人を叩ける大義名分があれば、たやすく人を叩く。人はパニック状態に陥ったとき、なぜこんな悲しい行動に走るのか?そのことを思ったとき、自分も同じようにならないように、映画を観て考察を深めておこうと思いました。昨今は、ごくごく普通の人々の弱者・マイノリティ叩きがエスカレートしていておそろしい。確実に悪意があってやってる人もいますが、ただ何となく流されちゃう輩の集団心理が気になるんですよね。
ですからそういうのを描いた映画ばかり、10作品集めてみました。うわぁぁぁぁ!うぉぉぉぉーってなる、超胸糞展開の作品ばっかですが、私の場合、恐怖が可視化されると腹の奥底がスッとするんです。皆さんもよかったら、観てみてくださいね!
※作品の前になんとなく番号をふっていますが、面白い順というわけではありませんのでご了承ください。また以下の各作品全て、適度にネタバレしています。ご注意ください!
- 1.ミスト
- 2.逃亡地帯
- 3.蝿の王
- 4.クルーシブル
- 5.ファイナル・ゲーム
- 6.ヴォイジャー
- 7.サクラメント 死の楽園
- 8.ソフト/クワイエット
- 9.エクスペリメント
- 10.コンクリート・ユートピア
- まとめ
1.ミスト
原題:The Mist/上映時間:125分/製作年:2007年
監督:フランク・ダラボン
脚本:フランク・ダラボン
制作:スティーヴン・キング
出演:トーマス・ジェーン、ローリー・ホールデン、ネイサン・ギャンブル、トビー・ジョーンズ、マーシャ・ゲイ・ハーデンほか
映画【ミスト】の作品概要
スティーヴン・キングの中編小説(とあるが、ほぼ長編。長い)『霧』をフランク・ダラボンが映画化。フランク・ダラボンはミスト以前にも、映画『ショーシャンクの空に』や『グリーンマイル』で、キングの小説を映画化しています。ただしラストのオチだけは、ダラボンによって新たに付け加えられました。
ざっくりあらすじ(序盤)
平和な田舎町を激しい嵐が、襲った。翌朝、町の住民デヴィッドは、8歳の息子を連れて、買い出しのためスーパーマーケットへ向かう。しかし突如そのスーパーが、霧に包まれ、霧の中には謎の生き物がいて危険だという噂が立った。
外に出れなくなったスーパー内の人々はパニック状態に陥り、次第に正気を失っていくが...。
感想、おすすめポイントや見どころなど(ややネタバレ)
田舎町のごく普通の住民が、恐怖によって極限のところまで追い詰められた結果、あれよあれよといううちに、宗教ばばぁの言いなりになっていく話です。洗脳されていく町の人を見ているのがとても辛い。
細かいレビューはこちらに書いています。
↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓
2.逃亡地帯
原題:The Chase/上映時間:133分/製作年:1966年
監督:アーサー・ペン
原作:ホートン・フート
脚色:リリアン・ヘルマン
出演:マーロン・ブランド、ジェーン・フォンダ、ロバート・レッドフォードほか
映画【逃亡地帯】の作品概要
アーサー・ペン監督が映画『俺たちに明日はない』の前に撮った作品です。アメリカン・ニューシネマの直前に生まれた、アメリカン・ニューシネマっぽい作風。隠れざる名作。
ざっくりあらすじ(序盤)
舞台はテキサスの田舎町タール。石油でひと山当て億万長者になったヴァルが、その町を支配していた。タールが故郷で服役中だった若者ババーは、凶悪な男と一緒に脱獄してしまう。凶悪な男は逃亡中にセールスマンを殺害し、車を奪って逃走。残されたババーは、自分に殺人容疑がかけられるのを恐れた。
ヴァルの息子ジェイクは、ババーの妻であるアンナと内緒で付き合っている。
その日町では、ヴァルの誕生パーティーやら夫婦交換パーティやらをやっていた。ベロベロに酔った人たちが、ピストルを撃つフリをしてふざけている。そんな中ババーの脱獄&殺人容疑の噂が流れるが...。
感想、おすすめポイントや見どころなど
この映画の序盤から中盤にかけては、やや冗長で退屈に感じられるかもしれません。町の人たちの乱痴気騒ぎが延々と続き、登場人物の置かれた立場や人間関係がわかるでしょう。この大人たちが不真面目で、ホントけしからんくて、ティーンエイジャーが向かいでパーティーをやっていても、注意すらしない。お、やってるねーみたいな感じでご機嫌なんです。
