恋愛マナーの悪い奴オンパレード【エターナル・サンシャイン】映画感想
エターナル・サンシャイン
原題:Eternal Sunshine of the Spotless Mind/上映時間:107分/製作年:2004年
監督:ミシェル・ゴンドリー
脚本:チャーリー・カウフマン
出演:ジム・キャリー、ケイト・ウィンスレット、イライジャ・ウッド、キルスティン・ダンスト、マーク・ラファロ
バレンタインは32歳の時に、本命の人に渡したっきりです(笑)。寒い日でしたよ。天神コア前で(ローカルネタですいません)。それ以来、このイベントに一切興味が持てなくなった。そもそも自分もショップ店員をしていたので、バレンタインなんて、企業が儲かる為に出来てるって事は常々実感していた訳ですよ。
自分はアクセサリーショップに勤めていたので、ホワイトデーの当日とか、翌日位にあわててお返しを買いに来るサラリーマンの男性をたくさん見てきた。血相を変えて飛び込んで来るお客さんらは、店に入ってからお返しする人数を数えたりする。で「12人」とか言う訳です。居酒屋の予約かなと(笑)。
そんなのを毎年見ながら、ばかばかしいイベントだなぁと思ってました。それなのに渡した。ゴディバのチョコでした。煩悩丸出しですが(笑)、彼は大人なので「わぁ、ゴディバだ!」って、ちょっと大げさに喜んでくれましたよ(泣)。そんなバレンタインの思い出。
忘却はよりよき前進を生む。ーニーチェー
という訳で『エターナル・サンシャイン』です。
完全ネタバレ記事です!ご注意ください。
【エターナル・サンシャイン】の主な登場人物
ジョエル・バリッシュ/ジム・キャリー
この物語の主人公。シリアスモードのジムが観れるのはこの映画と『トゥルーマン・ショー』ですかね。クレメンタインと出会った当時はラブラブでしたが、次第に「こいつ、何か考えが足りねぇな...」と嫌気がさし倦怠期に突入します。
クレメンタイン・クルシェンスキー/ケイト・ウィンスレット
こういう女性いますね。もしかすると、若い頃の自分もそういうことしてしまったかも知れない。突拍子もないことを言い出して、男性を困惑させるタイプ。急に氷の上に寝そべろうとか言い出したりして、子供じゃないんだから。髪の毛の色をコロコロ変えるのも、観ていて落ち着かないですね...
パトリック/イライジャ・ウッド
この映画のキーとなる人物。クレメンタインとジョエルの思い出を丸パクリして、クレメンタインを口説こうとする若者。ゲスの極みです。演じているのは『ロード・オブ・ザ・リングシリーズ』などで知られるイライジャ・ウッド。私が彼を初めて観たのは子役時代のイライジャで『ラジオ・フライヤー』だったと記憶しています。確か兄の方ですね。また子供時代はマコーレー・カルキンと共に『危険な遊び』にも出演していました。可愛かったです!
メアリー/キルスティン・ダンスト
ラクーナ社の受付係。スタンの出張施術現場、すなわちジョエルの部屋に呼ばれスタンといちゃつく。博士には、実際の現場を見て勉強している的な言い訳をしたが、博士の方がもっとあかん奴だった。
スタン/マーク・ラファロ
ラクーナ社の若い医者。記憶除去手術の合間にメアリーといちゃつく不真面目な男かと思いきや、実は純粋に彼女のことを愛していた。地味キャラだけど、案外いい奴感があります。手術中にトラブルが発生した時も、すぐに博士に連絡するなど真面目な人物なのですが、そもそも勤めている会社の業務内容がダメなのでどうすることもできません。
ハワード博士
妻持ちの医者。記憶除去について精通している。
【エターナル・サンシャイン】チョー短いあらすじ完全ネタバレ
主人公ジョエルは、バレンタイン前に喧嘩してしまった恋人クレメンタインの職場である本屋を訪ね仲直りしようとしますが、まるで他人のようにあしらわれてしまい失望します。後日クレメンタインが記憶除去手術を受けたと知り逆切れしたジョエルは「クソー俺も記憶を消してやる!」と手術の手続きをします。しかしいざ眠りに入り、彼女との思い出を辿っていくと「やっぱり消したくない!」という気持ちが強まる一方。そこで、夢の中で「やっぱ手術中止!」とキャンセルしようとするも、それは出来ませんと言われてしまいます。そこで記憶の中にいるクレメンタインと協力し、思い出を消し去られないようにてんやわんやするという話です。
【エターナル・サンシャイン感想】完全ネタバレ
記事のタイトルからしてアレなんで、一応申し上げておきますが、私はこの映画が大好きだし素晴らしいと思っていますよ。ただ、いい年して照れくさいんです。
