アナログちゃんのこっそり映画鑑賞記

自宅でこっそり鑑賞した映画についてぽそぽそつぶやきます。

映画『エクスペリメント』不完全ガイド:あらすじ・キャスト・個人的ツボをゆるっと紹介

最近集団ヒステリーとかパニックとか、そういう映画ばかりをまとめていましてね。『ミスト』やら『コンクリート・ユートピア』やらそういう部類の作品です。その流れで映画『エクスペリメント』も観てみたんですよ。

 

なんか今、世の中がおかしいから、こういう胸くそ系が、めっちゃ観たくなる。映画の中で「わぁぁぁぁ」ってパニックになった時、なぜか腹の奥底がスッとするんです。なぜか?不安が可視化されるからかもしれないです。

 

で『エクスペリメント』も、わりと良かったので、今回はそのあらすじや感想を書いてみました。

 

この記事は完全ネタバレ記事となります。映画『エクスペリメント』の結末、ネタバレ部分にも触れておりますので、未見の方はどうかご注意ください!

 

 

映画【エクスペリメント】の作品概要

原題:The Experiment/上映時間:96分/製作年:2010年

エクスペリメント

監督:ポール・シェアリング
脚本:ポール・シェアリング

原作:マリオ・ジョルダーノ
出演:エイドリアン・ブロディ、フォレスト・ウィテカー、キャム・ギガンデット、クリフトン・コリンズ・Jr

 

2001年のドイツ映画『es[エス]』のリメイク版。原作は、マリオ・ジョルダーノの『Black Box』という小説で「スタンフォード監獄実験」という心理学の実験が、元ネタになっています。監督は、大人気のドラマシリーズ『プリズン・ブレイク』の発案者で製作総指揮を務めたポール・シェアリング。刑務所が好きだねぇ!

映画【エクスペリメント】の登場人物(キャスト)

『エクスペリメント』に登場するのは心理学実験に参加する被験者たち。被験者は囚人グループと看守グループに分けられます。

 トラヴィス(演:エイドリアン・ブロディ)

本作の主人公。介護施設でパート労働だったものの、州の都合で急に一時解雇を言い渡された。良識があり誠実な人柄。新聞の求人広告で、ある行動実験の被験者の募集を見つけ応募する。実験では囚人グループに振り分けられた。

 バリス(演:フォレスト・ウィテカー)

高齢の母親と2人暮らしの黒人男性。42歳で教会信徒。子供時代は、ボーイスカウトやドリルチームにも所属していた。母親の病気の治療費を稼ぐため、行動実験に参加する。実験では看守グループに振り分けられた。

 チェイス(演:キャム・ギガンデット)

看守グループ。不真面目で不良っぽいしぐさが目立つ。看守グループになれたことで威張り散らし、囚人グループの人たちを嫌な気持ちにさせた。ドラッグ・女好きをやたらアピール。

 ベンジー(イーサン・コーン)

囚人グループ。グラフィック・ノベルの作家だと名乗るが、実は違っていた。バリスタの彼女がいる。糖尿病患者。インシュリンが必要なことを隠して応募した。

 ニックス(演:クリフトン・コリンズ・Jr)

トラヴィスと同室の囚人グループ。17番。まっとうな金が欲しくて応募。おそらく以前に服役経験がある。刑務所暮らしに慣れているせいか、冷静。刑務所の中では正義を捨てろと、トラヴィスにアドバイスする。

 ボッシュ(演:デヴィッド・バナー)

看守グループに割り当てられた若い黒人男性。良識があり、穏やかな性格。ベンジーにインシュリンを渡す手助けをするなど利他的で、トラヴィスからの個人的な謝礼も断った。

 ベイ(演:マギー・グレイス)

トラヴィスと反戦活動で出会い、恋仲になる。トラヴィスが実験に参加するのとほぼ同時期に、インドへ旅立った。

映画【エクスペリメント】のあらすじ

映画『エクスペリメント』の模擬刑務所での実験の様子

画像引用:エクスペリメント : フォトギャラリー 画像 - 映画.com

 ①謎の行動実験の募集

主人公のトラヴィスは、介護施設で働く優しい中年。だが州の方針とやらで、いきなり一時解雇になってしまい暇を持て余す。反戦デモに参加した際、ベイという名の感じの良い女性と出会い恋に落ちた。ベイはあてもなくインドに行く予定で、一緒にどうか?と誘われるが、職を失ったばかりのトラヴィスには資金がなかった。

 

そんな折りトラヴィスは、新聞の求人広告である行動実験の被験者を募集していると知った日給はなんと1000ドル。2週間あるので行けばかなりの額が稼げるぞ!そう思ったトラヴィスは早速面接に向かう。

