アナログちゃんのこっそり映画鑑賞記

自宅でこっそり鑑賞した映画についてぽそぽそつぶやきます。

暴走する資本主義に警笛を鳴らすはずが...【ブランデッド】映画感想★ネタバレ

ブランデッド

原題:BRANDED/上映時間:106分/製作年:2012年

ブランデッド(字幕版)

監督:ジェイミー・ブラッドショー、アレクサンダー・ドゥーラレイン

脚本:ジェイミー・ブラッドショー、アレクサンダー・ドゥーラレイン

出演:エド・ストッパード、リーリー・ソビエスキーマックス・フォン・シドー

 

広告を見て胡散臭いな、嫌な気分だ、などと感じるようになったのがいつからかは思い出せないです。昭和の頃のTVのコマーシャルは、元気が良くて結構好きでした。もしくは、子供だったからそう感じたのかも知れない。でも20代前半にananとかそういう部類の雑誌を買った時はもうすでに、広告の枚数がやたら多くてイラッとしましたね。

 

2000年過ぎた頃から、胡散臭いチラシも増えてきた気がします。「!?」の多様で、はっきり物を言わない。「!」はびっくりマークでしょ。「?」はクエスチョンマークです。

 

「スリムなボディに!?」→痩せるのか痩せないのか、ハッキリしろと言いたい。

「○○○円もお得!?」→お得なのか損をするのかハッキリしろと言いたい。

 

ターゲットは大抵女性でしょ?舐められてるなぁって不快になります。でも多分、こういうのを相手にしちゃう人がいるから、無くならないんですよね。

 

まぁ美容関係だと薬事法とかがあるから表記上仕方がないのかも知れませんが、なんだかなぁ...。ポストを開けるたびにほんの微かに(ここポイント)嫌な気分になる。気付くか気付かないか?のレベルです。しかし、こういうのが一掃された世の中を想像してみると案外悪くないですよ。

 

で今回ご紹介する『ブランデッド』は、広告業界でバリバリ業績を上げていた男の話です。まぁ昨今はPCやスマホの普及率が更に上がって、屋外の電子広告ってあまりタイムリーな話ではないかも知れません。それは、自分が観たのが遅かったので仕方ないですね(笑)。でも大きな電子看板って、見たくなくても見てしまいますよ。何となく気になる問題ではあると思います。

 

  映画【ブランデッド】のざっくりあらすじ(完全ネタバレ)


www.youtube.com

 

この予告を見ると、何だかスリリングなカットばかりが編集されている感じですが、躍動感はこの3分の1ぐらいですね。アクションの要素はほとんどありませんので念の為。

 

↓以下あらすじ↓

主人公ミーシャは、広告業界で働く男。雇用主ボブに拾われて以来、才能をばりばり発揮していた。そんなある日、ボブの姪アビーと出会い恋に落ちる。しかし2人の交際はボブからえらく反対された。その後アビーは、ミーシャの企画した番組を手伝う流れに...。その番組は、痩身願望のある女性ベロニカに美容整形手術を受けさせるという内容だったが、モデルのベロニカは昏睡状態に陥ってしまう。この一件でミーシャは世間から多くの批判を浴び、逮捕された。その後ボブが保釈金を支払ったので、ミーシャは釈放される。しかし、アビーをアメリカへ帰らせることが条件であった。

 

離れ離れになったミーシャとアビー。その後ミーシャはモスクワを離れ、牛飼いとなった。そこへアメリカからやってきたアビーが現れ、世捨て人になったミーシャに絶望する。

 

一方ミーシャは、夢のお告げで赤牛を生贄にする儀式を実行した。アビーは変わり果てたミーシャを見るに見かねて、モスクワへ連れ戻す。モスクワは豊満な肉体美ブームの真っただ中。誰もかれもが、バーガーやフライドポテトなどのファーストフードを欲していた。ミーシャはそれらの人々に奇妙なモンスターが付きまとっているのを見つけ、動揺する。

 

これは例の赤牛の儀式を行ったせいで見えるようになったのだが、アビーは幻覚だと言い張り、心療内科に掛かることを勧めた。またアビーにはミーシャとの間に子供が出来ていた。その子供ロバートに会うが、幼い彼もまたえらくファーストフード中毒だった。「何でぇ~!!」って発狂しそうになるミーシャ。しかしこれは全てファーストフード店を繁盛させたいパスカルの陰謀であったと気付き、ある計画を実行する。

 

  映画【ブランデッド】感想(完全ネタバレ)

序盤はミーシャとアビーのデートシーンの会話でロトチェンコなどの名も出てきて「おぉ!どんな話になるんだろう?」っと思いましたが、何てことはない。バーガーを大量に売り込みたかったジジィのパスカルが登場。広告界の権威である彼が、影でこっそりミーシャをハメたのです。でもここからが本題で、この件以降、業界で半ば有頂天になっていたミーシャが、広告の害悪やあざとさについて真剣に向き合っていくという流れになっていきます。

 

ミーシャは、自分がされたことを逆手にとってパスカルにリベンジしていくのですが、彼の目標はそこにはなかった。ライバル企業のネガティブキャンペーンを行う手口を世間に見せつけ、広告戦争を引き起こさせる展開になっていくのはちょっと意外でしたね。でも化物の造形があまりにもちょっとアレだったので、そちらに気を奪ばれた人も少なくはないでしょう。一部の方からはクリーチャーが安っぽいと低評判ですが、安っぽい化物は消費者の操作された欲望のメタなのだから、それはそれで良いかなと個人的には思います。

 

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ミーシャ「僕が言いたいのは、ブランド志向を生み出す仕組み全体だよ。脳に刷り込むんだ。その企業の商品を買うと無意識に幸せを感じるように」

アビー「幸せならいいじゃない」

ミーシャ「去勢された羊と同じだ。欲望が操作されてる。選択肢があることを知らないんだ。粗悪品を選ぶように教育されてる。

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アビーみたいな人がたくさんいるわけですよね。「粗悪品を選ぶように教育されてる。」って部分は、『スーパーサイズ・ミー』とか『フード・インク』とかと通じる部分があると思いました。

フード・インク (字幕版)

フード・インク (字幕版)

  • エリック・シュローサー
Amazon

 

世の中には本当に体に良くて美味しい食事、食材を提供しようと考える仕事熱心な方がたくさんおられます。しかし、ほんの少数の巨大企業に市場を独占されてしまうと、もうなかなか打つ手がないんでしょうね。一方消費者はただひたすら安さを求めて、名の知れた企業の商品を買いまくる。ブランド戦略に、まんまとはまってしまっているのです。「地産地消」を唱えても「うまいもんは、東京や京都に行っている」という話もあるぐらいですから、なかなか難しいですね。

 

働いてせっかく収入を得ても、消費してそのお金が全部支配者階級に回るのなら、意味なくないですか?

 

話がそれましたが、『ブランデッド』もマーケティングのあり方、広告の見せ方についての風刺的な作品であり、その種のメッセージを持ち合わせているとは思います。まぁ大衆が無意識ながら支配階級に操作されているという物語だと『ゼイリブ』の方が素晴らしく、特に目新しい題材という訳でもないのですが。だけど、赤牛のいけにえの儀式のシーンあたりから何か随分変なとこにぶっ飛んだな、みたいな違和感を感じ、逆にそれも悪くないとちょっと思いました(笑)真面目に取り扱うと、非常にセンセーショナルなテーマだと思うんです。でもバケツの中で灰と水を混ぜてそれをかぶる珍シーンとか観たら、もう冒頭のロトチェンコの話とかがすっかり、どこかに行ってしまいました

 

一見荒唐無稽にも見えますが、話の筋は通っているように思います。あのまとわりつくようなナレーションが無ければなぁ!惜しい。

 

最後までお読みくださりありがとうございます!では、また。

 

 

過去1年間で観たSF映画(マイナー作品を含むおすすめ)21選【前編】

観た事すら忘れてしまっている映画が最近増えてきています。歳を取ってから思うのは、若い頃のように友人が「あの映画観た?」って飲み屋でいちいち話題に出してくれる訳ではないということですね。最近はコロナもありますし...。特にマイナー作品などはちゃんと記録しなければ、タイトルを見ても未見だと勘違いしてしまう作品がでてくる始末です(汗)。よって当ブログにもなるべく記し、皆様に少しでも役立てて頂ければと思います。メジャー作品もありますが、劇場未公開・配信のみの作品も入れています。

ここ1年の間に公開・配信されたというのではなく、自分が過去1年ぐらいに観たSF作品ですのでご了承ください。7選×3記事(前編・中編・後編)で21選の予定です。

※それとややネタバレします。ご了承ください。

1.イカリエ-XB1

原題:Ikarie XB-1/上映時間:88分/製作年:1963年

イカリエ-XB-1(字幕版)

