A24の新作映画『Backrooms』の日本公開が決定しました。公開日など具体的な詳細は、まだわかっていません。全米では大ヒットしているようです。
わずか20歳の監督ケイン・パーソンズは、以前に『Backrooms(バックルーム)』というyoutubeシリーズを手掛けています。これ、結構前に観たんですよね。面白い作品だなぁって思っていて…。とにかくオシャレなんです。あの動画を観て、ピンとこない人がいるだろうか、という感じでした。
今回の記事は、youtube版『Backrooms』の概要やバックルームを語る上で欠かせないリミナルスペースについて、そしてyoutube版&最新映画『Backrooms』の監督を務めたケイン・パーソンズについて書いていきたいと思います。
この記事は、ケイン・パーソンズのyoutubeシリーズ『Backrooms』に深く触れています。これから日本でも公開されるであろう新作『Backrooms』のネタバレになる可能性もありますので、まっさらな状態で新作映画を楽しみたい方はネタバレにご注意ください!またリミナルスペースの関連作品として、『シャイニング』、『ビバリウム』、『8番出口』、『ランゴリアーズ』の内容に触れる場合もございます。未見の方はご注意ください!
- 【Backrooms】の最初の元ネタはネットの都市伝説
- YouTubeシリーズ『Backrooms』のレビュー:なぜ世界は熱狂したのか?
- 無人の黄色い部屋の怖さ|現代ホラーを揺るがすリミナルスペースの美学
- 【Backrooms(バックルーム)】わずか20歳の映画監督!天才ケイン・パーソンズとは?
- 長編映画【Backrooms(バックルーム)】の予告編から期待できること
- まとめ
【Backrooms】の最初の元ネタはネットの都市伝説
きっかけになったのは、4chanに投稿された1枚の画像。2019年に匿名のユーザーがこの部屋を「The Backrooms」だと後述する投稿をしたことが、他のユーザーのインスピレーションとなって二次創作が生まれたようです。画像には、ぼんやりとした黄色い壁紙の部屋が写し出されていて、これが現実世界の境界の外にあるバックルームだという都市伝説となります。
この話を動画にしたのがケイン・パーソンズのyoutubeシリーズ『Backrooms(バックルーム)』。ケインは元々あった都市伝説をインスピレーションに動画を作り、バズらせたという感じでしょうか。
後に元ネタになった最初の画像が、たぶん家具屋であったということが判明。劇場版『Backrooms』の舞台となるのも、家具屋の地下らしいです。さらに物語の主人公は、家具屋のオーナーなんです。元々あったネット文化への、リスペクトが感じられます。
YouTubeシリーズ『Backrooms』のレビュー:なぜ世界は熱狂したのか?
まず本作ですが、こちらのyoutubeで観れます。1エピソード目の『Found Footage』が有名ですが、全部で24エピソードまであるんです。
追記:全部で25エピソードありました。すみません。
9分ぐらいの動画。短編映画を撮影していた男性が、バックルームに迷い込む話です。ファウンド・フッテージの手法で撮影されているため、本当にバックルームなる謎の空間があるんじゃないか?と思わせてくるような感じでした。ふとした瞬間に、自分もここに入って出られなくなったらどうしよう、みたいな恐怖に襲われる。1エピソードづつ見続けると、じわりじわりくる感じです。
24エピソードのうち、3エピソードが迷い込んでおそらく行方不明になった被害者の記録映像。タイトルに「Found Footage」と入っているので、すぐにわかります。
Found Footage
Found Footage #2
Found Footage #3
動画を撮影している主人公は、歩いても歩いても人が見当たらないので「Hallo!」とか一生懸命呼び掛けて、仲間を探しているんです。で、ようやく壁の落書きを見て、なんだ人いるじゃん!って安心した矢先に...。という話です。
そして残りのエピソードは、このバックルームとの境界を貫通させてしまったAsync研究所にまつわる話です。ざっくり言ってしまえば、この『Found Footage』以前に研究員たちが数名で、ここに入っていたというね…。あの空間へ通じる門は、Async研究所に作られたものだったということがわかります。黄色い防護服とかを着た人が入っていって、迷子にならないように赤い紐(ライン)を引いていくんです。そういうエピソードが、時系列バラバラで、入っています。
私にとっては『Found Footage』よりも、この研究員たちのエピソードが面白く感じられました。なんというか、プライマーとかそういうノリですかね。現場感が凄い。ピカピカした輝かしいところがないのに、惹き付けられるような。ただ『Backrooms』はリミナルスペースなど、美的空間を意識した作りだと思います。