 

 ②疑似刑務所での心理学実験

面接は合格。当日、トラヴィスを含む被験者たちは、1台のバスに乗り込んだ。その中には、面接時、律儀にスーツを着ていたバリスもいる。一同の乗ったバスは監視カメラの設置された実験会場に到着した。疑似刑務所である。

 

会場では博士から「人権を侵す可能性がある」と伝えられるが、誰も辞退しない。被験者たちは、囚人グループと看守グループに振り分けられた。刑務所と同じ環境であるここで、2週間生活するという実験である。

 

実験のルールのイメージ画像

※画像はイメージです
①囚人は1日3食残さず食べること
②娯楽時間は1日30分
③囚人の移動は指定範囲内のみ
④囚人は勝手に話してはならない
⑤囚人はいかなる状況でも看守に触れてはならない

 

やめる人が出れば、実験は即中断される。ルール違反の囚人が出た場合、看守は30分で懲罰を考えなければならない。さもなくば、模擬刑務所のランプが点灯し、実験は中断。報酬は支払われないこととなる。

 ③1日目

博士は去り、実験が始まった。最初に看守役を楽しんだのはチェイスである。自分が看守グループであることをいいことに、偉そうな振る舞いをして囚人グループのメンバーに不快感を与えた。

 

囚人グループは名前ではなく、番号で呼ばれる。トラヴィスは77番、17番のニックス、51番のベンジーと同室になった。

 

バスケの時間、囚人グループの1人が、看守グループのボッシュに誤ってボールをぶつけた。ボッシュは鼻血を流したが幸いにもいい人で、わざとじゃないから大丈夫だと言う。だが他の看守役が許さず、囚人グループは全員腕立て伏せを10回させられることになった。

 ④2日目

出された食事が不味いという理由から、トラヴィスを筆頭にちょっとした暴動があった。看守グループは舐められてたまるか、と作戦を立てる。体罰は許されていないので、精神的に屈辱を与えようという話になった。提案したのは、バリスである。

 

看守グループは寝ている囚人グループに消火器をぶちまけびっくりさせた挙句、手錠で柵に手を繋いだ。「これ以降、今日のような出来事は絶対に許さない」バリスの大演説がはじまり、最終的には囚人グループに「はい分かりました」とまで言わせた

 

演説後バリスは、トイレで自身が性的に興奮していると知る。鏡に映るバリスの表情は、これまでにないほど生き生きとしていた。この出来事を境目に、バリスの言動は日毎にエスカレートしていく。

 

 ⑤3日目

朝礼時、糖尿病患者のベンジーが低血糖を起こして寝たままだった。しかし
バリスは「起き上がるにはチョコバーが必要」というベンジーを無視して、無理矢理立ち上がらせた。ベンジーの体調を心配したトラヴィスがこれに反論。少し冷静になれ、と極めて全うなことを言ったが、看守気取りのバリスはカッとなった。

 

その晩バリスは看守グループを引き連れ、トラヴィスを拘束し、彼のトレードマークのロングヘアを丸刈りにした。暴力は振るえないが、髪を切るのはOKと判断したのだろう。自分の与えられた看守という役割の権力に溺れ、自分に酔いしれるバリス

 

それでも自分に敬意を払わないトラヴィスに腹を立て、皆の前で自身の尿をかけた。これにはさすがに、何名かの看守役もドン引き。特に良識のある看守役ボッシュなどは、露骨に嫌な顔をした。ボッシュは、もしまた同じようなことがあれば、自分はリタイアすると言ってバリスを脅す。1人でもリタイアした場合、全員の報酬が出なくなるからだ。

 

 ⑥4日目

ベンジーが、インシュリンなしでは持たない体だと判明する。ベンジーはバッグの中にインシュリンを持ち込んでいたが、囚人グループの荷物は没収されていた。トラヴィスはまともな看守のボッシュに、ベンジーのカバンからインシュリンを持ってきてくれと頼む。だが、バリスに見つかり、彼がベンジーにインシュリンを渡す形となった。

 

バリスはトラヴィスの目の前で、自分の頭を丸刈りにする。俺は筋を通すと...。トラヴィスは、バリスに心療内科の受診を勧めた。苛立ったバリスはトラヴィスの顔を便器に沈めさせる。

 

 ⑦5日目

看守グループは、ボッシュを夜中に呼び出し暴行を加えリンチした。信じられないことだが、ボッシュはバリスの勝手な判断で、囚人グループに移ることになった。

 