監督:インドゥジヒ・ポラーク

脚本:インドゥジヒ・ポラーク、パヴェル・ユラーチェク

原作:スタニスワフ・レム

出演:ズデニェク・シュチェパーネク、フランチシェク・スモリーク、ダナ・メドジツカー、ほか

  作品概要

チェコスロバキアで作られたSF映画で、原作はスタニスワフ・レムSF小説「マゼラン星雲」。スタニスワフ・レムは『ソラリス』の作者ですね。この映画は1963年に公開されてますが、キューブリックの『2001年宇宙の旅』が公開されたのが1968年だから、当時は相当に目新しかったのではないか?と思います。

  ざっくりあらすじ(序盤)

時は2163年。宇宙船「イカリエ-XB1」は、未確認生物の探査のためアルファ・ケンタウリ惑星系を目指していた。乗組員は40人ぐらい。老朽した古い宇宙船を見つけるまで、旅は順調だった。しかしその後2人の乗組員をその宇宙船調査に送って以来、不穏なできごとが相次ぐ...。

  感想、おすすめポイントや見どころなど

昨年に突如アマプラの見放題で観れるようになり、すぐさま鑑賞しました。いやぁ、未知の世界。出演者1つとっても、知った人が一人もいないですね(笑)

乗組員は40人ぐらい。序盤は宇宙に旅立った人々の会話劇が主で、群像劇っぽい感じかなと思いましたが、地球のものと思われる古い宇宙船を見つけてから、ガラリと空気が変わります。未知の旅の道中、想定外の状況に遭遇した人々の狂気が淡々と描かれていました。

イカリエ-XB-1(字幕版)

イカリエ-XB-1(字幕版)

  • ズデニェク・シュチェパーネク
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2.囚われた国家

原題:Captive State/上映時間:109分/製作年:2019年

囚われた国家(字幕版)

監督:ルパート・ワイアット

脚本:ルパート・ワイアット、エリカ・ビーネイ

出演:ジョン・グッドマンヴェラ・ファーミガ、アシュトン・サンダースほか

  作品概要

監督は『猿の惑星: 創世記』でメガホンを取ったルパート・ワイアット。共同脚本のエリカ・ビーネイは、彼の妻らしいです。やや異色の社会派SFサスペンス。

  ざっくりあらすじ(序盤)

時は2027年、地球はエイリアンの支配下にあった。エイリアンの目的は主に資源の搾取。人々はそれぞれ首にGPSを埋め込まれており、常に監視下にある。貧富の差は広がり、街はピリピリモード。一方ピルゼン特捜班の指令官のマリガンは、近い内にテロが起きるのではないかと目を光らせていた。そんな中レジスタンスチームは、スタジアムでの団結集会にエイリアンが現れるとの情報を得て、テロの実行を試みる。

  感想、おすすめポイントや見どころなど

猿の惑星の監督だし、ポスターには不気味なガンダムもどきが写っているので、ド派手なアクションとか戦闘とかあるのかと思いましたがそうではなかった。でもガンダムさんが動いてくれなかった(涙)とか、どうでもよくなるぐらい面白いです。人間の方も、エイリアンに媚びるチームと媚びないチーム即ちレジスタンスに分かれていて、「あぁ、大体こうなるんだろうな」と納得の展開。

 

自分がこの街の住民だったらどうするか?多分彼らのようにテロは起こせないですね。なぜなら、テロが起きることによって必ず巻き込まれる人物が出てくると考えてしまうからです。でも、ただ邪悪な権力者に従おうとは絶対に思わない。う~んどうすればいいのか?などと考えさせられる作品です。

細かいレビューはこちらに書いています。

↓  ↓  ↓  ↓  ↓  ↓  ↓  ↓ 

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3.ギヴァー 記憶を注ぐ者

原題:The Giver/上映時間:97分/製作年:2014年

ギヴァー 記憶を注ぐ者(字幕版)

監督:フィリップ・ノイス

脚本:マイケル・ミトニック、(英語版:ロバート・B・ウィード)

原作:ロイス・ローリー

出演:ブレントン・スウェイツ、ジェフ・ブリッジスメリル・ストリープ、オデイア・ラッシュ、ブレントン・スウェイツ、テイラー・スウィフトほか

  作品概要

監督はフィリップ・ノイス。ちょっと古いですが私が観たのでは『パトリオット・ゲーム』とか『硝子の塔』とかの監督です。原作は、ロイス・ローリーという方の児童文学で『ザ・ギバー 記憶を伝える者』。ジェフ・ブリッジスメリル・ストリープらに加えテイラー・スウィフトなども出演しており、案外華やかなキャスティングです。

  ざっくりあらすじ(序盤)

激しい戦争を経験した人類が、争いの起こらないルールを設け平穏に暮らす理想郷。その名はコミュニティー。職業などは自分で選ぶことが出来ず、コミュニティーの長老が決める。また服装や食事、住居なども皆"お揃い"で、全てが平等とされる監視社会。過去の記録は全て抹消されており、人々は人類の歴史についての知識を全く持てない。そしてその記憶を唯一管理できる人物は「ギヴァー」と呼ばれた。主人公ジョナスは、その記憶を受け継ぐ職業「レシーヴァー」に任命されるが...。

  感想、おすすめポイントや見どころなど

毎度ディストピア映画を観ている人なら、「あぁ、毎朝全員に感情を抑える薬の投薬ね」とか「みんなお揃いの服装ね」とか、既視感のあるSF設定に飽き飽きするかも知れません。しかしそんな中、目新しいまたは珍しい設定を探すのも私の楽しみの1つです。

 

本作品では、人々がユニットと呼ばれる一軒家に5,6人ぐらいずつで住んでいるのですが、これが血の繋がった家族ではないんですね。一見家族のようなスタイルをとりながら、ランダムに選ばれた人々と暮らしている。これはいかにも「憎しみや争いのない世界を築く」というコンセプトに相応しいな(褒めてない...)と思いました。

以下結構なネタバレ↓

また、人々が色彩のない世界に住んでいるという設定もやや特徴的ですね。これは色があると肌の色に違いが出るからという理由らしいのですが、だからって色彩をごっそり奪わなくてもいいでしょ。それは真の平等ではありませんよ。本は読ませないわ、歴史は伝えないわでメチャクチャな世界観が堪能できます。

 

4.サロゲート

原題:Surrogates/上映時間:89分/製作年:2009年

サロゲート (吹替版)

監督:ジョナサン・モストウ

脚本:マイケル・フェリス、ジョン・ブランカトー

原作:ロバート・ヴェンディティ、ブレット・ウェルデル

出演:ブルース・ウィリスラダ・ミッチェルロザムンド・パイク、ボリス・コジョー、ほか

  作品概要

ロバート・ヴェンディティ、ブレット・ウェルデルの同名人気コミックを『ターミネーター3』のジョナサン・モストウ監督が映画化。脳波でリモートコントロールした身代わりロボットに外出させることが、当たり前となった近未来を描くSFアクションスリラー。

  ざっくりあらすじ(序盤)

近未来、多くの人々は自分の分身のロボットを作り、外出させるようになっていた。自身の身代わりロボット=サロゲートを職場に向かわせたり、恋人とデートさせたしたりする毎日。本人は、部屋のベッドで横になって意識を送るだけ。主人公トムもサロゲートを所有しているものの、このシステムに疑問を持っていた。彼の妻は同じ家に暮らしながら自室に籠りっきり。サロゲートばかりを送り、長年会ってくれない。世の中のサロゲート普及率は人口の98%にも上り、特に金持ちだけが使用している訳でもなかった。そんなある日、あるカップルのサロゲートが襲われる...。

  感想、おすすめポイントや見どころなど

これ結構前に公開されていたのですが、観てなかったんですよね。で、昨年VODで鑑賞したら案外タイムリーでおぉっと思いました。すなわち、このシステムは感染症対策として使うとなかなか良いのではないか?という事です。まぁ、あまり現実的ではないので、こんなこと言えるのかも知れません。またそういう趣旨、コンセプトの作品でもないと思います。

 

でも自分の分身を自宅外に送るわけですから、ウィルスにも感染しなさそうだし、リモートワーク出来ない人にも最適ですよ。しかし、やはりアンチサロゲート派みたいな集団もいて、ロボット相手に身一つで頑張っていらっしゃる。すごいですね。ラストシーンは、結構印象深いです。

 

5.アナイアレイション -全滅領域-

原題:Annihilation/上映時間:115分/製作年:2018年

アナイアレイション -全滅領域- (字幕版)

監督:アレックス・ガーランド

脚本:アレックス・ガーランド

原作:ジェフ・ヴァンダミア

出演:ナタリー・ポートマンジェニファー・ジェイソン・リージーナ・ロドリゲス、オスカー・アイザックほか

  作品概要

原作はジェフ・ヴァンダミアの『全滅領域』。この小説は「サザーン・リーチ」3部作の1作品目にあたり、その後『監視機構』、『世界受容』と続くようです。読んだ事ないですが、好奇心そそられますね。そして監督は『エクス・マキナ』のアレックス・ガーランド。自分は福岡に出来たばかりのジュンク堂書店で、たまたまこの監督の著書『四次元立方体』を買った思い出があり、何となく思い入れが深いです。完璧なジャケ買いですが(笑)