そして、こんなイカれた連中が、ババーのニュースを聞いた後どうなるか?という話です。
終盤にそこいくかー!!!みたいな意外な展開があって、めちゃくちゃ面白いです。起こっていることは超胸糞なんですが。調子こいた連中がいよいよぶっ壊れていき、映画自体はバッドエンド。そしてマーロン・ブランドが演じるカルダー保安官がかわいそうでした(泣)
でも昨今のような不安を抱えた時代に観ると、心の奥底にあるモヤモヤが具象化されるせいか、なぜかスカッとします。考えの足りないごく普通の人たちが、集団パニック状態になり豹変するまでの時間は、あっという間。ほらね、何かやらかすと思ったよ、みたいな感じです。
3.蝿の王
原題:Lord of The Flies/上映時間:90分/製作年:1989年
監督:ハリー・フック
脚本:サラ・シフ
原作:ウィリアム・ゴールディング
出演:バルサザール・ゲティ、クリス・フュール、ダニュエル・ピポリー、バジェット・デール、ゲイリー・ルール、マイケル・グリーンほか
作品概要
後にノーベル賞作家となったウィリアム・ゴールディングの小説『蠅の王』を映画化。監督はハリー・フックです。ピーター・ブルック監督の1963年版もありますが、こちらは劇場未公開で、配信サービスでもなかなか観れません。蠅の王は今年(2026年)にドラマ版も出来て、配信が開始されました。
ドラマ版の感想は、以下の記事で書いております。
↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓
ざっくりあらすじ(序盤)
第二次世界大戦中、アメリカ陸軍幼年学校の生徒を乗せた飛行機が墜落し、24名の少年たちが無人島に漂流する。唯一の大人である機長は、重傷で意識不明だった。
秩序を重んじる優等生タイプのラルフが選ばれ、子供たちのリーダーとなる。ラルフと親しい知恵者のピギーが、リーダーを補佐した。
がしかし、一部の子供が島の洞窟で化け物と遭遇したと言い出す。恐怖心でいっぱいになった少年たちは、不良少年ジャックの言いなりになっていった。こうしてラルフとジャックのチームが対立し仲違いを起こす。次第にジャックたちの行動は、狂気じみたものへと変わっていった。
感想、おすすめポイントや見どころなど
無人島で理性を失った少年たちが、本能剥き出しでいじめ、リンチに加担するまでを描いています。
最初は誰もがラルフを支持していたのに、状況が厳しくなるにつれ、根気よく頑張れない子供が増えていき、暴力的かつ快楽的なジャックのほうに着いて行く。そこが恐ろしいです。
ラルフはルーム委員タイプ。ジャックはカリスマ性があり、モテそうな不良少年。
ラルフの考えは、必ず大人が迎えに来るから、それまでは皆で協力しておとなしく生き延びようというもの。それに対してジャックは、途中から「救助なんて来ない」と傍若無人になり、目先の快楽を優先します。1人、また1人と脱落しジャックの仲間が増えていき、だんだん強気になっていく不良チーム。
どんな時も悪いヤツは悪い。でもごくごく普通のおとなしそうな子供が、その場の空気に飲まれて弱い者いじめをはじめてしまう。そこが恐ろしいです。
4.クルーシブル
原題:The Crucible/上映時間:126分/製作年:1996年
監督:ニコラス・ハイトナー
原作:アーサー・ミラー(戯曲)
出演:ダニエル・デイ=ルイス、ウィノナ・ライダー、ポール・スコフィールド、ジョアン・アレンほか
作品概要
アーサー・ミラーの戯曲『るつぼ』の2度目の映画化。『るつぼ』は、イギリス植民地時代のアメリカで1692年に起こったセイラム魔女裁判を風刺的に描いたヒューマンドラマです。魔女認定された人が、次々と牢に繋がれていくのが理不尽すぎる。
監督はイギリスの映画監督や演出家、プロデューサーなどでしられるニコラス・ハイトナー。ウィノナ・ライダーの狂人めいた演技が見ものです。
ざっくりあらすじ(ネタバレあり)
時は1692年。マサチューセッツ州セイラムのジョン・プロクターは、生真面目でそっけないエリザベスと冷え冷えした生活を送っていた。原因はジョンの方にある。ジョンはかつてメイドであったアビゲイルに手を出してしまったのだ。これを知ったエリザベスがアビゲイルを解雇したので、アビゲイルはエリザベスに恨みを持っていた。
