過去1年間で観たSF映画(マイナー作品を含むおすすめ)21選【前編】
観た事すら忘れてしまっている映画が最近増えてきています。歳を取ってから思うのは、若い頃のように友人が「あの映画観た?」って飲み屋でいちいち話題に出してくれる訳ではないということですね。最近はコロナもありますし...。特にマイナー作品などはちゃんと記録しなければ、タイトルを見ても未見だと勘違いしてしまう作品がでてくる始末です(汗)。よって当ブログにもなるべく記し、皆様に少しでも役立てて頂ければと思います。メジャー作品もありますが、劇場未公開・配信のみの作品も入れています。
ここ1年の間に公開・配信されたというのではなく、自分が過去1年ぐらいに観たSF作品ですのでご了承ください。7選×3記事(前編・中編・後編)で21選の予定です。
※それとややネタバレします。ご了承ください。
1.イカリエ-XB1
原題:Ikarie XB-1/上映時間:88分/製作年:1963年
監督:インドゥジヒ・ポラーク
脚本:インドゥジヒ・ポラーク、パヴェル・ユラーチェク
原作:スタニスワフ・レム
出演:ズデニェク・シュチェパーネク、フランチシェク・スモリーク、ダナ・メドジツカー、ほか
作品概要
チェコスロバキアで作られたSF映画で、原作はスタニスワフ・レムのSF小説「マゼラン星雲」。スタニスワフ・レムは『ソラリス』の作者ですね。この映画は1963年に公開されてますが、キューブリックの『2001年宇宙の旅』が公開されたのが1968年だから、当時は相当に目新しかったのではないか?と思います。
ざっくりあらすじ(序盤)
時は2163年。宇宙船「イカリエ-XB1」は、未確認生物の探査のためアルファ・ケンタウリ惑星系を目指していた。乗組員は40人ぐらい。老朽した古い宇宙船を見つけるまで、旅は順調だった。しかしその後2人の乗組員をその宇宙船調査に送って以来、不穏なできごとが相次ぐ...。
感想、おすすめポイントや見どころなど
昨年に突如アマプラの見放題で観れるようになり、すぐさま鑑賞しました。いやぁ、未知の世界。出演者1つとっても、知った人が一人もいないですね(笑)
乗組員は40人ぐらい。序盤は宇宙に旅立った人々の会話劇が主で、群像劇っぽい感じかなと思いましたが、地球のものと思われる古い宇宙船を見つけてから、ガラリと空気が変わります。未知の旅の道中、想定外の状況に遭遇した人々の狂気が淡々と描かれていました。
2.囚われた国家
原題:Captive State/上映時間:109分/製作年:2019年
監督:ルパート・ワイアット
脚本:ルパート・ワイアット、エリカ・ビーネイ
出演:ジョン・グッドマン、ヴェラ・ファーミガ、アシュトン・サンダースほか
作品概要
監督は『猿の惑星: 創世記』でメガホンを取ったルパート・ワイアット。共同脚本のエリカ・ビーネイは、彼の妻らしいです。やや異色の社会派SFサスペンス。
ざっくりあらすじ(序盤)
時は2027年、地球はエイリアンの支配下にあった。エイリアンの目的は主に資源の搾取。人々はそれぞれ首にGPSを埋め込まれており、常に監視下にある。貧富の差は広がり、街はピリピリモード。一方ピルゼン特捜班の指令官のマリガンは、近い内にテロが起きるのではないかと目を光らせていた。そんな中レジスタンスチームは、スタジアムでの団結集会にエイリアンが現れるとの情報を得て、テロの実行を試みる。
感想、おすすめポイントや見どころなど
猿の惑星の監督だし、ポスターには不気味なガンダムもどきが写っているので、ド派手なアクションとか戦闘とかあるのかと思いましたがそうではなかった。でもガンダムさんが動いてくれなかった(涙)とか、どうでもよくなるぐらい面白いです。人間の方も、エイリアンに媚びるチームと媚びないチーム即ちレジスタンスに分かれていて、「あぁ、大体こうなるんだろうな」と納得の展開。
自分がこの街の住民だったらどうするか?多分彼らのようにテロは起こせないですね。なぜなら、テロが起きることによって必ず巻き込まれる人物が出てくると考えてしまうからです。でも、ただ邪悪な権力者に従おうとは絶対に思わない。う~んどうすればいいのか?などと考えさせられる作品です。
細かいレビューはこちらに書いています。
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3.ギヴァー 記憶を注ぐ者
原題:The Giver/上映時間:97分/製作年:2014年
監督:フィリップ・ノイス
脚本:マイケル・ミトニック、(英語版:ロバート・B・ウィード)
原作:ロイス・ローリー
出演:ブレントン・スウェイツ、ジェフ・ブリッジス、メリル・ストリープ、オデイア・ラッシュ、ブレントン・スウェイツ、テイラー・スウィフトほか
作品概要