主演はナタリー・ポートマン。あと好きな女優さんでは、ジーナ・ロドリゲスなども出演しています。

  ざっくりあらすじ(序盤)

主人公レナは、謎の任務に出かけた夫ケインを待ち続ける日々。しかし、ある日やっと帰ってきたケインは別人のようであり、突如血を吐いた。急いで夫を救急車に乗せ自分も同乗するが、正体不明の組織に拉致される。そこでレナは、夫が「シマー」と呼ばれる危険区域の極秘調査に協力していたと分かった。そこへは多くの人が調査に向かったが、生還者はケインのみ。レナは夫に何が起こったのかを知るため、ヴェントレスが率いる女性探検隊に入り、調査に向かう決意をしたが...。

  感想、おすすめポイントや見どころなど

不可解な現象が起こる、という表現は案外難しいのだなと思いました。例えば私はゾンビ映画を知っているので、「ゾンビが出る」のは不可解な現象ではありません。ゾンビが出るから恐ろしいのであって、恐怖の対象は明確です。しかし本作品の初見の印象では何か変なことが起こっているのに、それがイマイチよく分からない。例えば調査隊がエリアに踏み込んだ直後、メンバー皆の記憶が無く、その上食事は何日分か減っています。化け物が出るより「そっちの方が怖ぇぇ」ってなりませんかね?そんな感じの作品です。それ以外だとサントラがかなり特徴のある音色で、結構面白いです。何となく、1度聴いたら忘れられないメロディ。

 

6.ブリス ~たどり着く世界~

原題:Bliss/上映時間:103分/製作年:2021年

ブリス ~たどり着く世界~

監督:マイク・ケイヒル

脚本:マイク・ケイヒル

出演:オーウェン・ウィルソンサルマ・ハエック、マデリーン・ジー

  作品概要

劇場公開はされておらず、昨年Amazonで配信されたばっかりです。監督は『アイ・オリジンズ』や『アナザープラネット』の監督を務めた、マイク・ケイヒル。仮想現実を題材としたSFドラマ、SFファンタジーといった印象で、やや実験的な作品とも言えるでしょう。

ちなみに、アナザープラネットのレビューはこちらです。↓ ↓ ↓

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  ざっくりあらすじ(序盤)

コールセンターの中間管理職者である主人公グレッグは、ある日ちょっとした不注意で上司を殺害してしまう。社内の者には見つからなかったが、その日からグレッグの生活は一変した。バーでたまたま知り合ったイザベラに匿ってもらうため、ホームレスの住家に案内され、そこで生活することに...。イザベラいわく、この世界にはリアルとそうでない人がいると言う。その意味を理解するため、ブルーのクリスタルを鼻から吸い込んだグレッグ。目覚めると、そこは研究施設のようだった...。

  感想、おすすめポイントや見どころなど

ザックリってしまえば、貧乏体験ツアー版マトリックス。序盤から研究施設に辿り着くまでの各シーンはやや退屈ですが、そこをがんばって乗り越えれば、ちょっと面白い話になってきました。哲学的な問いかけのあるSFファンタジーといった印象です。

細かいレビューはこちらに書いています。

↓  ↓  ↓  ↓  ↓  ↓  ↓  ↓  

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7.ブラック・ボックス

原題:Black Box/上映時間:100分/製作年:2020年

ブラック・ボックス

監督:エマニュエル・オセイ=クフォー

脚本:エマニュエル・オセイ=クフォー、ウェイド・アレイン=マーカス、スティーヴン・ヘルマン

出演:マムドゥ・アチー、フィリシア・ラシャド、アマンダ・クリスティーンほか

  作品概要

Amazonが配信する「WELCOME TO THE BLUMHOUSE」というホラー映画アンソロジー8本の中の1本。

  ざっくりあらすじ(序盤)

主人公ノーランは半年前に事故で妻を亡くし、自身も記憶を失っている。娘のエヴァはまだ小学生であるが、以前と全く違うノーランに対し、懸命に世話を焼く日々。ある日ノーランは友人ゲイリーの勧めで、リリアンという女性医師の治療を受ける。神経外科医であるリリアンの治療は、催眠術のようなものだった。「ブラック・ボックス」という特殊な機械を使い催眠にかかっている間、ノーランは過去の思い出の中に入り、自由に歩き回ることが出来る。しかしノーランはある日、仮想空間の中で、明らかに自分の過去とは関係のない人物と遭遇しパニックに陥る。

  感想、おすすめポイントや見どころなど

何となく『ブラック・ミラー』ぽいかなと思います。ホラー作品として観るとそんなに怖くないですね。ずんべら坊みたいなのが出てきて、そこだけはちょっと不気味。細かいレヴューはこちらに書いています。

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ブラック・ボックス

ブラック・ボックス

  • マムドゥ・アチー
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最後までお読みくださり、ありがとうございます。この後は【中編】【後編】へとまだまだ続きます。現在作成中。ではまた!

屈するか、それとも抗うか【囚われた国家】映画感想

囚われた国家

原題:Captive State/上映時間:109分/製作年:2019年

囚われた国家(字幕版)

監督:ルパート・ワイアット

脚本:ルパート・ワイアット、エリカ・ビーネイ

出演:ジョン・グッドマンヴェラ・ファーミガ、アシュトン・サンダースほか

 

この映画、昨年やっと観ました。ちょっと気になったのは、「宇宙へ追放される人達の乗る宇宙船」が真横に飛び過ぎじゃないか?ってことぐらいですかね?あの角度じゃ、いつまでたっても宇宙に行かないと思いますよ!あとは概ね、最高です。

 

※以下完全ネタバレ記事となります。未見の方はご注意ください。

 囚われた国家の主な登場人物(ネタバレあり)

ウィリアム・マリガン(演:ジョン・グッドマン

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画像引用元:https://www.facebook.com/captivestatemovie

元シカゴ警察官。ピルゼン特捜班の指令官で、近い内にテロが起こるだろうと予想していた人物。エイリアンに襲われ死亡したガブリエルの父とは同僚で、親しい仲だった。案外地元愛に溢れたおっさん。ジェーンは元教師だったとか、ガブリエルの子供の頃を知っているとか、そういう思い出を心に秘めている人物だったとラストで分かります。

 

マリガンを演じたジョン・グッドマンは「本作品を観て、(観客に)何を考えてもらいたいか?」というインタビューの質問に対して「”自分ならどうするだろう”と想像しながら観て欲しい、観ている間登場人物と自分を重ねて欲しいんだ」と答えています。

 

ジョン・グッドマンのインタビュー ↓ ↓ ↓

映画『囚われた国家』|ジョン・グッドマン(マリガン特捜司令官役)インタビュー - YouTube

ガブリエル・ドラモンド(演:アシュトン・サンダース)

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画像引用元:https://www.facebook.com/captivestatemovie

データ回収センターで働く青年。データを盗みそれを友人ユルギスに流し、金に換えている。でも基本的には恋人ルーラを愛しており、兄のように過激な行動は極力避けたい主義。以前のような監視されない生活を夢見ています。

 

ラファエル・ドラモンド(演:ジョナサン・メジャース)

ガブリエルの兄。ウィッカーパークで爆破テロを起こし死んだと思われていたが、実は生きていた。本作の山場となるスタジアムでのテロで、重要な役割を果たす。

 

ジェーン・ドゥー(演:ヴェラ・ファーミガ

娼館を営む娼婦。マリガンと親しい関係にあった。ストーリー終盤に差し掛かった時、この女性がフェニックスの総指揮者、「ナンバー1」であったと分かる。エイリアンから襲撃される前は、歴史の教師をしていた。

 囚われた国家のあらすじ(ネタバレあり)

地球外生命体による侵略から9年後の2027年、シカゴ。制圧されたアメリカ政府は「統治者」の傀儡と化していた。貧富の差はかつてないほど拡大し、街は荒廃。そして市民は、この圧政に対して従属する者と反抗する者に分かれた。自由を取り戻すために秘かに結成されたレジスタンス・グループは、市内スタジアムで開催される統治者による団結集会への爆弾テロを計画するが―。

引用元:https://www.captive-state.jp/

 

 ちょこっと用語解説(完全ネタバレ)

この映画の中でしか使われない言葉があって、ちょっともう忘れられてる方もいらっしゃると思うので、ここにざっくりまとめておきます。

統治者

この映画の中の人達はエイリアンたちのことをこう呼びます。

閉鎖区域

シカゴ市内の中心部の地下にある、エイリアン居住区。アメリカ政府がエイリアンからイヤイヤながら建設させられた。パリや北京にもある。

ザ・ローチ

レジスタンスを弾圧したり、怪しい動きをする人物を見つけ出し取り締まる組織。エイリアンの手下となった警察みたいなもの。基本人間。

ウィッカーパーク事件

ラファエルらが過去に爆破テロを起こした場所、ウィッカーパークの名を取りそう呼ぶ。テロなどが起こるとエイリアンはその地を焼き払うので、ウィッカーパークは廃虚と化した。

フェニックス(不死鳥)