アビゲイルは、牧師で叔父のパリスの元で暮らしていた。そんなある日、アビゲイルをはじめとする村の娘たちが恋の魔法をかける儀式のダンスを森で行う。アビゲイルはエリザベスに呪いをかけるため、鶏の血を飲んでトランス状態だった。それを通りがかりのパリスに目撃されてしまう。
この騒ぎでなんと幼い少女2名が気を失い、意識が戻らず眠り続ける事態へと発展した。そもそも踊りが禁止なので、パリスは激怒。そのうちに、これは悪魔の仕業だという話になった。アビゲイルは咄嗟に、儀式の中心人物だったティチュバのせいにしたが、次第にエリザベスや村の人々を巻き込んでいく。アビゲイルに扇動された他の娘たちは、集団ヒステリー状態となり...。
感想、おすすめポイントや見どころなど(ネタバレあり)
いや、もうね、ホントわけわかんないですよ。医療が発達してないせいか、少女が目を覚まさないとかの理由で魔女の専門家を招いたり、判事たちが村にやって来たりして大騒ぎになっている。そしてアビゲイルが率いる少女たちが保身のために、罪のない村人たちを次々と「あいつは魔女だ!」みたいに言ってでっち上げていくというね。少女たちは、アビゲイルが煽動すると、馬鹿の1つ覚えみたいにギャーギャーと集団ヒステリーを繰り返すんです。
悪魔に対する恐怖で、村の大人たちもパニック状態に。実際に悪いことをしたかどうかなんか関係なく、悪者のレッテルを貼られてしまうとこうなるんだな、という怖さがありました。判事らも疑うことを知らず、何でそんなに頭悪いんか?という感じです。これが実話ベースというね。魔女狩りのターゲットって、女性だけではないんですよね。善良であるが、ストイックなモラルによって抑圧された人たちの恐ろしいことよ。むしろ適度にストレスを発散し、不真面目でいてほしいものです。
5.ファイナル・ゲーム
原題:Eden/上映時間:97分/製作年:2014年
監督:シャム・マディラジュ
脚本:マーク・マヴロタラシティス
原案:ネイト・パーカー
出演:ネイト・パーカー、イーサン・ペック、サン・カン、ディエゴ・ボネータ、ユージン・サイモン、ジェシカ・ロウンズほか
映画【ファイナル・ゲーム】の作品概要
ウィリアム・ゴールディングの『蝿の王』からインスピレーションを得て作られたであろうサバイバル・スリラー。ある意味では、大人版の『蝿の王』といえるでしょう。製作にはジャウマ・コレット=セラの名が!
ざっくりあらすじ(ネタバレあり)
ワールドカップで優勝したアメリカのサッカーチームが、ワイワイ・ウキウキしながら帰国していると、途中で飛行機が墜落。
サッカーチーム一同は無人島に漂流したが、怪我人も出てしまった。そんな中懸命に怪我人の看病をするコニー。がしかし、コニーが頑張る傍らで、メンバーが食料の話などで揉めはじめる。弱っている怪我人に、水を与えるかどうかで意見が対立した。
そんなメンバーの様子を見て絶望したコニーは、海に身投げしてしまうが...。
感想、おすすめポイントや見どころなど(ネタバレあり)
蠅の王からインスピレーションを得つつ蠅の王と違うのは、大人の男女が島に漂流しちゃってること。女性は、2人しかいないんですよね。
本作は今時点では、配信では観れません。まぁ、私はサン・カンさんが出演しているので、DVD買いましたが...。

サン・カンさんが演じるコニーは、コーチじゃなくてチームドクターみたいな役職なんです。日頃は選手の体調を管理したり、捻挫した人とかのケアをしてる方ですかね。だからこういう状況でも、専門知識があって幾分怪我人の手当てとかができる。優しい性格で『蠅の王』で言えば、サイモンみたいなキャラクターかもしれません。周囲がガヤガヤ揉めている間も、辛抱強く自分の使命を果たしていくんですがね...。
一方相変わらず浜辺でサッカーして遊んでる連中もいて、試合はもう終わったんだぞ!って思いました。いやいや俺たちはサッカーするのが仕事だから、という感じで危機感ゼロ。
誠実なキャプテンのスリムと利己的な副キャプテンとの対立がみどころで、そこが『蠅の王』っぽい。助けを待つ派のスリムは、ラルフを連想させられますね。『ファイナル・ゲーム』に関しては、いつかまた記事を書いていきたいです。
6.ヴォイジャー
原題:Voyagers/上映時間:107分/製作年:2021年
監督:ニール・バーガー
脚本:ニール・バーガー
