求をするな!というのは、高慢でありそれはそれで上から目線になる訳ですよね?こういう問題は難しいです、不寛容ですみません。

主人公がアン宅のペットに不自然なほど無関心

クリスティアンはアンと寝ないと心に誓っていましたが、誘われると誓いも虚しく早速アンの家へ。奇妙にもアンは猿系のペットを飼っているのですが、クリスティアンはそのことにも無関心です。チンパンジーみたいなのが室内をうろうろしているのですよ!フツー何か聞くでしょ、名前とか?「珍しいペットだね!」とか一言もない。それって彼女とはその関係しかないことを露骨に本人に分からせているようなものです。失礼極まりないなぁ。それなのにアンは翌日、この一夜の件について質問を繰り返します。アンは被害者のていを取りますが、大抵あの時点で気付くでしょ。鈍い....(汗)。確かにこのような男女の営みは、「本当に愛があるか?」などを考え始めたらキリがありません。しかしあまりにもラフなセフレ作りをするクリスティアンと、鈍感なアンにもイラつきダブル「イラッ」っとです。不寛容ですみません。

使用済みコ●ドームを奪い合うシーン

クリスティアンと寝たインタビュアーのアンは、エッチの時に使ったコ●ドームを自分が処理すると言って、手放しません。クリスティアンの方も負けじと抵抗。よくよく考えてみると、そんなのどちらが処理しても良いことじゃないですか。(この女はオレのそれをなぜそこまで始末したいのか?気味悪いなぁ)これがきっとクリスティアンの心情でしょう。ちなみに私の中では、「アンがまさかサルと人間を交配させるつもりではないか?」という妄想と恐怖が広がりました。しかも、このアンという女性の好感度の低さは何だろう?何を企んでいるのか分からないようでいて、その実、大して何も考えてなさそうな(笑)。そんな場面がしばし続くことに苛立ちを覚えました。不寛容ですみません。

椅子がキーキーいうシーン

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画像引用:https://twitter.com/TheSquareJP?ref_src=twsrc%5Etfw%7Ctwcamp%5Eembeddedtimeline%7Ctwterm%5Eprofile%3ATheSquareJP&ref_url=http%3A%2F%2Fwww.transformer.co.jp%2Fm%2Fthesquare%2F

後日美術館内でクリスティアンとアンが先日の情事に着いて話すシーン。2人の後ろには無造作に椅子が積み上げられていて、これらがゆらゆら揺れる。時折不快な音を立て、崩れそうになるのですが、おそらく構造上決して崩れはしないのです。椅子たちはある不安定な形状を保ったまま、スウィングします。そして不快な音がいちいち2人の会話をさえぎるのでした。イラッ、キーーーーっ>_<となり、いっそのことあの椅子が全部倒れてしまえば良いのに!と思いました。「ああああっつーーー」っと叫びたくなる瞬間です。不寛容ですみません。

妙に大人びた口調のガキの声が耳障り

この映画には、雑音など不快な音がわざと入れてあるに違いありません。観客の感情を煽りたいのですか?と監督に聞きたい。会議中の会話をさえぎるような赤ちゃんの泣き声や、先程述べたイスの音など全部です。また、クリスティアンが全戸に脅しの手紙を入れてしまったことで、「自分は家族から泥棒扱いされた!」とクレームを付けてくる子供が登場するのですが、この子供の話し方が凄かったですね。顔と声は子供、でも口調は大人びたガキがずけずけと正しげなことを言ってくる。なんか子供らしくない、癇に障る態度なのです。ひたすら「謝れ」を繰り返す声。これによりクリスティアンも、謝ったら負け病が発生。でも、フツーに謝ればいいんじゃない?と思いました(笑)。不寛容ですみません。

 

トータルで5000文字以内を目標にしておりましたが、なぜかやはり長くなってしまいましたので残りのレビューは後編に回すことに致しました。後半のレビューは、主な見せ場や現代美術について思ったことを書いています。よろしくどうぞ...ではまた!

 

 

 

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