脚本はチャーリー・カウフマン。あと原案の部分には監督のミシェル・ゴンドリーと、ピエール・ビスマスも加担しています。もしも失恋の苦しみを消せたなら...このような観点から書かれたシナリオは秀逸で、第77回アカデミー賞の脚本賞を受賞しています。
多分物語はループしていないと思う
回想シーンの表現が独特で、タイムスリップする訳ではないのですが、何だかタイムトラベルものを観ている様な気分にさせられる。そこが良いなと思いました。
鑑賞した当初の感想としては、この2人は無限ループに入っているのではないか?と疑ったのですが、残念ながらその筋は薄そうです。この映画は『メメント』や『パルプフィクション』同様に時系列がバラバラに入れ替えられているので、一瞬ループものを観ているような錯覚に陥るのではないでしょうか。
また他の方のレビューを呼んで、「ループ」や「無限ループ」などの言葉を見かけるたびにもしかして...と期待するのですが、やはり違うかなと。でも、もしそうだったら面白いな、とは思います。がしかしこれは編集のトリックであり、冒頭に物語の終わりとよく似たのカットが入っているので、そう感じるのでしょう。だから終盤でパトリックが車内のジョエルに「大丈夫ですか?」って声をかけるシーンは、あぁここに繋がるのね!ってフツーに納得すれば良いのではないかと思いました。
ジョエルとクレメンタインは、知人らのパーティで海辺の家で出会い
恋人同士となり、ラブラブな日々を過ごすが
記憶を消した後
今度はモントールで出会う(冒頭のシーン)
というシンプルな話だと思うからです。
でもあの二人の恋愛が何度も繰り返されている、風な想像力を働かされるのは素敵ですね。
ポイントはクレメンタインの髪の色
ストーリーが時系列順ではないから、物事の経緯を若干理解しづらいですが、クレメンタインの髪の毛の色を意識して観ていくと分かりやすいです。
時系列順では
グリーン(1度目に出会った頃)
↓
赤(ラブラブの頃)
↓
オレンジ(倦怠期)
↓
青(別れて、記憶除去をした後)
でも映画のシーンとしては
冒頭に青い髪の毛のクレメンタインが出てきます。
その後のざっくりとした流れではオレンジ→赤→グリーンとさかのぼっていきます。これは記憶除去の施術の方法が、新しい記憶から消していくという手順だからでしょう。ジョエルの思い出の中のクレメンタインが、思いつきでものを言ったりするので、余計にややこしいですね。でも過去・現在・未来が交差する世界観は、恋愛そのものだと思いました。
恋愛に関するジレンマが上手く表現されている
相手の事を忘れたい、でも忘れたくないという葛藤。記憶除去をするサービスを提供する世界=SFですが、これはある意味現実に恋愛で苦しむ人々のニーズをよく掴んでいると思います。
また恋愛をした時、様々な思い出が断片的に入り混じるあの感覚を、こうもスタイリッシュに表現できるものか!と驚かされました。この映画が特に人気である理由の一つが、主人公ジョエルの記憶が蘇ると共に、観ている人の恋愛体験も回想され、断片的な思い出がフラッシュバックされるからじゃないかなと思います。ある意味、エモいですね。
他の登場人物が不真面目過ぎて笑える
見所は記憶の除去手術のシーンですが、普通に考えて自宅でするか?と思いましたよ(笑)その上スタンとメアリーは、ジョエルが横たわっているすぐ傍で、エッチなことをはじめてしまいます。顧客のベッドの上でぴょんぴょんしたりして、本当にけしからんですよ。パトリックはまぁ、悪役的な存在だから仕方ないですが、こういうマナーの悪い男性の表現も絶妙ですね。
ジョエルのセリフに「(パトリック)は僕を盗んだ。僕のものを。僕の言葉や物で彼女(クレメンタイン)を誘惑している」というのが、あります。いますね、男女問わず、自分自身で勝負しない人。こういうのは現実には形として罪にならないから、問題にされにくいです。しかし劇中のパトリックは、記憶除去のためにクレメンタインが用意したジョエルとの思い出の品を盗み見しているので、はっきりいけないことだと分かります。いいメタだと思いました。
しかし、一番けしからんのはハワード博士でしょうか。自身の不倫を、自らの商売道具で改ざん。あんまりだなぁ。一見不真面目なメアリーですが、彼女にも悲しい過去があったのですね。酷い!
その他、ジョエルと同じマンションに住む夫婦、恋愛で落ち込んでいる友人の前でガミガミ喧嘩するなとか。博士の奥さん、クラクションを鳴らしたスタンを責めなくて良いでしょ。とか突っ込みどころ、たくさんでした。だけど、本当に大好きな映画です。
最後までお読みくださり、ありがとうございます!