監督はフィリップ・ノイス。ちょっと古いですが私が観たのでは『パトリオット・ゲーム』とか『硝子の塔』とかの監督です。原作は、ロイス・ローリーという方の児童文学で『ザ・ギバー 記憶を伝える者』。ジェフ・ブリッジスやメリル・ストリープらに加えテイラー・スウィフトなども出演しており、案外華やかなキャスティングです。
ざっくりあらすじ(序盤)
激しい戦争を経験した人類が、争いの起こらないルールを設け平穏に暮らす理想郷。その名はコミュニティー。職業などは自分で選ぶことが出来ず、コミュニティーの長老が決める。また服装や食事、住居なども皆"お揃い"で、全てが平等とされる監視社会。過去の記録は全て抹消されており、人々は人類の歴史についての知識を全く持てない。そしてその記憶を唯一管理できる人物は「ギヴァー」と呼ばれた。主人公ジョナスは、その記憶を受け継ぐ職業「レシーヴァー」に任命されるが...。
感想、おすすめポイントや見どころなど
毎度ディストピア映画を観ている人なら、「あぁ、毎朝全員に感情を抑える薬の投薬ね」とか「みんなお揃いの服装ね」とか、既視感のあるSF設定に飽き飽きするかも知れません。しかしそんな中、目新しいまたは珍しい設定を探すのも私の楽しみの1つです。
本作品では、人々がユニットと呼ばれる一軒家に5,6人ぐらいずつで住んでいるのですが、これが血の繋がった家族ではないんですね。一見家族のようなスタイルをとりながら、ランダムに選ばれた人々と暮らしている。これはいかにも「憎しみや争いのない世界を築く」というコンセプトに相応しいな(褒めてない...)と思いました。
以下結構なネタバレ↓
また、人々が色彩のない世界に住んでいるという設定もやや特徴的ですね。これは色があると肌の色に違いが出るからという理由らしいのですが、だからって色彩をごっそり奪わなくてもいいでしょ。それは真の平等ではありませんよ。本は読ませないわ、歴史は伝えないわでメチャクチャな世界観が堪能できます。
4.サロゲート
原題:Surrogates/上映時間:89分/製作年:2009年
監督:ジョナサン・モストウ
脚本:マイケル・フェリス、ジョン・ブランカトー
原作:ロバート・ヴェンディティ、ブレット・ウェルデル
出演:ブルース・ウィリス、ラダ・ミッチェル、ロザムンド・パイク、ボリス・コジョー、ほか
作品概要
ロバート・ヴェンディティ、ブレット・ウェルデルの同名人気コミックを『ターミネーター3』のジョナサン・モストウ監督が映画化。脳波でリモートコントロールした身代わりロボットに外出させることが、当たり前となった近未来を描くSFアクションスリラー。
ざっくりあらすじ(序盤)
近未来、多くの人々は自分の分身のロボットを作り、外出させるようになっていた。自身の身代わりロボット=サロゲートを職場に向かわせたり、恋人とデートさせたしたりする毎日。本人は、部屋のベッドで横になって意識を送るだけ。主人公トムもサロゲートを所有しているものの、このシステムに疑問を持っていた。彼の妻は同じ家に暮らしながら自室に籠りっきり。サロゲートばかりを送り、長年会ってくれない。世の中のサロゲート普及率は人口の98%にも上り、特に金持ちだけが使用している訳でもなかった。そんなある日、あるカップルのサロゲートが襲われる...。
感想、おすすめポイントや見どころなど
これ結構前に公開されていたのですが、観てなかったんですよね。で、昨年VODで鑑賞したら案外タイムリーでおぉっと思いました。すなわち、このシステムは感染症対策として使うとなかなか良いのではないか?という事です。まぁ、あまり現実的ではないので、こんなこと言えるのかも知れません。またそういう趣旨、コンセプトの作品でもないと思います。
でも自分の分身を自宅外に送るわけですから、ウィルスにも感染しなさそうだし、リモートワーク出来ない人にも最適ですよ。しかし、やはりアンチサロゲート派みたいな集団もいて、ロボット相手に身一つで頑張っていらっしゃる。すごいですね。ラストシーンは、結構印象深いです。
5.アナイアレイション -全滅領域-
原題:Annihilation/上映時間:115分/製作年:2018年
監督:アレックス・ガーランド
脚本:アレックス・ガーランド
原作:ジェフ・ヴァンダミア
出演:ナタリー・ポートマン、ジェニファー・ジェイソン・リー、ジーナ・ロドリゲス、オスカー・アイザックほか
作品概要
原作はジェフ・ヴァンダミアの『全滅領域』。この小説は「サザーン・リーチ」3部作の1作品目にあたり、その後『監視機構』、『世界受容』と続くようです。読んだ事ないですが、好奇心そそられますね。そして監督は『エクス・マキナ』のアレックス・ガーランド。自分は福岡に出来たばかりのジュンク堂書店で、たまたまこの監督の著書『四次元立方体』を買った思い出があり、何となく思い入れが深いです。完璧なジャケ買いですが(笑)