この「Found Footage」以外の21エピソードには、隠しエピソード(非公開動画)もあって、なかなかの凝った作りになっています。隠しエピソードは、1つ前の動画の概要欄にリンクが貼ってあり、そこから観ることができます。
無人の黄色い部屋の怖さ|現代ホラーを揺るがすリミナルスペースの美学
ここからは、誰もいな~いのになぜか気になる、あの空間について考えてみます。
建築分野でのリミナルスペース
「リミナルスペース」
この聞いただけでワクワクするような言葉は、なんでしょうか?元々建築分野では廊下、階段、エレベーター、待合室、ロビー、空港、駐車場、高速道路の休憩所など通過が本来の目的である場所を、こう呼んでいるようです。
皮肉にも、というか奇遇にも、学校の廊下や駅や空港、高速道路の休憩所というのは、通過するだけの場所のはずですが、人々が積極的に行きたがるある種のコミュニティ形成のきっかけとなる場所でもあってそこが不思議だなと思いました。
学校の廊下や駅のホームに、特別な思い出を持っている人は少なくないはずです。私はエレベーター前のちょっとした休憩スペースとか、空港やホテルのロビーとか、単なる通路とかが昔から異常に好きなんで、こういう話には敏感なんです。あの場所に何かがある、ってずっと思っていました。またこの話に共感できる人も、案外多いんじゃないかと思います。ただ飲食店やショップ、書店など目的を持って行く場所じゃないんで、いそいそとそこへ行くのは恥ずかしいような感じなんですよね。
シネコンで言えば、チケットをスキャンしてから各スクリーンに入る前の、あの通路の部分です。私はあの場所にいる時間が、いつもちょっと短い気がしてるんですよね。もっといたいけど、ずっと長くはいられないような。
まぁ本来はこういう場所を、リミナル・スペースと呼んでいたという話です。そして昨今のネットミームとしてのリミナルスペースは、これらの空間から一気に人が引いたような不気味な場所を指していることが多いです。
ネットミームとしてのリミナルスペース
昨今では、誰もいない廊下やホテル、ガソリンスタンドなど、不気味でありながら心を惹き付けられるような場所などがリミナルスペースと言われます。ごくごく日常的な場所が、非日常的に見える瞬間を捉えた画像なんかです。これらは以前からちょくちょく一部の人々から注目されていたんですね。
そしてちょうど4chan発祥で「The Backrooms」のミームが都市伝説として二次創作が流行った後、2020年3月にリミナルスペース的な画像の人気も上昇。新型コロナウイルスによるロックダウンが開始された時期です。インターネット上では既に人気を得ていたようですね。
そしてこの話を大きくしたのがケイン・パーソンズのyoutubeシリーズ『 Backrooms』。だからケインがはじめたわけではないってことらしい。ただより多くの人に拡散したのは、ケインだったという感じです。
Twitter上の「Liminal Space」というアカウントでは、誰もいない廊下やガソリンスタンド、駐車場などの不気味ながら美しい景色を見ることができます。
等間隔・同じ形・同じパターンが続く傾向
同じ形のイスだけが大量にずらりと並んでいたり、向き合わせた配置だったりするのですが、人が不在。こういう不気味な画像が、よくあります。
あと個人的に好きなのは、無機質な事務用品棚が、ダダダダダって並んでいるヤツ。色もグレーとかで地味めのものなんですけど。ケイン・パーソンズのyoutube『Backrooms』でもありました。こういうのを見るときの気分は、エイリアン・シリーズやSWとかのコンテナのデザインを見る時のワクワク感に近いです。
『Backrooms』では、だだっ広い部屋に柱だけが等間隔に配置されていたりします。廊下も、やたらと長い。この廊下の側面のドアが等間隔に並んでいて、ちょっと気持ちがいいんです。でも不気味だし、人間不在で虚しいという印象。
そして誰もいない廊下と言えば『シャイニング』です。
シャイニングは、リミナルスペースの関連作品として挙げられることも多いです。三輪車に乗ったダニーが廊下を徘徊するシーンには、不気味さと美しさが共存しています。このシーンが、ほんと好き。同じパターンのカーペットが印象的ですね。
8番出口やビバリウムなどリミナルスペースの関連作品
8番出口
リミナルスペースの関連作品と言えば、昨年話題になったばかりの映画『8番出口』です。
日本ではこっちのほうが人気かもしれない。元ネタのゲームが映画化されたものですが、これもネット都市伝説や「リミナルスペース」の影響を受けていることでしょう。映画『8番出口』はエンドロールも印象的です。
ビバリウム
『ビバリウム』は、あるカップルが同じ形の家が並ぶ住宅街から抜け出せなくなるという話です。
