アナログちゃんのこっそり映画鑑賞記

自宅でこっそり鑑賞した映画についてぽそぽそつぶやきます。

宇宙人の妙なしきたりにパンクで抵抗【パーティで女の子に話しかけるには】映画感想

パーティで女の子に話しかけるには

原題:How to Talk to Girls at Parties/上映時間:102分/製作年:2017年

パーティで女の子に話しかけるには(字幕版)

監督:ジョン・キャメロン・ミッチェル

原作:ニール・ゲイマン

脚本:ジョン・キャメロン・ミッチェル、フィリッパ・ゴズレット

出演:エル・ファニング、アレックス・シャープ、ニコール・キッドマン

 

不況になるとパンクが流行る気がします。不況になると人々の機嫌が悪くなるからです。そんな時パンクを聴くと気分がスカッとするから、パンクを聴く人が増えます。そうするとスカル模様のTシャツやアクセ、タータンチェックが流行ります(単なる勘)。しかし同じような柄のチェックなのに、ジョージ・ルーカスが着ると、なぜあんなにネルシャツ感が出るのですかね?なぞです。

 

 パーティで女の子に話しかけるには【登場人物】

エン(演:アレックス・シャープ)

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 画像引用元:https://www.facebook.com/HTTTGAP/

 パンクが大好きな高校生の男の子。親友らとパンク系同人誌も刊行している。父親に捨てられたという悲しい過去を持ちながら、物腰が柔らかくやや気弱な感じのティーンエイジャー。隠れ家には、自身が描いたイラストが所狭しと貼ってある。親友2人とライブハウスに出向くがからかわれ、ボディシーアからもなかなか相手にされない。

ザン(演:エル・ファニング

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 画像引用元:https://www.facebook.com/HTTTGAP/

パンクって何?とか言う不思議ちゃんかと思ったら、実は宇宙からの旅行客だった。パンク聴いたことないけれど、誰よりもパンクを必要としているし、理解できる。そんな女の子。

ボディシーア(演:ニコール・キッドマン

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大人の決めたルールなんてクソくらえ。街のパンクファンの中でもリーダー的な存在。

 パーティで女の子に話しかけるには【あらすじ】

1977年、ロンドン郊外。パンクが大好きなのに自分は内気で鬱屈した毎日を送る高校生エン。ある日、ライブの帰りに不思議なパーティに迷い込んだ彼は、そこで美少女のザンと出会う。規則だらけの生活にうんざりしていた彼女はエンが語るパンクに興味を持ち、パーティを抜け出し、エンと一緒に街へ繰り出す。そんな彼女の正体は、遠い惑星からやって来た異星人だった。そして彼女が地球にいられる時間は残りわずか48時間だったが…。

出典:映画 パーティで女の子に話しかけるには (2017)について 映画データベース - allcinema

 パーティで女の子に話しかけるには【感想】

これ、1年ぐらい前にようやく鑑賞しました。ずっと観たかったのですが、なかなか観る機会がなかったです。オープニングでダムドのなんとかって曲「New Rose」だったかな?が流れ、おぉ!ってなりました。

 


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主人公のエンはパンクに憧れるちょっと生ぬるい感じの高校生。一見パンク好きというよりは、「パンク好きなオレを見て、見て!」って感じ。恋に恋する女の子と同じですかね。一方ヒロインのザンは異星からいらっしゃっているので、「パンクって何?」とかトンチンカンなことを言うのですが、教わってもないのに自分の服をハサミでジョキジョキ切ったりして、実は彼女の方がパンク精神に溢れているのではないかと思ったり...。

 

ここで少し、パンクの思い出について。

私も若い頃は特にパンクにハマりました。ジャンルはスカ系のパンクか、アイリッシュパンクが多かったですね。それ以外では、ピストルズとかクラッシュとかも聴き、ランシドも聴き、ミクスチャーも好き、みたいな感じです。もちろん、今でも時々は聴いてますよ。でもある時から「自分は真のパンク好きなのか?」とか「結局これって"はしか"みたいなもんじゃない?」とか、考えるようになったのも事実です。