朝礼時、我慢がならなくなったトラヴィスは囚人服を脱ぎ捨てる。すると他の囚人役も皆、トラヴィスに続いた。トラヴィスは監視カメラに向かい「扉を開けろ」と要求。制圧しようとしたバリスを、ベンジーが後方から殴る。するとバリスはベンジーを警棒で、力一杯殴り倒した。

 

看守グループはトラヴィスをドラム缶のようなせまい独房に閉じ込めた。看守グループの1人が、イカれてるとバリスを責め始めた。カメラはドラム缶型独房の中にも仕掛けられていた。「なぜ実験を中止しないのか」と、カメラに向かってブチキレるトラヴィス。

 

 ⑧6日目

1人の囚人役が、チェイスに侵されそうになる。閉じ込められたままのトラヴィスは、ベイからもらったお守りのブレスレットを使い、独房から脱出した。そして侵されそうな囚人役を助け、拘束されている他の囚人グループのメンバーを解放する。そこで死亡したベンジーを見て、トラヴィスは涙を流した。

 

囚人グループの復讐がはじまる。囚人役が全員で看守室のガラスを叩き割りはじめたので、バリス以外の看守グループは怯えた。しかしバリスは「俺たちが支配者だ」の一点張り。囚人グループは看守グループを追い詰め、徹底的にボコった。

 

赤いランプが点滅しブザーが鳴る。シャッターが開いたので、囚人グループも看守グループも皆、芝生の生えた日だまりに出た。まぶしい程の太陽の光を浴びながら、誰とも話さずしゃがみこむ被験者たち。迎えのバスがやって来た。

 

バスの中では、全員が1万4000ドルの小切手を受け取る。バリスは気まずい表情で、トラヴィスを見た。

 

 ⑨その後

後日、この心理学の実験がニュースで報道される。ボッシュは、ベンジーが死んだとインタビューで答えた。報道によれば、主任研究員が殺人罪で起訴されたようだ。

インドへ向かったトラヴィスは、ベイと無事再会を果たす。

 

【エクスペリメント】はスタンフォード監獄実験からインスピレーションを得た映画

ここからは、映画『エクスペリメント』の本家の映画や、元ネタになった実験についてみていきましょう。

 エクスペリメントの意味は?es[エス]のリメイク版として有名

es[エス]【日本語吹替版】 [VHS]

エクスペリメントは、実験という意味です。原題は『The Experiment』。スタンフォード監獄実験を元に製作された『es[エス]』のリメイク版として知られています。

 

『es[エス]』のほうは、2001年にドイツで公開された作品です。日本では2002年(だから『マトリックス』の3年後ぐらい)に公開されたっぽい。2010年の『エクスペリメント』は、そのアメリカリメイク版。って実は私も『es[エス]』のほう、観てないんですよね。今、配信とかでもなかなか観ることができず、やってるのは多分TSUTAYA DISCASぐらい。

 

観た人の感想によれば、ハリウッドリメイク版のほうが、エンタメ色が強いらしいです。なんだ、じゃあこっちでよかったじゃん!ってなって、そのままなんです。

 スタンフォード監獄実験とは?

1971年の夏、メリカのスタンフォード大学で行われた心理学の有名な実験です。フィリップ・ジンバルドーという博士の責任下、実験監獄の中で行われました。

 

当初の予定では2週間の実験が行われる予定でしたが、6日間で中止となっています。内容はごくごく普通の大学生などが被験者となり、与えられた肩書きや地位によって被験者がどう行動するかを実験したもの。悪名高いこの実験では、人が役割に合わせて行動してしまうことを証明しようとしました。要は看守役の人が制服を着て立場を得ることで、囚人役の人に精神的な虐待をするか?などを実験したものです。

 

21人の被験者を看守役と受刑者役に分け、それぞれの役割を演じさせたらしく、まぁここは映画とほぼ同じですね。実話との比較についての記事は、今書いていますので少々お待ちください。

追記:2026年5月23日

実話との比較記事書きました!以下のリンクからお読みいただけます。

↓  ↓  ↓  ↓  ↓  ↓  ↓  ↓  ↓

analogchan.hatenablog.jp

 

 スタンフォード監獄実験はイカサマか?