ナンバー1の率いるレジスタンス・グループの名。ガブリエルの兄であるラファエルも、その一員だった。ウィッカーパーク事件以降消滅したと考えられていたが、新聞広告で連絡を取りあっているのをマリガンに見つかる。

 

 囚われた国家の感想(完全ネタバレ)

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画像引用元:https://www.facebook.com/captivestatemovie

 

侵略後、9年という舞台設定がミソですね。もはやエイリアン侵略中ではないので、『宇宙戦争』や『オール・ユー・ニード・イズ・キル』みたいなパニックは、もうとっくに終わってる訳です。よってこの映画は宇宙人侵略の恐怖をド派手なアクション、グロテスクなクリーチャーで見せる、といった部類の作品ではありません。本作品を単に”映像表現が地味な作品”として捉えるかどうかは、その時の気分や好みの問題もあるでしょう。

 

個人的には、むしろ非常にスリルのあるSFサスペンスだと思いました。エイリアンは平常時、監視を人間に任せじっと地下に潜伏しているのですが、人々は常に見えない何かに怯やかされることとなる。またエイリアンが全く出てこない訳でもありませんから、姿を現した時には「やっぱりいるんだ!」的な絶望感を味わうことになります。

 

統治者に媚びるチームと反発するチーム

とんでもない者の支配下に置かれた人類がエイリアンのご機嫌をとりながら、何とか日々の暮らしを営んでいる。貧富の差は相当に拡大してますが、ベッドで恋人と抱き合う程度のことは出来る毎日のようです。

 

さて、このように地球の環境が変化した時、

1.エイリアンに媚びるチームの人々

権力側=例えば本部長、ザ・ローチの一員、裕福層の人々


2.権力に対抗しようとする人々

レジスタンス=例えばラファエルをはじめとするレジスタンスのチーム、貧困層の中の反乱分子、ガブリエルやその友人ユルギスなど。


3.どちらでもない人々

「いやぁね、統治者ってウニで...」などと心の中では思いながら、日々の暮らしを重視する輩。貧困層。ガブリエルの恋人ルーラなども。エイリアンに地球の資源を搾取されながらでも、大人しくしておく方が無難と考える人達。

 

と大きく分けて、3パターンの集団に分かれたと思うのです。貧富の差が開き二分化とありますが、細かいことを申し上げれば、私は3つに分かれているなと思いました。

で、立場的には1であるマリガンがどこの人か?その立ち位置がストーリー序盤では明かされてない、という仕掛けですかね。ただ本部長が閉鎖区域へ向かう時それをじっと眺める目つきは、明らかにテロリストっぽかったですけどね(正直、笑)

 

で、こうして見ているとまんま、現代社会の縮図じゃないか!って気付かされたりします。これは宇宙人の話ではないのだな、と。また、ルパート・ワイアット監督は、この映画を撮るにあたって、『アルジェの戦い』(1966年)、『影の軍隊』(1969年)から大きな影響を受けているとインタビューで話されています。未見ですが、ぜひ観てみたいです。

 

また『パラサイト・イヴ』の作家瀬名秀明さんのコメントも興味深いので、以下リンクを貼っておきます。

一方で、スタジアムにエイリアンを招くシーンで歌手が「グローリー・ハレルヤ」を歌って、まるでスーパーボウル(※2)のように盛り上げたりするのは「幼年期の終わり」への見事な返答だと思いましたし、敵の造形はむしろあえて「プレデター」「エイリアン」などのアイコンに似せて、私たちの過去の記憶を掘り起こしているかのようであり、その点も興味深いところです。

傑作だと思います。

「囚われた国家」特集 - 映画ナタリー 特集・インタビュー

 

スタジアムでの革命シーン

大きな見せ場は、スタジアムのシーンですね。またここにいたるまでの、レジスタンスの段取りが凄い。

 

デジタルデータではすぐに見つかってしまうので、タバコの巻き紙に手書きの番号を書き込んだりして、やっぱこういう場ではアナログが強いなぁと。新聞の広告欄にさりげなくメッセージを載せ、特定の人に合図を送る手口は、羊たちの沈黙の前日譚『レッド・ドラゴン』でも観たような気がします。このやり方だと、確かにデータの監視から逃れることができるかも知れません。

 

タバコ→伝書鳩→公衆電話→レコードで特定の音楽をかける→etc...

みたいな、誰か1人でもヘマをしたら全てが台無しになってしまうので、もうみんなチョー真剣な訳です。しかも遊びでやる伝言ゲームなどではなく、こんなやり方でテロを起こすわけですから。そして遂に、スタジアムへ向かい、団結集会を台無しにしてやろうと。

 

またこのシーンのサントラがスタイリッシュですね~。いやぁ、素晴らしいです。そしてダニエルを演じたベン・ダニエルズもメチャ渋い。

 

終盤に静かなどんでん返しあり

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画像引用元:映画『囚われた国家』公式 (@CaptiveState_jp) | Twitter

どんでん返しと言っても、娼婦のジェーンは亡くなっているし、他の革命チームメンバーも次々と自殺。もの悲しさが漂います。マリガンがガブリエルに言った「敵を信じるな」という言葉は、元々歴史を教えるジェーンの言葉だった。だから、陽気に1本取られたな!などとは思えない感じです。データを消去するガブリエル、クラゲのような爆弾を貼り付けたマリガン、何ともやりきれない気持ちになりました。

 

ことマリガンに関しては「あいつは体制側に着きやがって!」というのは簡単ですが、就かされた人間側の心理は相当に複雑だと思うのです。いつかリベンジしてやる!と思いながら、格好としては従順な態度を取らなければならない。従順な態度を取れば、相手は左程酷いことをしてこないので、ほんの少し気を許してしまう。

 

権力者側と反体制側の境界に立つ人物、それがマリガンで、そのような意味ではアンダーカバー作品としての魅力もありますね。SFですがスパイものっぽい。

 

ーマッチを擦り、戦争を起こせ。抵抗する限りチャンスはある。ー

この言葉にふさわしいエンディングですね。

 

地味ながらにもこだわりの感じられるクリーチャーやオブジェクトの造形

ウニの殻のようなトゲトゲのエイリアンの造形は、アントニー・ゴームリーというイギリスの彫刻家の作品からインスピレーションを得ているそうです。殻を壊すと中にはアワビみたいなのがいて、案外弱い。現実でも、恐れられていた人物が、攻撃されると案外弱かったみたいなことはありますね(笑)

 

また本作品は、全体的に海洋生物をモチーフにしたようなエイリアンが多くて面白いです。ガブリエルが廃墟と化した地下の売店に潜り込んだ時に襲ってきたのは、タコみたいな吸盤の付いたエイリアンだったし、あと透明な爆弾はクラゲとかナマコとかを連想させられます。物静かですが、凄いディストピア世界の表現だなと...。

 

また全体的にディック原作映画に似た暗~い感じが漂ってて、メチャ面白いなと思いました。最高!最後までお読みくださり、ありがとうございます!

 

 

恋愛マナーの悪い奴オンパレード【エターナル・サンシャイン】映画感想

エターナル・サンシャイン

原題:Eternal Sunshine of the Spotless Mind/上映時間:107分/製作年:2004年

エターナル・サンシャイン (字幕版)

監督:ミシェル・ゴンドリー

脚本:チャーリー・カウフマン

出演:ジム・キャリーケイト・ウィンスレットイライジャ・ウッドキルスティン・ダンストマーク・ラファロ

 

バレンタインは32歳の時に、本命の人に渡したっきりです(笑)。寒い日でしたよ。天神コア前で(ローカルネタですいません)。それ以来、このイベントに一切興味が持てなくなった。そもそも自分もショップ店員をしていたので、バレンタインなんて、企業が儲かる為に出来てるって事は常々実感していた訳ですよ。


自分はアクセサリーショップに勤めていたので、ホワイトデーの当日とか、翌日位にあわててお返しを買いに来るサラリーマンの男性をたくさん見てきた。血相を変えて飛び込んで来るお客さんらは、店に入ってからお返しする人数を数えたりする。で「12人」とか言う訳です。居酒屋の予約かなと(笑)。

 

そんなのを毎年見ながら、ばかばかしいイベントだなぁと思ってました。それなのに渡した。ゴディバのチョコでした。煩悩丸出しですが(笑)、彼は大人なので「わぁ、ゴディバだ!」って、ちょっと大げさに喜んでくれましたよ(泣)。そんなバレンタインの思い出。

 

忘却はよりよき前進を生む。ーニーチェ

という訳で『エターナル・サンシャイン』です。

 


エターナル・サンシャイン

 

完全ネタバレ記事です!ご注意ください。

エターナル・サンシャイン】の主な登場人物

ジョエル・バリッシュ/ジム・キャリー

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 画像引用元:https://ja-jp.facebook.com/EternalSunshineMovie/

この物語の主人公。シリアスモードのジムが観れるのはこの映画と『トゥルーマン・ショー』ですかね。クレメンタインと出会った当時はラブラブでしたが、次第に「こいつ、何か考えが足りねぇな...」と嫌気がさし倦怠期に突入します。

クレメンタイン・クルシェンスキー/ケイト・ウィンスレット

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画像引用元:https://ja-jp.facebook.com/EternalSunshineMovie/

こういう女性いますね。もしかすると、若い頃の自分もそういうことしてしまったかも知れない。突拍子もないことを言い出して、男性を困惑させるタイプ。急に氷の上に寝そべろうとか言い出したりして、子供じゃないんだから。髪の毛の色をコロコロ変えるのも、観ていて落ち着かないですね...

