夫婦間の闇の部分を直視させられる【ゴーン・ガール】映画感想
ゴーン・ガール
原題:GONE GIRL/上映時間:149分/製作年:2014年
監督:デヴィッド・フィンチャー
原作:ギリアン・フリン
脚本:ギリアン・フリン
出演:ベン・アフレック、ロザムンド・パイク、ニール・パトリック・ハリス
【あらすじ】
幸福な夫婦生活を送っていたニックとエイミー。しかし、結婚5周年の記念日にエイミーが失踪し、自宅のキッチンから大量の血痕が発見される。警察はアリバイが不自然なニックに疑いをかけ捜査を進めるが、メディアが事件を取り上げたことで、ニックは全米から疑いの目を向けられることとなる。
【感想】完全ネタバレ
『ファイト・クラブ』『ソーシャル・ネットワーク』などで有名なデヴィッド・フィンチャー監督が、新たな扉を開いた衝撃のサスペンスです。原作はギリアン・フリンの『ゴーン・ガール』です。
この作品を観て「女は怖い」という感想を持った男性は多い筈。同姓の私から見てもかなりの恐怖感がありました。でも基本的にはコメディなので、笑い所もたくさんあります。
これまで共に生活をして、何となく気を許していたつもりの配偶者が、突然別の顔を見せる瞬間。しかもこれが以前から周到に計画された事であると分かった日には、言葉も出ませんね。 ミステリーというかホラー、でもやっぱりコメディって感じです。
主演はベン・アフレック。彼の妻役を演じたのはロザムンド・パイクです。彼女が超名演技を披露したので、当時はアカデミー賞の主演女優賞を獲るのではないかと言われていました。
5年目の結婚記念日に突然姿を消したエイミー(ロザムンド・パイク)。当然旦那であるニック(ベン・アフレック)は慌てます。キッチンにはエイミーの血痕らしきものがあり、ニックは更に動揺します。ニックはすぐに警察に連絡し、エイミーの捜査を依頼します。公開捜査では行方不明になったエイミーは、児童文学「完璧なエイミー」のモデルであったと世間に知らされます。
私が思うにこのエイミーの両親はどうかなと思います。「完璧なエイミー」ってタイトルの児童文学で金儲けするは、娘であるエイミーにプレッシャーをかけるわで、完璧に毒親ですね。挙句の果てには娘が行方不明になったからと言って、派手派手しいやり方で捜査の依頼をしてました。もちろんなるべく多くのメディアを使って捜査する方が良いとは思うのですが、この両親の持つ雰囲気がちょっと・・・です。
捜査が進むにつれ、実はニックが犯人ではないか?と観ている人を惑わす様な仕掛けになっています。ベン・アフレックが持つ独特の、ちょっとぼんやりしてて何考えてるのかよく分からないキャラが上手く活きています。更には犯人は誰なのか?というミステリーに展開していくのですが・・・。
ところが通常のサスペンスであれば最後に来るはずのどんでん返しが、何故か映画の半分ぐらいの所で起こるというショッキングな展開。これは新しいですね、以後はほとんどエイミーの視点で語られていきます。
エイミーがニックにとった態度はいかがなものかとも思いますが、泣き寝入りしてあのままにしておくよりはマシなのかも知れません。彼女は彼女なりに大人の女性として、ニックにこれまでにはない態度を示した訳ですから、ある意味では勇敢です。ただやり方は、とても褒められたもんじゃありません(笑)。
都合の悪い事はバレるし、エイミーのペースにどんどん巻き込まれていくし、でタジタジになっていくニック。エイミーにも想定外のピンチがやって来るのですが、全然めげません。元彼デジーを上手く利用して、難を逃れていきます。あり得ない男女間のパワーゲームを見せられて、それにどんどん引き込まれていく感じです。
エイミーが金持ちの元彼の別荘で防犯カメラに向かってした行為には、爆笑してしまいました。鑑賞する人を選ぶ作品ではあると思いますが、夫婦間の闇を描いた傑作だと思います。