出演:タイ・シェリダン、リリー=ローズ・デップ、フィン・ホワイトヘッド、コリン・ファレルほか
映画【ヴォイジャー】の作品概要
蠅の王、蠅の王、うるせえよ、と思われるかもしれませんが、こちらは宇宙版『蝿の王』のような印象の作品。蝿の王を観ている方なら、あっ似てるなと思うはずです。監督は、映画『ダイバージェント』や最強のふたりのリメイク版である『THE UPSIDE/最強のふたり』を手掛けたニール・バーガー。
ざっくりあらすじ(序盤)
自然破壊で、人類が滅亡の危機まで追いやられた近未来。移住可能な惑星を見つけた科学者たちは、人工授精で生まれた出来の良い子どもたちを教育し、宇宙船ヒューマニタス号に乗せて目的地へ送った。
惑星に行くには86年もかかるため、その子供たち30名の孫たちの世代が、見つけた星に入植できる予定である。宇宙船に乗る大人はリチャードだけ。リチャードは子供たちが幼い頃から教育を担当した人物で、地球の暮らしを捨てて同乗した。
しかし子供たちはティーンなった時、なんと船外作業をしていたリチャードが死亡してしまう。そこでリーダーを決めなきゃ!となり、真面目でしっかり者のクリストファーが選ばれた。しかしあるきっかけから、これまでの秩序が壊れていき...。
感想、おすすめポイントや見どころなど
子どもたちは快楽や性欲を抑える薬の入った「ブルー」といわれる青いの水を飲まされていて、そこはTHX-1138っぽいです。序盤に知恵のあるクリストファーとザックは、薬の作用に気づき飲むのを止めていました。
リチャードの死後は、皆がブルーを飲まなくなり、本能むき出しになって性行為を楽しんだり、暴飲暴食に走ります。あっちでいちゃいちゃ。こっちでいちゃいちゃ。喧嘩もはじまります。
THX-1138似の部分以外は、かなり蝿の王をなぞったようなイメージ。最初はクリストファー・サイドにいた人々が、エイリアンに怯えザックの方へ流れていく。こいつにエイリアンが憑いている、などと言って皆を扇動していくのが恐ろしいです。
『ヴォイジャー』の詳しい感想・考察は以下のリンク先からお読みいただけます!
↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓
7.サクラメント 死の楽園
原題:The Sacrament/上映時間:99分/製作年:2013年
監督:タイ・ウェスト
脚本:タイ・ウェスト
製作:イーライ・ロス
出演:ジョー・スワンバーグ、AJ・ボーウェン、ケンタッカー・オードリー、エイミー・サイメッツ、ジーン・ジョーンズほか
映画【サクラメント 死の楽園】の作品概要
1978年、人民寺院のジョーンズタウンで起こった集団自殺事件を基に作られた、モキュメンタリー作品。監督はX エックス、Pearl パール、MaXXXine マキシーンの監督・脚本・製作・編集でしられるタイ・ウェスト。製作にはイーライ・ロスの名が入っています。
ざっくりあらすじ(序盤)
フリーカメラマンのパトリックは、更生サークルに入った妹から妙な手紙を受けとる。妹は以前ドラッグ中毒だったが、今は国外の「エデン教区」という所で、静かに暮らしているようなのだ。そこで突撃潜入取材という独自のスタイルで取材を続けるNYの国際的なメディア会社VICEに相談し、VICEのサムやジェイクと共に「エデン教区」なる共同体へ向かった。
その共同体では、様々な人種の人が笑顔で暮らしていた。インターネットなどの情報を拒絶し、質素な暮らしを楽しんでいる。パトリックの妹キャロラインは、兄から見れば以前より調子が良さそうに見えた。が、サムやジェイクはインタビューで会った「エデン教区」のリーダーに違和感を覚える。彼は皆から「お父様」と呼ばれていた。口のきけない少女から、あるメモを受け取ったサムは顔色を変えるが...。
感想、おすすめポイントや見どころなど(ややネタバレ)
序盤から中盤まではやや冗長に感じられました。そこはグッと堪えて観ていただきたいです。口のきけない少女が、メモ書きで助けを求めてくるあたりからがヤバい。
エデン教区に住む人々は大抵洗脳されていて、ここが一番いいと思っているのですが、中には逃げたい人たちもいてパニック状態になっていきます。サムたちが乗って来たヘリに乗せろ!とか大勢でめちゃくちゃなことを言い出したりして、うぁヤバいってなる。そしてサムたちが来たことで、お父様が警戒してある行動に出てしまいます...。