パトリック/イライジャ・ウッド

この映画のキーとなる人物。クレメンタインとジョエルの思い出を丸パクリして、クレメンタインを口説こうとする若者。ゲスの極みです。演じているのは『ロード・オブ・ザ・リングシリーズ』などで知られるイライジャ・ウッド。私が彼を初めて観たのは子役時代のイライジャで『ラジオ・フライヤー』だったと記憶しています。確か兄の方ですね。また子供時代はマコーレー・カルキンと共に『危険な遊び』にも出演していました。可愛かったです!

メアリー/キルスティン・ダンスト

ラクーナ社の受付係。スタンの出張施術現場、すなわちジョエルの部屋に呼ばれスタンといちゃつく。博士には、実際の現場を見て勉強している的な言い訳をしたが、博士の方がもっとあかん奴だった。

スタン/マーク・ラファロ

ラクーナ社の若い医者。記憶除去手術の合間にメアリーといちゃつく不真面目な男かと思いきや、実は純粋に彼女のことを愛していた。地味キャラだけど、案外いい奴感があります。手術中にトラブルが発生した時も、すぐに博士に連絡するなど真面目な人物なのですが、そもそも勤めている会社の業務内容がダメなのでどうすることもできません。

ハワード博士

妻持ちの医者。記憶除去について精通している。

 

エターナル・サンシャイン】チョー短いあらすじ完全ネタバレ

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 画像引用元:https://www.facebook.com/FocusFeatures

主人公ジョエルは、バレンタイン前に喧嘩してしまった恋人クレメンタインの職場である本屋を訪ね仲直りしようとしますが、まるで他人のようにあしらわれてしまい失望します。後日クレメンタインが記憶除去手術を受けたと知り逆切れしたジョエルは「クソー俺も記憶を消してやる!」と手術の手続きをします。しかしいざ眠りに入り、彼女との思い出を辿っていくと「やっぱり消したくない!」という気持ちが強まる一方。そこで、夢の中で「やっぱ手術中止!」とキャンセルしようとするも、それは出来ませんと言われてしまいます。そこで記憶の中にいるクレメンタインと協力し、思い出を消し去られないようにてんやわんやするという話です。

 

エターナル・サンシャイン感想】完全ネタバレ

記事のタイトルからしてアレなんで、一応申し上げておきますが、私はこの映画が大好きだし素晴らしいと思っていますよ。ただ、いい年して照れくさいんです。

 

脚本はチャーリー・カウフマン。あと原案の部分には監督のミシェル・ゴンドリーと、ピエール・ビスマスも加担しています。もしも失恋の苦しみを消せたなら...このような観点から書かれたシナリオは秀逸で、第77回アカデミー賞脚本賞を受賞しています。

 

多分物語はループしていないと思う

回想シーンの表現が独特で、タイムスリップする訳ではないのですが、何だかタイムトラベルものを観ている様な気分にさせられる。そこが良いなと思いました。

 

鑑賞した当初の感想としては、この2人は無限ループに入っているのではないか?と疑ったのですが、残念ながらその筋は薄そうです。この映画は『メメント』や『パルプフィクション』同様に時系列がバラバラに入れ替えられているので、一瞬ループものを観ているような錯覚に陥るのではないでしょうか。 

 

また他の方のレビューを呼んで、「ループ」や「無限ループ」などの言葉を見かけるたびにもしかして...と期待するのですが、やはり違うかなと。でも、もしそうだったら面白いな、とは思います。がしかしこれは編集のトリックであり、冒頭に物語の終わりとよく似たのカットが入っているので、そう感じるのでしょう。だから終盤でパトリックが車内のジョエルに「大丈夫ですか?」って声をかけるシーンは、あぁここに繋がるのね!ってフツーに納得すれば良いのではないかと思いました。

 

ジョエルとクレメンタインは、知人らのパーティで海辺の家で出会い

恋人同士となり、ラブラブな日々を過ごすが

記憶を消した後

今度はモントールで出会う(冒頭のシーン)

というシンプルな話だと思うからです。

 

でもあの二人の恋愛が何度も繰り返されている、風な想像力を働かされるのは素敵ですね。

ポイントはクレメンタインの髪の色

ストーリーが時系列順ではないから、物事の経緯を若干理解しづらいですが、クレメンタインの髪の毛の色を意識して観ていくと分かりやすいです。

 

時系列順では

グリーン(1度目に出会った頃)

 ↓

赤(ラブラブの頃)

 ↓

オレンジ(倦怠期)

 ↓

青(別れて、記憶除去をした後)

 

 

でも映画のシーンとしては

冒頭に青い髪の毛のクレメンタインが出てきます。

その後のざっくりとした流れではオレンジグリーンとさかのぼっていきます。これは記憶除去の施術の方法が、新しい記憶から消していくという手順だからでしょう。ジョエルの思い出の中のクレメンタインが、思いつきでものを言ったりするので、余計にややこしいですね。でも過去・現在・未来が交差する世界観は、恋愛そのものだと思いました。

恋愛に関するジレンマが上手く表現されている

相手の事を忘れたい、でも忘れたくないという葛藤。記憶除去をするサービスを提供する世界=SFですが、これはある意味現実に恋愛で苦しむ人々のニーズをよく掴んでいると思います。

 

また恋愛をした時、様々な思い出が断片的に入り混じるあの感覚を、こうもスタイリッシュに表現できるものか!と驚かされました。この映画が特に人気である理由の一つが、主人公ジョエルの記憶が蘇ると共に、観ている人の恋愛体験も回想され、断片的な思い出がフラッシュバックされるからじゃないかなと思います。ある意味、エモいですね。

 

他の登場人物が不真面目過ぎて笑える

見所は記憶の除去手術のシーンですが、普通に考えて自宅でするか?と思いましたよ(笑)その上スタンとメアリーは、ジョエルが横たわっているすぐ傍で、エッチなことをはじめてしまいます。顧客のベッドの上でぴょんぴょんしたりして、本当にけしからんですよ。パトリックはまぁ、悪役的な存在だから仕方ないですが、こういうマナーの悪い男性の表現も絶妙ですね。

 

ジョエルのセリフに「(パトリック)は僕を盗んだ。僕のものを。僕の言葉や物で彼女(クレメンタイン)を誘惑している」というのが、あります。いますね、男女問わず、自分自身で勝負しない人。こういうのは現実には形として罪にならないから、問題にされにくいです。しかし劇中のパトリックは、記憶除去のためにクレメンタインが用意したジョエルとの思い出の品を盗み見しているので、はっきりいけないことだと分かります。いいメタだと思いました。

 

しかし、一番けしからんのはハワード博士でしょうか。自身の不倫を、自らの商売道具で改ざん。あんまりだなぁ。一見不真面目なメアリーですが、彼女にも悲しい過去があったのですね。酷い!

 

その他、ジョエルと同じマンションに住む夫婦、恋愛で落ち込んでいる友人の前でガミガミ喧嘩するなとか。博士の奥さん、クラクションを鳴らしたスタンを責めなくて良いでしょ。とか突っ込みどころ、たくさんでした。だけど、本当に大好きな映画です。

 

最後までお読みくださり、ありがとうございます!

 

 

宇宙人の妙なしきたりにパンクで抵抗【パーティで女の子に話しかけるには】映画感想

パーティで女の子に話しかけるには

原題:How to Talk to Girls at Parties/上映時間:102分/製作年:2017年

パーティで女の子に話しかけるには(字幕版)

監督:ジョン・キャメロン・ミッチェル

原作:ニール・ゲイマン

脚本:ジョン・キャメロン・ミッチェル、フィリッパ・ゴズレット

出演:エル・ファニング、アレックス・シャープ、ニコール・キッドマン

 

不況になるとパンクが流行る気がします。不況になると人々の機嫌が悪くなるからです。そんな時パンクを聴くと気分がスカッとするから、パンクを聴く人が増えます。そうするとスカル模様のTシャツやアクセ、タータンチェックが流行ります(単なる勘)。しかし同じような柄のチェックなのに、ジョージ・ルーカスが着ると、なぜあんなにネルシャツ感が出るのですかね?なぞです。

 

 パーティで女の子に話しかけるには【登場人物】

エン(演:アレックス・シャープ)

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 画像引用元:https://www.facebook.com/HTTTGAP/

 パンクが大好きな高校生の男の子。親友らとパンク系同人誌も刊行している。父親に捨てられたという悲しい過去を持ちながら、物腰が柔らかくやや気弱な感じのティーンエイジャー。隠れ家には、自身が描いたイラストが所狭しと貼ってある。親友2人とライブハウスに出向くがからかわれ、ボディシーアからもなかなか相手にされない。