主演はナタリー・ポートマン。あと好きな女優さんでは、ジーナ・ロドリゲスなども出演しています。
ざっくりあらすじ(序盤)
主人公レナは、謎の任務に出かけた夫ケインを待ち続ける日々。しかし、ある日やっと帰ってきたケインは別人のようであり、突如血を吐いた。急いで夫を救急車に乗せ自分も同乗するが、正体不明の組織に拉致される。そこでレナは、夫が「シマー」と呼ばれる危険区域の極秘調査に協力していたと分かった。そこへは多くの人が調査に向かったが、生還者はケインのみ。レナは夫に何が起こったのかを知るため、ヴェントレスが率いる女性探検隊に入り、調査に向かう決意をしたが...。
感想、おすすめポイントや見どころなど
不可解な現象が起こる、という表現は案外難しいのだなと思いました。例えば私はゾンビ映画を知っているので、「ゾンビが出る」のは不可解な現象ではありません。ゾンビが出るから恐ろしいのであって、恐怖の対象は明確です。しかし本作品の初見の印象では何か変なことが起こっているのに、それがイマイチよく分からない。例えば調査隊がエリアに踏み込んだ直後、メンバー皆の記憶が無く、その上食事は何日分か減っています。化け物が出るより「そっちの方が怖ぇぇ」ってなりませんかね?そんな感じの作品です。それ以外だとサントラがかなり特徴のある音色で、結構面白いです。何となく、1度聴いたら忘れられないメロディ。
6.ブリス ~たどり着く世界~
原題:Bliss/上映時間:103分/製作年:2021年
監督:マイク・ケイヒル
脚本:マイク・ケイヒル
出演:オーウェン・ウィルソン、サルマ・ハエック、マデリーン・ジーマ
作品概要
劇場公開はされておらず、昨年Amazonで配信されたばっかりです。監督は『アイ・オリジンズ』や『アナザープラネット』の監督を務めた、マイク・ケイヒル。仮想現実を題材としたSFドラマ、SFファンタジーといった印象で、やや実験的な作品とも言えるでしょう。
ちなみに、アナザープラネットのレビューはこちらです。↓ ↓ ↓
ざっくりあらすじ(序盤)
コールセンターの中間管理職者である主人公グレッグは、ある日ちょっとした不注意で上司を殺害してしまう。社内の者には見つからなかったが、その日からグレッグの生活は一変した。バーでたまたま知り合ったイザベラに匿ってもらうため、ホームレスの住家に案内され、そこで生活することに...。イザベラいわく、この世界にはリアルとそうでない人がいると言う。その意味を理解するため、ブルーのクリスタルを鼻から吸い込んだグレッグ。目覚めると、そこは研究施設のようだった...。
感想、おすすめポイントや見どころなど
ザックリってしまえば、貧乏体験ツアー版マトリックス。序盤から研究施設に辿り着くまでの各シーンはやや退屈ですが、そこをがんばって乗り越えれば、ちょっと面白い話になってきました。哲学的な問いかけのあるSFファンタジーといった印象です。
細かいレビューはこちらに書いています。
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7.ブラック・ボックス
原題:Black Box/上映時間:100分/製作年:2020年
監督:エマニュエル・オセイ=クフォー
脚本:エマニュエル・オセイ=クフォー、ウェイド・アレイン=マーカス、スティーヴン・ヘルマン
出演:マムドゥ・アチー、フィリシア・ラシャド、アマンダ・クリスティーンほか
作品概要
Amazonが配信する「WELCOME TO THE BLUMHOUSE」というホラー映画アンソロジー8本の中の1本。
ざっくりあらすじ(序盤)
主人公ノーランは半年前に事故で妻を亡くし、自身も記憶を失っている。娘のエヴァはまだ小学生であるが、以前と全く違うノーランに対し、懸命に世話を焼く日々。ある日ノーランは友人ゲイリーの勧めで、リリアンという女性医師の治療を受ける。神経外科医であるリリアンの治療は、催眠術のようなものだった。「ブラック・ボックス」という特殊な機械を使い催眠にかかっている間、ノーランは過去の思い出の中に入り、自由に歩き回ることが出来る。しかしノーランはある日、仮想空間の中で、明らかに自分の過去とは関係のない人物と遭遇しパニックに陥る。
感想、おすすめポイントや見どころなど
何となく『ブラック・ミラー』ぽいかなと思います。ホラー作品として観るとそんなに怖くないですね。ずんべら坊みたいなのが出てきて、そこだけはちょっと不気味。細かいレヴューはこちらに書いています。
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最後までお読みくださり、ありがとうございます。この後は【中編】【後編】へとまだまだ続きます。現在作成中。ではまた!