 

腹が減った時に食べるカップヌードルが死ぬほど美味いように

腹が立った時に聴くパンクロックは最高にカッコイイ

 

でもここで問題が出てきますね。パンクを聴いて快楽を得るには、終始不機嫌でなければならない。しかし自分は普段から気分にムラもなく、割といつも機嫌が良いのです。だから「ミルトン・バナナ・トリオ」とか、そういうのを聴いてるんですよ(笑)。パンクをMAXで聴いていたころは、残業代を一切支払わないような会社に勤めていましたから、何かすごくイライラしていた。あと世の中には、自分で抱えるべき困難を他者に丸投げしてくる連中とかいますよね。異様に依存心が強いというか...。

 

まあ、いずれにしても何らかの必然性があって、自分はパンクと出会ったのだと思います。

 

「何かむかつくんだよ!」「あんたが嫌いだ!」これらの腹の奥底の心の声を、すなわち真なる怒りを認めないと、だんだん卑屈な笑い方をする大人になっていくんじゃないのかなぁ。もちろん、怒りをまき散らして良いとは思っていません。あくまでこれは私の場合ですが、自分の中の真なる怒りを見極める作業の過程で、うるさい音楽を聴く行為がなぜか必要なんですね。単純に、逃げ場と言ってもいいかも知れません。

 

そして、私なりの結論。パンクを聴かなくて済む人生ならその方が良い。しかし、世の中がおかしいと思ったらすぐさまパンクを聴け!です。また怒りで気持ちが低迷した時、あの独特なサウンドがネガティブな感情を、ポジティブなエネルギーに変換してくれる過程が好きなのだと思いました。

 

本作品では、PTというリーダー的なあるいは親的な存在の宇宙人が、子供を食べると言っている。どう考えても、頭おかしい。だから、パンクが必要なんですね。

 

この映画の中のエンやザンも、過去や現在に対して苛立ちを感じている。まだ半分子供だけど「こんな事ってある?」とか「何かおかしくない?」とかじわじわ思ってる。そしてその感情がライブハウスのシーンで大ブレイ~ク!本作の中で、私はこのシーンが一番好きです。宇宙人の親が子を食べるというのは、何かの比喩ですかね?例えば政治家が国民を食い尽くすみたいな(笑)結構過激なストーリー&歌詞だと思います。

 


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本作品は基本的にボーイ・ミーツ・ガールものということになっていますが、何か色々とぶっ飛んでるな~と思いました。宇宙人の人達が、お揃いのコスチュームを着てファーストフード店か飲食店かに入るシーンとかも最高ですね。全員でオーダーするくせに、なぜか食べない(笑)。またこの人たちは基本、アメリカからの旅行客だと思われているのですが、だったらなぜ、ユニオンジャックのレインコートを着ているのですか?と問いたい。すごい、インパクトのある格好ですよ。

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画像引用元:https://gaga.ne.jp/girlsatparties

 

衣装を担当したのは衣裳デザイナーのサンディ・パウエル。これまでも、数多くの映画作品の衣装を手がけ『アビエイター』や『恋におちたシェイクスピア』などで、アカデミー衣裳デザイン賞を受賞しています。

 

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画像引用元:https://gaga.ne.jp/girlsatparties

 

この物語の時代が1977年である理由は諸説あるようです。原作者のニール・ゲイマンが17歳の時、1977年だったからだとおっしゃっている方もおられ、この説が有力ですね。ただ、「サザン・テレビジョン放送妨害事件」が起こったのが1977年だからという話もあるようで、信憑性はあまりないですが、こっちの方が面白いなと思ったりもしました。また、1977年というのは、単純にパンクの全盛期だったからとも考えられますね。

 

ザンのセリフ「あなたの世界は美しくもカラフルでもないけど、でも愛おしい世界ね」にグッときましたよ。ニコール・キッドマンがカッコ良かったです。では、また!