ザン(演:エル・ファニング

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 画像引用元:https://www.facebook.com/HTTTGAP/

パンクって何?とか言う不思議ちゃんかと思ったら、実は宇宙からの旅行客だった。パンク聴いたことないけれど、誰よりもパンクを必要としているし、理解できる。そんな女の子。

ボディシーア(演:ニコール・キッドマン

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 画像引用元:https://www.facebook.com/HTTTGAP/

大人の決めたルールなんてクソくらえ。街のパンクファンの中でもリーダー的な存在。

 パーティで女の子に話しかけるには【あらすじ】

1977年、ロンドン郊外。パンクが大好きなのに自分は内気で鬱屈した毎日を送る高校生エン。ある日、ライブの帰りに不思議なパーティに迷い込んだ彼は、そこで美少女のザンと出会う。規則だらけの生活にうんざりしていた彼女はエンが語るパンクに興味を持ち、パーティを抜け出し、エンと一緒に街へ繰り出す。そんな彼女の正体は、遠い惑星からやって来た異星人だった。そして彼女が地球にいられる時間は残りわずか48時間だったが…。

出典:映画 パーティで女の子に話しかけるには (2017)について 映画データベース - allcinema

 パーティで女の子に話しかけるには【感想】

これ、1年ぐらい前にようやく鑑賞しました。ずっと観たかったのですが、なかなか観る機会がなかったです。オープニングでダムドのなんとかって曲「New Rose」だったかな?が流れ、おぉ!ってなりました。

 


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主人公のエンはパンクに憧れるちょっと生ぬるい感じの高校生。一見パンク好きというよりは、「パンク好きなオレを見て、見て!」って感じ。恋に恋する女の子と同じですかね。一方ヒロインのザンは異星からいらっしゃっているので、「パンクって何?」とかトンチンカンなことを言うのですが、教わってもないのに自分の服をハサミでジョキジョキ切ったりして、実は彼女の方がパンク精神に溢れているのではないかと思ったり...。

 

ここで少し、パンクの思い出について。

私も若い頃は特にパンクにハマりました。ジャンルはスカ系のパンクか、アイリッシュパンクが多かったですね。それ以外では、ピストルズとかクラッシュとかも聴き、ランシドも聴き、ミクスチャーも好き、みたいな感じです。もちろん、今でも時々は聴いてますよ。でもある時から「自分は真のパンク好きなのか?」とか「結局これって"はしか"みたいなもんじゃない?」とか、考えるようになったのも事実です。

 

腹が減った時に食べるカップヌードルが死ぬほど美味いように

腹が立った時に聴くパンクロックは最高にカッコイイ

 

でもここで問題が出てきますね。パンクを聴いて快楽を得るには、終始不機嫌でなければならない。しかし自分は普段から気分にムラもなく、割といつも機嫌が良いのです。だから「ミルトン・バナナ・トリオ」とか、そういうのを聴いてるんですよ(笑)。パンクをMAXで聴いていたころは、残業代を一切支払わないような会社に勤めていましたから、何かすごくイライラしていた。あと世の中には、自分で抱えるべき困難を他者に丸投げしてくる連中とかいますよね。異様に依存心が強いというか...。

 

まあ、いずれにしても何らかの必然性があって、自分はパンクと出会ったのだと思います。

 

「何かむかつくんだよ!」「あんたが嫌いだ!」これらの腹の奥底の心の声を、すなわち真なる怒りを認めないと、だんだん卑屈な笑い方をする大人になっていくんじゃないのかなぁ。もちろん、怒りをまき散らして良いとは思っていません。あくまでこれは私の場合ですが、自分の中の真なる怒りを見極める作業の過程で、うるさい音楽を聴く行為がなぜか必要なんですね。単純に、逃げ場と言ってもいいかも知れません。

 

そして、私なりの結論。パンクを聴かなくて済む人生ならその方が良い。しかし、世の中がおかしいと思ったらすぐさまパンクを聴け!です。また怒りで気持ちが低迷した時、あの独特なサウンドがネガティブな感情を、ポジティブなエネルギーに変換してくれる過程が好きなのだと思いました。

 

本作品では、PTというリーダー的なあるいは親的な存在の宇宙人が、子供を食べると言っている。どう考えても、頭おかしい。だから、パンクが必要なんですね。

 

この映画の中のエンやザンも、過去や現在に対して苛立ちを感じている。まだ半分子供だけど「こんな事ってある?」とか「何かおかしくない?」とかじわじわ思ってる。そしてその感情がライブハウスのシーンで大ブレイ~ク!本作の中で、私はこのシーンが一番好きです。宇宙人の親が子を食べるというのは、何かの比喩ですかね?例えば政治家が国民を食い尽くすみたいな(笑)結構過激なストーリー&歌詞だと思います。

 


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本作品は基本的にボーイ・ミーツ・ガールものということになっていますが、何か色々とぶっ飛んでるな~と思いました。宇宙人の人達が、お揃いのコスチュームを着てファーストフード店か飲食店かに入るシーンとかも最高ですね。全員でオーダーするくせに、なぜか食べない(笑)。またこの人たちは基本、アメリカからの旅行客だと思われているのですが、だったらなぜ、ユニオンジャックのレインコートを着ているのですか?と問いたい。すごい、インパクトのある格好ですよ。

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画像引用元:https://gaga.ne.jp/girlsatparties

 

衣装を担当したのは衣裳デザイナーのサンディ・パウエル。これまでも、数多くの映画作品の衣装を手がけ『アビエイター』や『恋におちたシェイクスピア』などで、アカデミー衣裳デザイン賞を受賞しています。

 

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画像引用元:https://gaga.ne.jp/girlsatparties

 

この物語の時代が1977年である理由は諸説あるようです。原作者のニール・ゲイマンが17歳の時、1977年だったからだとおっしゃっている方もおられ、この説が有力ですね。ただ、「サザン・テレビジョン放送妨害事件」が起こったのが1977年だからという話もあるようで、信憑性はあまりないですが、こっちの方が面白いなと思ったりもしました。また、1977年というのは、単純にパンクの全盛期だったからとも考えられますね。

 

ザンのセリフ「あなたの世界は美しくもカラフルでもないけど、でも愛おしい世界ね」にグッときましたよ。ニコール・キッドマンがカッコ良かったです。では、また!

 

 

 

映画ーあらすじがややこしくて面倒くさいやつランダム10選

ご無沙汰しています。年始早々、手抜きの記事ですみません。本当に面白いんだけど、あらすじ書くのがちょっとなぁ(汗)な映画をご紹介します。

 

※適度にネタバレしています。ご了承ください。

メメント

原題:Memento/上映時間:113分/製作年:2000年

メメント (字幕版)

 書きたくないポイント

まぁ、これは言わずもがなですね。完全に逆回しではないので、その分余計に分かりづらいですよ!テネットの原型とも言えるでしょう。

 

クラウド アトラス

原題:Cloud Atlas/上映時間:172分/製作年:2012年

クラウド アトラス (字幕版)

 書きたくないポイント

1849年、1936年、1973年、2012年、2144年、2321年のそれぞれの物語がシンクロしあいながら、進んでいくという斬新なアイデアの作品です。とても魅力的なシナリオですね。しかしながら、それらを説明しようとすると、きわめてややこしい(汗)。その上それぞれの時代のキャストが、いろんな時代にちょいちょい出まくってますよ。例えば全ての時代に出ている、トム・ハンクスの役柄の説明のややこしさって言ったらないでしょ。wikipediaを読めば済む話です。

 

ミッション: 8ミニッツ

原題:Source Code/上映時間:93分/製作年:2011年

ミッション:8ミニッツ (字幕版)

 書きたくないポイント

「オレの身分証の名前、違うくない?」って気付くシーン辺りの説明がもうすでにイヤ。過酷な8分間の繰り返し。起こったことを一つ一つ思い出すのも大変ですね。

 

ANON アノン

原題:Anon/上映時間:100分/製作年:2018年

ANON アノン(字幕版)

 書きたくないポイント

地下鉄の場面での視覚を乗っ取られる表現とか、どう書けば良いのですかね?ああ、ややこしい...。(´-ω-`)。でも視覚をハッキングされていると気付いてない主人公が、電車が到着したと思い込み、危うくホームに落ちそうになるシーンは、すげぇスリリングだなと思いました。

 

キャビン

原題:The Cabin in the Woods/上映時間:95分/製作年:2012年

キャビン(字幕版)

 書きたくないポイント

ホラー映画のキャラクター過多。出過ぎ。あとは、ホワイトボードにホラー映画のタイトルを書いて、賭けをするシーンとか爆笑ですが、ディティールを描くと面倒くさいですね。感想としてはホラー作品愛に溢れた、SFっぽくもあるホラー映画。しかし、この映画に出ている大人達は皆けしからんですよ。

 

ノクターナル・アニマルズ

原題:Nocturnal Animals/上映時間:116分/製作年:2016年

ノクターナル・アニマルズ (字幕版)