これと類似した事件が、実際に起こっていたらしいです。心底恐ろしい。モキュメンタリー形式の表現なので、なおさらリアルに感じられました。
8.ソフト/クワイエット
原題:Soft & Quiet/上映時間:92分/製作年:2022年
監督:ベス・デ・アラウージョ
脚本:ベス・デ・アラウージョ
出演:ステファニー・エステス、オリヴィア・ルッカルディ、エレノア・ピエンタ、ダナ・ミリキャン、メリッサ・パウロ、シシー・リーほか
映画【ソフト/クワイエット】の作品概要
『ゲット・アウト』などで著名なブラムハウスが手がけた、スリラー映画です。メガホンを取ったベス・デ・アラウージョ監督は、南アメリカとアジアにルーツを持つ女性。
ヘイトクライムを題材に、狂った白人至上主義者たちの精神が崩壊し、取り返しのつかないところまでいってしまう様が、ほぼワンショットで描かれます。俳優さんたちの演技、大変だっただろうなと思いました。これは凄いですよ。
ざっくりあらすじ(序盤)
いきなり、差別主義者のエミリーが主人公。冒頭に有色人種の清掃係にいちゃもんをつけるので、そこですぐにわかります。
エミリーは幼稚園教師なのですが、仕事が終わると女子会のため教会ヘ行きました。そこに集まったのは白人ばかり。「アーリア人団結をめざす娘たち」という団体を結成し、日頃の不満をぶちまけます。神父が2階に上がってきてブチキレ、帰ってくれと言いました。
そこでしぶしぶ退散し、エミリーの家で二次会をすることになりました。その前にメンバーの1人であるキムの店で、お酒買っていこうよ、という話になります。キムの店でお酒を選んでいると、アジア人の姉妹であるアンとリリーがやってきて、エミリーたちと揉めました。
そこへエミリーの夫がやってきます。怒りが収まらないエミリーたちは、アンの家に行きパスポートを盗んで嫌がらせしようと企みますが...。
感想、おすすめポイントや見どころなど
主人公のエミリーがごく普通の幼稚園教師でありながら、わりと早い段階でめっちゃヤバい奴だとわかります。パイにハーケンクロイツのマークを入れたり、ノリでナチス式敬礼をやったり。こういう人たちとは、日頃から距離を置いたほうがいいなと心底思いました。極力関わりたくない部類の人たちです。
服役中のエミリーの兄がレイプ犯で、そこが姉妹と絡んできます。またエミリーは子供が出来なくて、悩んでいるんです。だからさえない、鬱々とした日々を過ごしていることが分かる。
自分が日本人(アジア人)なので、めっちゃ怖くて不快でした。が、同時に日本に住んでいる以上加害者視点の恐怖も感じずにはいられない。また本作は、あらかじめ加害者側の怖さが伝わるように、作られてているんじゃないかなとも思いました。
「アーリア人団結をめざす娘たち」のメンバーがアン姉妹の家に着いてからが、いよいよヤバい。他人の家に入っていっちゃうあたり、何か勘違いしているんですよね。フツーに考えればこれって(自分は)犯罪者じゃんって気付けるのに、思い上がりが凄くて、いくとこまでいって失敗しないとわからない。それ以降は、ごく少人数での集団パニックという感じでした。極限の状態まで追い詰められると、こういう人たちはやはりギャーギャーわめき、仲間割れ。喧嘩して、責任を擦り付け合います。同胞への愛情もないし、基本、無責任なんですよね。俳優さんたちの演技が素晴らしかったです。
9.エクスペリメント
原題:The Experiment/上映時間:96分/製作年:2010年
監督:ポール・T・シュアリング
脚本:ポール・T・シュアリング
原作:マリオ・ジョルダーノ
出演:エイドリアン・ブロディ、フォレスト・ウィテカー、キャム・ギガンデット、クリフトン・コリンズ・Jrほか
映画【エクスペリメント】の作品概要
2001年のドイツ映画『es[エス]』のリメイク版。原作は、マリオ・ジョルダーノの『Black Box』という小説で「スタンフォード監獄実験」という心理学の実験が、元になっています。最近、当ブログで2回も記事にしたんです。
↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓
ざっくりあらすじ(序盤)