映画『es[エス]』や『エクスペリメント』は、スタンフォード監獄実験からインスピレーションを得た実話ベースの作品と言われてきました。がしかし、最近になってこのスタンフォード監獄実験自体にねつ造疑惑が出ています。実はやらせだった、とかイカサマだったとかいろんな情報が上がってきているんです。

 

なんと!ジンバルドー博士が、あらかじめ実験の目的を伝え、看守係の人に「囚人に厳しくするよう」指示していたという説もあり、あんた何が調べたかったん?てなりました。博士が看守役の被験者たちに、事細かく指示している音声記録も残っているという噂。

 

これらについても次回の記事で、触れていきたいと思います。

映画【エクスペリメント】のネタバレ感想

ここからは、『エクスペリメント』の個人的にツボったシーンをご紹介します。

 ほとんどバリスを観る作品

看守グループに割り当てられたバリスの画像

画像引用:エクスペリメント : フォトギャラリー 画像(2) - 映画.com

フォレスト・ウィテカーの演じるバリスという男がめっちゃヤバいヤツで、一気に惹き付けられました。教会信徒であるバリスは、序盤では物腰も柔らかく一見まともに見えます。でも看守グループに振り分けられてから、みるみる変わっていくんですよね。

 

バリスみたいな人は、これまで自分のサディスト的側面に気づいておらず、いきなり覚醒するタイプだと思います。例えば同じ看守グループに振り分けられたワルのチェイスとかは「俺こういうの好き」っていう自分の邪悪な部分を認めていて、だからまぁ最初のうちは手加減したりしながらテキトーにするんです。

 

でもバリスは、久々に勃起したりしてびっくりしてるから、容赦なし。目とかがギラギラしてきて、囚人グループにとことん屈辱を与えたりしてしまいます。これまで人から認められたこととかがなかったんだろうな、とか観ていていろいろ想像力が膨らむ人物でした。

 

看守役というだけで、よくもここまで残酷になれるもんだ、と。それこそがこの実験の目的なんですがね。無事実験を終え、報酬を貰うのだけが目的なら、別に囚人役に尿をかけたりする必要はないです。ただトラヴィスの言うとおり、彼のメンタルが相当にヤバいので、制御が効かなくなっていくっていうね。

 

「トイレット」、「トイレット」とメロディアスに威嚇するシーンとか、ちょっともう爆笑ですよ。でもめっちゃムカつくヤツなんです。フォレスト・ウィテカー、名演技だと思いました。さすがオスカー俳優!

 囚人グループの復讐シーン

まず、ボッシュが勝手に囚人グループに変更された件について。トラヴィスはバリスの権力の暴走があまりにもひどく危険を感じたので、囚人服を脱ぎ捨てたんだと思います。カメラに向かって話かけたのも、金はいらん、中止しろということでしょう。すると囚人グループの皆が服を脱ぎ捨てた。そうだ!行動を起こせと思いましたよ。実験が中止になると金が入らず、困るのはバリスも一緒なんでね。バリスの怯む表情が観たかった私は、このシーンで一旦スカッとさせられました。

 

さらにトラヴィスが独房から脱出した後の復讐劇。囚人グループの人数は看守グループの倍以上いるのに、バリスはまだ権力の力を信じているんですよね。他の看守役からもコケにされはじめてて、ざまあってなりました。大体この時点でもヤバさに気づけないのって、相当危ないヤツでしょ。

 

そしてついに囚人役が看守グループを追い詰め、フルボッコ。トラヴィスが暴力を振るってしまったのは、ちょっと悲しいです。

 シャッターが開くシーンは通快

もう限界というところまで来て、ようやく実験が中断。シャッターがガーって開いて、皆外に出れました。誰もが、囚人でなく看守でもないデフォルトの設定に戻ったんです。まぁ、蠅の王現象とでも言いましょうか。

 

奇妙です。これまで囚人と看守だった関係性が一気に崩壊し、全員がただの被験者だっただけという気まずさが伝わってくる。バリスがどんな言い訳をするのかと思っていましたが、何も言いませんでしたね。できれば、バリスを逮捕してほしかった。糖尿病患者だと知りながら、ベンジーを殴り倒し殺害したのはバリスでしょ?

まとめ

非個人化がテーマとか言うけどさ...。この映画のバリスについては、あの人が本領を発揮しただけじゃないの?とつい思ってしまう。映画を観る限り、看守という役割がバリス個人の性格を上回ったという風には思えないですね。あれこそが、バリスでしょ。覚醒!

 

ただ周囲の看守役で、バリスに歯向かえない感じになってる人が出てきていて、そこがやっぱり怖いなと思いました。やはり、置かれた状況と立場の影響を受けているんでしょう。

 

実話との違いや、スタンフォード監獄実験のイカサマ疑惑については、次回の記事に書いていく予定です!最後までお読みくださり、ありがとうございます!

2026年5月23日:追記

実話との比較・スタンフォード監獄実験のイカサマ疑惑についての記事を以下に書きました。こちらもどうぞ!  ↓  ↓  ↓  ↓  ↓  ↓

 

analogchan.hatenablog.jp