 書きたくないポイント

ヴェネツィア国際映画祭で審査員大賞を受賞した作品。う~ん。すごくスマートな作品だと思うんですがね...。主人公の女性スーザンの現在進行形の話に、離婚した元夫エドワード(ジェイク・ジレンホール)の書いた小説の物語が挟み込まれるスタイル。この小説の中の男もジェイクが演じていてそういうのも、伝えにくい。しかし、こうなるだろうと予想していたラストは見事に裏切られ、痛快なオチとなっています。

 

ユージュアル・サスペクツ

原題:The Usual Suspects/上映時間:106分/製作年:1995年

ユージュアル・サスペクツ (字幕版)

 書きたくないポイント

※特にネタバレ注意

↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓

ヴァーバル・キントの語りで描かれる回想シーンは実は嘘であるが、それはラストにならないと分からないって...。これ、あらすじだけ1度書いたことあるのですが、本当に疲れました。

 

インサイド・ヘッド

原題:Inside Out/上映時間:94分/製作年:2015年

インサイド・ヘッド (字幕版)

 書きたくないポイント

主人公ライリーの頭の中の悲しみと喜びとの意見が対立したりとかして、そしてまたライリーの日常に戻る。学校に行ったりとか、そういう日々の描写ですね。頭の中でボーリングの球みたいなのをごろごろするシーンとか、何て言ったらいいんでしょう。黄金色のボール、すなわち大切な記憶を捨ててしまったとか(汗)。ズートピアの方ならいいのですが、こっちはちょっと書きにくいなぁと思いました。

 

プライマー

原題:Primer/上映時間:77分/製作年:2004年

プライマー [レンタル落ち]

 書きたくないポイント

まず、タイムマシンが地味すぎるでしょ。貸倉庫に入って行き、パッとしない箱の中で体育座りをするタイムトラベルも、新しいですね。またこの映画こそ説明とか、ざっくりしたあらすじ等が必要かも知れません。なんせ監督のシェーン・カルースさんが元々理系畑の方のようで、専門家の難しい話を素人が聞かされている感じに近い。これを観ると通常のSF映画には、如何に観客を意識したセリフや映像が盛り込まれているかに気付かされます。「じゃ~ん、これが僕の作ったタイムマシンです」みたいな場面ですね。俳優さんたちの演技も、なんか全体的にコソコソしてて、分かりづらい。でも、それが逆に新鮮で良かったです。

 

マグノリア

原題:Magnolia/上映時間:188分/製作年:1999年

マグノリア [DVD]

 書きたくないポイント

登場人物が多すぎ!『ラブ・アクチュアリー』とかもそうですね。ストーリー終盤になって、「あぁ、このおじさんとこのおじさんは別の人なんだ!」とやっと気付く感じです。またこの手の作品は、誰かと誰かがここで繋がっていて...みたいなのが多くて、その繋がりを言語化すると、結構疲れそうだなと思いました。

 

メッセージ

原題:Arrival/上映時間:116分/製作年:2016年

メッセージ (字幕版)

 書きたくないポイント

まぁ、これは書けなくはないですね。サピア=ウォーフの仮説とかも、いちおう理解していると思います。でも、あのシャン上将に電話をかけるあたりの説明がちょっと自信ないです。

 

閉ざされた森

原題:Basic/上映時間:98分/製作年:2003年

閉ざされた森 (字幕版)

 書きたくないポイント

いやぁ、これは話としてはとても面白いのですがね...。上手く書けたらそれはそれで面白みがなくなりそうと言うか...。あと、余談ですが『ヘイトフル・エイト』の元ネタかな?って思うシーンが2シーンほどありました。ゲーって血を吐くシーンと、サミュエルの股間マシンガンのシーン。面白いもの見つけた感はありますね。

 

まだまだありますが、今回はこの辺で。また思いついたら第2弾やりたいと思います。

最後までお読みくださり、ありがとうございます(^_^)

 

 

パッセンジャー【映画感想】起床のタイミングが悪かった男とその巻き添えになった女

パッセンジャー

原題:Passengers/上映時間:116分/製作年:2016年

パッセンジャー (字幕版)

監督:モルテン・ティルドゥム

脚本:ジョン・スペイツ

出演:クリス・プラットジェニファー・ローレンスマイケル・シーンローレンス・フィッシュバーンアンディ・ガルシア

 まえおき(900文字)目次からスッとばし可能です

今回は『パッセンジャー』のレビューです。私がこの物語で好きだなと思ったのは、宇宙船内の乗客たった1人分のポッドが故障するという、ちょー地味なエラーが引き金となりストーリーが展開するところにあると思うのです。一見すぐ解決しそうな問題が、なかなか手ごわいみたいな...。私は30歳ぐらいの時、自分のアパートのトイレから出られなくなったことがあります(汗)。1人暮らしで、そのトイレには窓がなかったのですよ...。で最初に思ったのは「あ~あ、めんどくさいな」くらいのことで。でも10分経っても、20分経ってもドアが開かない...。そのドアの鍵はちょっと前から、少し壊れかけていました。でこうなった時、さすがに焦り始めたのです。「えっ、これってこのまま出れなくなったらどうする訳?」とか思い始めまして。携帯電話をポケットに入れておけば良かったな、とか、更にはこのドアは木製だろうか?とか。最悪の場合、トイレタンクの陶器をドアにぶつけて壊すしかないなと思いました。手に嫌~な汗をかく感じです。「自分はここで餓死するのではなかろうか?」とか「いや、その前に友人や職場の人がこれはおかしいと気付いてくれるかも」とか、さまざまな考えが頭をよぎりました。でその時とても小さなマイナスドライバーが、ふっと目に入りまして。それは以前何かの修理で持ち込んだのですが、このドライバーでドアノブのねじを開けてドアノブを外せないか?と考えたのです。もう、超慎重にやりましたよ(;゚д゚)、ねじ山が壊れたらおしまいなんで...。静かに静かに、地味~にカチカチやりまして、ドアノブが外れた瞬間にすっーっとドアが開いたのを覚えています。やったぁ~(泣)外に出れた!と思いました。トイレから出るのがこんなに大変だった日はない。で、この話を後日友人らの飲み会でしたら、その内の1人の男友達が「つい最近、俺も同じ目に遭った!」ってびっくりしたように言い出しまして...。脱出方法は彼と私とで、違いましたが...。その日、何だか彼のことを好きになりそうでしたよ。「トイレに閉じ込められる」こんな地味な恐怖体験話で盛り上がれる同志がいるとは、思っていませんでしたからね(笑)

 

パッセンジャー】の登場人物(ネタバレあり)

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画像引用元:https://www.facebook.com/PassengersMovie/

ジム・プレストン(演:クリス・プラット

 この物語の主人公(上の画像の左の人物)。エコノミ-クラスの船客で、職業はエンジニア。悪い人ではないのだろうけど、とにかく運が悪かった。クリスが演じているのでイケメンなはずですが、ごく普通の冴えない男として描かれます。

オーロラ・レーン(演:ジェニファー・ローレンス

この物語のヒロイン(上の画像の右の人物)。ファーストクラスの乗客で、作家。地球上ではリッチな家庭に生まれながら、有意義な人生を歩むことができなかった悲しい美女。ジムから目を付けられたことで、人生が一変します。

アーサー(演:マイケル・シーン

アンドロイドのバーテンダー(上の画像の中央)。120年の宇宙旅行の到着間際の人々が、バーで酒を飲むだろうということで用意されたと見られます。しかしオールタイム稼働中であったため、ジムの良き話し相手となりました。

ガス・マンキューゾ(演:ローレンス・フィッシュバーン

責任感あるクルーで甲板長。しかも、マトリックスのあの方じゃないですか!船のことは彼に聞けですね。

パッセンジャー あらすじ】完全ネタバレ

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画像引用元:https://www.facebook.com/PassengersMovie/

 宇宙船アヴァロン号

時は20XX年。やたらとでかい宇宙船アヴァロン号は、乗客5,000人とクルー258人を乗せ、目的地のスペースコロニーへと向かっていました。この中に乗っている人々は、物好きなのか?もしくは先見性があるのかで宇宙への移住計画にすばやく飛びついた人々です。地球からコロニーまでの旅は120年もかかり、その間はコールドスリープ器で冬眠するという予定でした。

 

そして120年が過ぎ宇宙船到着の少し前に目覚めると、しばし船内で過ごし、目的の惑星に到着すれば、そこで暮らすこととなる計画。当然地球でも120年が過ぎていますから、家族や恋人、友達などはもう存在しません。この宇宙船に乗り込む決断をするということは、周囲の全ての人と別れることとなります。また地球に住んでいる人達から見ても、宇宙に行ってしまい二度と会えない訳ですから、死んだも同然ということになりますね。地球から見送る人もとてもさみしい思いをすることになるわけです。

 

そんな勇気ある決断をした人達が5,000人も乗っているアヴァロン号。そんな中、エコノミークラス乗客のジムの冬眠ポッドが怪しい動きをします。ジムのポッドだけがウィーンと開き、「おはようございます、ジム様」みたく言われてしまうのです。おそらく到着前の数ヶ月を過ごす予定の個室に通されますが、何となく落ち着かないジム。その内船内を駆けずりまわり、他の人はどうなってるのか?と探します。しかし、美しい船内はガランとしていて、誰ひとり見当たりません。

 

ボッチ感が半端ない!