介護職のパート労働者だったトラヴィスは、州の方針から一時解雇を言い渡された。暇になったので反戦デモに参加し、そこでタイプの女性ベイに出会い恋に落ちる。しかし恋仲になったベイは私インドへ行くの、と言う。一緒に行こうよと誘われるも、トラヴィスは失業中で旅費も出せない。
そんな折、トラヴィスは新聞の求人欄である行動実験の被験者募集を見つける。日給1000ドルで、2週間の求人。これが悪夢の始まりだった。
被験者として採用となったトラヴィスらが連れて行かれたのは、模擬刑務所。実験内容は、被験者がここで看守と囚人に分かれ、2週間の生活を送るというものだが...。
感想、おすすめポイントや見どころなど
いやもう、フォレスト・ウィテカーの演じるバリスってヤツが、ヤバすぎて終始釘付けでした。看守役を割り当てられたバリスは、40代ぐらいの信仰深い黒人男性。日頃は高齢の母と同居してて、ほとんど彼女の言いなりみたいな感じなんですが。
ところが看守に割り当てられてからというもの、じわりじわりと高圧的、支配的になっていきます。母から抑圧されてきた反動なのか?看守という役割にしっくり馴染み、性的な興奮を覚えたりするんです。ここが恐ろしい。
糖尿病を隠していたベンジーという囚人もいて、看守らの彼への対応がひどかったことが引き金となり、主人公トラヴィスと対立していきます。たまたま看守側に選ばれただけなのに、バリスらのつけ上がり方が酷く、役割によってこうも変わるのかと驚かされました。でも現実社会でも案外こういうことってあるよねと思います。超胸くそ展開の連続なので最後まで観ないと、気が済まないような作品でした。
10.コンクリート・ユートピア
原題:콘크리트 유토피아(Concrete Utopia)/上映時間:130分/製作年:2023年
監督:オム・テファ
脚本:オム・テファ、イ・シンジ
原作:キム・スンニュン
出演:イ・ビョンホン、パク・ソジュン、パク・ボヨン、キム・ソニョン、パク・ジフほか
映画【コンクリート・ユートピア】の作品概要
ざっくりあらすじ(序盤)
舞台は韓国のソウル。未曾有の大災害が世界を襲うが、ソウルのあるマンション(ファングンアパート)だけが、唯一崩壊しなかった。周辺に住んでいた生存者たちが、そのマンションに押し寄せたので住民たちは動揺する。
不法侵入や放火が相次いだことをきっかけに、住民たちは火災のときに活躍したたくましい男ヨンタクを住民代表にした。住民たちは「ファングンアパートの住民以外は立ち入り禁止」というルールを多数決で決め、ヨンタクを筆頭に他から来た生存者を追い出そうとするが...。
感想、おすすめポイントや見どころなど
ヨンタクが、伝統的な男らしさを体現したような人物で、非常時にはこういう人が嬉々として活躍するから、絶対に戦争になってほしくないなと思いました。
愛国者とかも、きっとこんな感じだよね。ただしヨンタクは、最後の最後までマンションに部外者を入れまいと戦っていて、そこはまぁネトウヨよりは筋が通っています。でも、部外者を普通に受け入れていたら、こんなことにはならなかったんじゃないの?と思いました。
かなり早い段階から大きな見せ場があって、そこからも注意を引くようなシーンがテンポよく入ります。韓国の映画は、こういうのが上手いですね。わぁぁぁってパニックになっていくときの躍動感みたいなのが凄くて、心を掴まれました。
まとめ
そして映画を観る限り、こういうのは大体恐怖心とセット。人は怖いと思った時に集団パニックを起こして、誰かを攻撃&リンチしてしまうのかな?とも思いました。
『福田村事件』や『ドント・ルック・アップ』が入っていないじゃないか?と思われた方もいらっしゃるでしょう。これらは本記事の姉妹記事となる「デマ・陰謀論編」に入れております。次回以降(次の次かそれぐらい)の記事で、アップする予定です。最後までお読みくださり、ありがとうございます!
![ミスト コレクターズ・エディション [DVD] ミスト コレクターズ・エディション [DVD]](https://m.media-amazon.com/images/I/51Ltanhu2JL._SL500_.jpg)



![ファイナル・ゲーム [DVD] ファイナル・ゲーム [DVD]](https://m.media-amazon.com/images/I/5174v7xo9sL._SL500_.jpg)