どこまで行っても延々と同じ家が並んでいて、そこ(ヨンダー)から出ることができない、という恐怖があります。一見パステルグリーンの家はきれいなんですが、規則的な配置がいき過ぎていて、ここまでくると気持ち悪いというレベルでした。
ランゴリアーズ
スティーブン・キングの小説が映画化された『ランゴリアーズ』は、飛行機の乗客が突発的に、数分前の過去の世界へ行ってしまったというもの。
生き残った10名は、誰もいない機内・空港で右往左往しながら脱出を試みるという内容。この10名の登場人物のキャラが、みんなそれぞれ濃いんですよ。この世界では、過去が次々消去されるという観念で描かれているのが面白いです。それにしても、ガランとした空港は観ていても本当に虚しい。そこに、突如ヤツが現れるのでね(笑)
誰もいない場所から抜け出せないという怖さ
youtubeシリーズ『Backrooms』には、エンティティも出現しますが、別にアイツがいなくても充分怖いと思います。どの方角に歩いても、延々と続く部屋、部屋、部屋。廊下もありますが、やたらと長くて気が遠くなります。合わせ鏡を見た時の、ゾッとする感覚に近い。
ようやく出口の標識を見つけ、扉を開けるとまたそこに部屋があって、途方に暮れるというね。いつまでたっても屋外に出ることができませんから。
こういうのをずっと見ていると、だんだん「もしも迷い込んだらどうしよう…」みたいな、本当にこういう空間がどこかにあるんじゃないか?って怖くなってしまいます。トイレから手が出る怪談物を見た後、トイレに行けないのと同じ心理が働くような。だからそこはやっぱりホラー。『8番出口』なんかもそうなんですが、もしも本当に起こったらどうしよう、という恐怖はこっちのほうが強い気がします。
まだ屋内...。まだ屋内...。そんな状況が続けば、インドア派の私だってさすがに息が詰まる。ケイン・パーソンズはバックルームに閉じ込められない方法について「どんな建物にも入らないで、ずっと外にいればいい」と言っているようですが、そんなの無理すぎるでしょ。
【Backrooms(バックルーム)】わずか20歳の映画監督!天才ケイン・パーソンズとは?
この人はお父さんがビデオゲームの開発者なんですよね。だからかはわかりませんが、ゲームっぽい絵作りの作品が多いです。
まぁわずか20歳で、映画監督デビューできたというのは凄い。どんだけ若いのよ。この方が生まれたのが2005年ということで、あの頃かーと既に社会人だった自分を遠い目で思い出すのでした。
ケインがこれまでに作ってきた短編映画やWebシリーズはいろいろありますが、大抵はyoutubeで観ることができます。ケイン・ピクセルズ(kane pixels)という別名でアカウントがあるので、そちらを検索してみてください。以下のリンクがケイン・ピクセルズのアカウントです。
そして、私のお気に入りの短編映画
↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓
この猿がね。キューブリックを意識してるんじゃないかな?と思う部分がありました。棒をもっていたりして『2001年宇宙の旅』っぽいです。『Backrooms』でAsync研究所の職員が着る装備も、防護服にヘルメット姿で、宇宙服を想起させられるんですよね。ホラーというよりは、SFですね。
他にもSFのショート作品がありました。
長編映画【Backrooms(バックルーム)】の予告編から期待できること
予告編を観る限り、Webシリーズとの繋がりを感じました。
公式予告はこちらです ↓ ↓ ↓
特に黄色い防護服を着た人と黄緑色の防護服を着た人が、揉めてるシーンが気になります。映るのはほんの一瞬ですが。黄色い防護服を着た人はAsync研究所の人なんじゃないかな、とか思ったり。ということは、研究施設のエピソードも、絡んでくるということ?とか、ついつい想像してしまいます。
黄緑の防護服を着た人は、Webシリーズのピーターという研究員じゃないか?という噂もありまして。ピーターはWebシリーズで、とんでもない目に合ってる人なんです(笑)。そうすると、謎解き要素も入ってくるんじゃないかと、勝手に期待しています。
まとめ
この記事では今後日本でも公開予定の最新映画『Backrooms(バックルーム)』の予習として、同監督が手掛けたyoutubeのWebシリーズ『Backrooms』をご紹介しました。また『Backrooms』のああいう空間は何?って疑問に思われた方のために「リミナルスペース」についても、言及しています。
『Backrooms』は単なる都市伝説から生まれたホラー(まぁそれでも充分面白い)ではなく、案外SF的な楽しみ方もできる作品ではあるまいか?というのが私の予想です。最新映画を観るのが楽しみですね。最後までお読みくださり、ありがとうございます!




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