アナログちゃんのこっそり映画鑑賞記

自宅でこっそり鑑賞した映画についてぽそぽそつぶやきます。

大人も子供も楽しめる内容【ズートピア】映画感想

ズートピア

原題:ZOOTOPIA/上映時間:108分/製作年:2016年

ズートピア (字幕版)

【監督】バイロン・ハワード、リッチ・ムーア

【声の出演】ジニファー・グッドウィン、ジェイソン・ベイトマンイドリス・エルバ

【日本語吹き替え版の声の出演】上戸彩森川智之三宅健太村治学

【あらすじ】

どんな動物も快適な暮らしができる環境が整えられた世界。各々の動物たちには決められた役割があり、農場でニンジン作りに従事するのがウサギの務めだったが、ウサギの女の子ジュディは、サイやゾウ、カバといった大きくて強い動物だけがなれる警察官に憧れていた。警察学校をトップの成績で卒業し、史上初のウサギの警察官として希望に胸を膨らませて大都会ズートピアにやってきたジュディだったが、スイギュウの署長ボゴは、そんなジュディの能力を認めてくれない。なんとかして認められようと奮闘するジュディは、キツネの詐欺師ニックと出会い、ひょんなことからニックとともにカワウソの行方不明事件を追うことになるのだが……。

ズートピア : 作品情報 - 映画.com


『ズートピア』予告編

【感想】完全ネタバレ

ウサギのジュディ・ホップスは、数々の試練を乗り越えて憧れの都市【ズートピア】の警察官になる事が出来ました。折角ズートピアにやってきたジュディですが、任された仕事は駐車違反の取り締まり・・。がっかりしたジュディが、一人暮らしのアパートで【おひとり様ニンジン】を食べるシーンは切ないです。しかしうさぎは警察官に向いていないという偏見と戦いめげないジュディ。そんな時アイスクリーム屋の前で、怪しいキツネ「ニック」を見つけます。 

 

この作品が面白いなとまず思ったのが、ジュディとニックが出会うシーン。ジュディは良い事をしたつもりになるのですが、実はこれがまんまと騙されていた。ニックらは子供にアイスクリームを買ってあげたい可愛そうな親子の演技をして、ゾウやジュディを騙し、ジュディに代金まで支払わせた。ゾウサイズの大きなアイスクリームを溶かし、小さな型に流して小動物に売って稼ぐ。これがニックの商売でした。ズートピアの悲しい現実を見た気がします。

 

 

そんな時ジュディに、動物失踪事件を捜査する仕事のチャンスが来ます。それはカワウソの旦那さんが行方不明になったので、探して欲しいという内容のもの。但し捜査が許されるのは48時間だけです(笑)。是が非でも犯人を捕まえたいジュディは、詐欺師であるニックを半ば脅して、協力を求めます。

 

カワウソが乗っていた車のナンバーを知った二人(二匹)は、その車の持ち主を調べてみる事に。ニックに紹介されて車のナンバーを調べてくれるのは、ナマケモノのフラッシュ。ここは職員が全員ナマケモノで、仕事が想像を絶するぐらい遅い(笑)。彼にジョークを言っても、笑いだす前に1秒程度止まる、タイミングの合わなさが堪らなく良いです。ちなみにフラッシュの日本語吹き替えを担当しているのは、村治学さんです。

 

そして本作のメインの出来事である肉食動物失踪事件の謎が、徐々に明らかになっていく下りでは、うさぎのジュディがうっかり「凶暴化した動物は全て肉食動物で、野生の本能が目覚めたせいでは?」とインタビューで発言しまいます。その言葉に傷つきジュディと絶交するニック。「えーっ」って思いましたが、このありきたりではない展開が良かったです。ジュディは自分自身でも気づく事が出来なかった、己の内面を知り落胆します。

 

そんな時、ある植物が動物を凶暴にさせる事を知ったジュディ。その花は「夜の遠吠え」という名の物で、これを食べると草食動物であっても凶暴になります。ジュディは急いでニックにその事を伝え、謝罪します。自分のした過ちに気付き、懸命に責任を取ろうとするジュディ。偉い。晴れてニックと仲直りをし、事の真相を掴むべく物語はクライマックスへと向かいます。

 

結局黒幕だったのは、市長に成り上がったヒツジのベルウェザー。肉食動物=凶暴というイメージを住民に植え付けて、自分ら草食動物のカブを上げようとしていたのです。「恐怖で支配してやる」的な彼女のセリフにはさすがにイラッとしましたが、同時にゾッとしました。一見穏やかそうに見せかけておいて、本当に卑怯だなと思います。

 

ニックの好演技のおかげもあり、ヒツジのベルウェザーの悪行が世間にバレて、一件落着。めでたしめでたし。野生化していたかわうその旦那さんが、元の優しい夫に戻るシーンが泣けます。そしてラスト、ニックとジュディが時速185kmのスピード違反を取り締まりに行くと、運転席にはナマケモノのフラッシュが乗っていた(笑)のが良いです。

 

それぞれの個性が認められ、多様化された社会の素晴らしさを生き生きと映し出すと同時に、それらを維持していく事がそうそう簡単ではない事だと感じ取れる作品でした。今抱えている様々な問題に対して「現実はこんなもんよ」と、すぐに諦めない事の素晴らしさが描かれた作品だと思います。