「えっ、起きたのオレだけ?」ジムはようやく状況を把握しました。それは、宇宙船が出発してから30年という何とも中途半端なタイミングで、目覚めてしまったということ。故障したポッドが誤作動を起こしたのでしょう。ジムはパニックに陥りますが、この計画を実行したホームステッド社ってところに連絡を入れてみます。しかし、

アヴァロン号から地球に連絡が届くのに15年かかり、

その上地球から宇宙船に返事が戻ってくるのが55年後

どんな先の話やねん!って。ジムも「なんだそれ、全然使えねーじゃん」とキレるのです。幸いジムはエンジニアなので、故障したポッドを修理し再び冬眠できないかと試しますが、逆に命を落としそうになります。実はこの船には5,000人の乗客以外に250人ぐらいのクルーが乗っているのですが、彼らも全員冬眠中であり、クルーの冬眠室はセキュリティが厳しく開きません。「もう、どうすりゃいいの?」ってなったジムは船内のバーに行き、アンドロイドのアーサーに話しかけます。

 

そうして1年が経ち、ジムはひとりぼっちが辛すぎて、毎日がもうどうでも良くなっていました。髭は伸び放題、髪の毛もボサボサです。で、遂には宇宙服を着て宇宙遊泳を楽しんでみたりもします。そして、「裸で飛び出せば、死ぬこともできるな」などと考えてしまいました。「いかん、いかん」と、何とか気を取り直すジム。

 

タイプの女性♡オーロラを見つける

そんな時、ジムは皆が眠る部屋で、超好みの女性オーロラを見かけました。その日以来、ジムはオーロラについて徹底的に調べます。オーロラはファーストクラスの、すなわちお金持ちの乗客で、職業は作家でした。

 

「オーロラを起こしたいなぁ」「いや、そんなことをしては絶対だめだ」「でも起こしたい」「ダメだ、何を考えてるんだオレ」そんな葛藤が続きます。そしてある日、遂にオーロラのポッドを作動させてしまいました。自分が細工したくせに、いざとなると逃げだして姿を眩ますジム。

 

オーロラは最初は何がなんだか分からない...といった風で、ジムと同じく船内をウロウロします。そこでタイミングを計り、自然に話しかけるジム。ジムはオーロラに状況、すなわち皆よりも80年近く目覚めてしまったことを伝えます。ショックの余りパニックに陥るオーロラですが、次第にジムとの恋に落ち、船内デートを楽しむように...。

 

アンドロイドのアーサーの発言で真実を知り、オーロラ激怒!

しかし!バーテンダーのアーサーが余計なひと言を言ってしまったがために、オーロラの表情は凍て付きます。アーサーは、実はジムがオーロラのポッドをいじり、故意に目覚めさせてしまったことを悪気もなくバラしてしまったのです。その日から、オーロラのジムに対する態度はがらりと変わります。ジムは完全に人生の殺人者扱い。ジムにとっても、オーロラにとっても、再び絶望的な日々が始まります。

 

そんな中、今度はガス・マンキューゾという甲板長のクルーが目覚めてしまいます。原因は同じくポッドの故障。ガスはジムがオーロラを起こしたことを悟り「お前って、超最低...」みたいな目で見ます。さらに、船内のあちこちでマシンが誤作動を起こし始めました。様子がおかしい...。

 

ギスギスしていたオーロラとジムですが、とりあえず3人で原因の究明を急ぎます。ロボットが誤作動を起こすばかりか、オーロラがプールで泳いでいる時に無重力状態となってしまい、船内はもうめちゃくちゃ(汗)その上、ガスの冬眠ポッドは以前から調子が悪かった様で、頼みの綱であったガスはしばらくしたら、死亡しました。その際にジムは、ガスのアームバンドを受け取ります。ガスのアクセス権があれば、全ての部屋の鍵を開けることができるのです。

 

残された2人はとりあえず休戦。最終的にはジムの命をかけた挑戦により、宇宙船は救われます。オーロラはジムを愛していると再認識。他の乗客の命も無事でした。と、こんな感じの話です。

 

パッセンジャー感想】 完全ネタバレ

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画像引用元:https://www.facebook.com/PassengersMovie/

賛否が分かれたラストシーン

登場人物が少ないにもかかわらず、サクサクとストーリーが展開していくので、一気に集中して観ることができました。物語終盤のシナリオに対して否定的な意見も多かった本作ですが、個人的には結構楽しめたという印象です。よく言えば、上手くまとまったB級SF。否定的な意見の中には、ジムがオーロラに対してした行為は決して許されるべきものではないのに、あのエンディングはご都合主義が過ぎるという主張が目立ちました。まぁ、そうですね。でも私に言わせれば、じゃあ最初から危険な旅には参加するな!です。宇宙って何があるか分からない。インターステラーのクーパーみたいに、突然23年を無駄にしてしまう可能性を秘めているのですから。

 

その点、オーロラは30年90年早く目覚めた程度で済んでよかった、とも言えます。そもそもジムこそがこの映画の中で、一番の被害者かも知れません。悪いのはホームステッド社です。クルーが250人程度乗っているのは何の為でしょうか?何か緊急なことが起こった時は、クルーが目覚めるシステムのようなものがあっても良かったはずです。会社に連絡するも、連絡取れず...。無責任極まりないなと思いました。

 

改変されたシナリオ

しかし、実はこの脚本は映画化させるにあたって、変更されたもののようですね。本来の脚本では、ジムとオーロラ以外のほぼ全員が宇宙に放り出され、死亡するというへヴィな内容のものでした。このシナリオであれば、当然ホームステッド社の責任が問われる流れになるはずです。

 

監督は『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』のモルテン・ティルドゥム。限りなく過去のSF作品を意識し設定にもこだわっている、でも恋愛映画になっちゃったみたいな感じですかね。

 

ジムと出会ったばかりの頃のオーロラの浮かれ具合は、相当なものでした。ただ恋愛をしているからではありません。地球上で全く味気ない日々を送っていたオーロラにとって、ジムは王子様的な存在だったのでしょう。よって真実を知った時のオーロラのキレ具合は半端なく、恋愛をする女性の心理みたいなのが上手く表現されているように思いました。本当にジムが許せないのであれば、もっと冷たくあしらうこともできたはずですが、そうできないところがミソですね。

 

オーロラという名は、どうしても眠り姫を連想してしまう

またヒロインの名オーロラは、『眠り姫』の主人公オーロラを意識したものに違いありません。この映画が公開され、私はその半年後ぐらいにこれを観ましたが、特に当時、海外での評判が低かったようです。その理由の1つは、眠り姫を強姦神話ととらえる傾向が強まっていたからでしょう。

 

眠り姫の王子様は姫に断りなくキスをします。一方この『パッセンジャー』のジムもオーロラに断りなくポッドをいじり彼女を目覚めさせてしまいました。この眠り姫に酷似したエピソードが盛り込んであることで、ジムのイメージは大幅にダウン。更に、そんなジムがオーロラから許され、体裁よくハッピーエンドになるのは許せないということなのでしょう。

 

私は内心眠り姫を強姦神話みたく批判するのは、ちょっと厳し過ぎはしないか?と思っていましたが、仮に自分がその立場だったらどうですかね。また、眠り姫の類話である「太陽と月とターリア」の内容を知ってからは、批判の声が上がっても仕方がないなとすら思うようになりました。これは「いばら姫」の原作と言われているようです。

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眠りにおちた王女を悲しみ、父親は別れを告げて、この悲しみを忘れるために城を去る。他の者たちの描写は一切ない。その後、鷹狩りで偶然たどり着いた王が、眠る王女を見つけ、あまりの美しさに我慢出来なくなり愛の果実を摘む。そして王国へ帰り王女のことを忘れてしまう。王女は寝ている間に双子を出産し、麻糸がとれて目を覚ます。思い出した王は王女に会いに行き、出産を喜ぶ。

とりあえず王国に帰った王であったが、王女のことが気にかかり、王妃はそれに気づく。嫉妬した王妃は王の名前を装い、双子を呼び寄せ殺し、スープにして王に食べさせようとするが、子供に同情した料理人が子山羊とすりかえる。

次に王妃はターリアを呼び寄せて火焙りで殺そうとしたが、王が助けに入り、子供をスープにして飲ませたという話をきいて王は怒り狂い、王妃を火の中に投げ込む。

出典:眠れる森の美女 - Wikipedia

うわぁ、エグい。こんなおそろしい話がルーツにあるわけですから、まぁ仕方ないなと。だから『パッセンジャー』は本来の脚本でいけば、もっと面白い作品になっていたかも知れません。ちなみに船内のバーのシーンは、明らかにシャイニングを意識した造りで楽しめました。何かじゅうたんがよく似ていたと思います。マイケル・シーンの演技が素晴らしかったですね。最高!最後までお読みくださり、ありがとうございます。