アナログちゃんのこっそり映画鑑賞記

自宅でこっそり鑑賞した映画についてぽそぽそつぶやきます。

これはSF映画ですね【デジャヴ】映画感想完全ネタバレ(後編)

デジャヴ (吹替版)

原題:Déjà Vu/上映時間:127分/製作年:2006年

製作: ジェリー・ブラッカイマー

監督:トニー・スコット

脚本:テリー・ロッシオ、ビル・マーシリイ

出演:デンゼル・ワシントンポーラ・パットンヴァル・キルマー、アダム・ゴールドバーグ、ジム・カヴィーゼル

 

 

デジャヴ【あらすじ】ネタバレあり

543名もの犠牲者を出したフェリー爆破事件が起こった。捜査官ダグ(デンゼル・ワシントン)は、現場近くで、事件の一時間前に見つかった女性の死体が鍵を握っているのではないかと直感した。爆発の犠牲者に偽装されたその女性はクレア(ポーラ・パットン)といい、ダグはその顔を見た瞬間、何故か既視感を感じる。捜査は驚くべき監視システム「タイム・ウィンドウ」を使って行われた。これを使えば約四日前の過去を監視することが出来るのだった。

https://movie.walkerplus.com/mv36092/

 

あー、もう難しくて更新が遅くなってしまった。いやはや、もう年始ですね。本年もよろしくお願い致します。

 

ジェリー・ブラッカイマー×トニー・スコットというとどうしてもドカンドカンと大味な大作というイメージですが、本作はそれとは対照的にシナリオがややこしい。直接スクリーンに現れない部分の出来事が結構多くて(汗)、いやもう分らん!と何回もなりました。

 

という訳で後編です。 

デジャブ【感想】完全ネタバレ

 ホシのアジトで研究者達が見たものは?

さてホシのアジトに乗り込んだダグですが、当然そこには犯人はいませんから何が起こっているのか分かりません。アジトには派手に救急車が突っ込んでいて、爆発した様子。しかし科学者達が見ている過去の映像には、「そんなのはない」と言います。

 

ここまでの流れを整理して考えると、結局ダグが過去にメモを送った事で、同僚のラリーが事件に巻き込まれた。更にはラリーが現れた事によって、犯人は車が使えなくなってしまった訳です。そこでクレアから車を買う必要性が出て来た。

 

よってクレアがこの事件に関わったのは、ダグが過去の自分にメモを送ったせいという可能性が出てきます。そこでダグが過去にメモを送ったのは、今回が初めてではないと予測出来ます。

 

一方研究者達は4日と6時間前の映像を見ているので、その現場でラリーが殺害されるのを目撃しえらく落胆します。でも過去の事なので、どうする事も出来ない。幸か不幸か先程のメチャメチャな運転でゴーグルが一部壊れていたので、ダグはそれを見ずに済んだ。でも音声は聞こえてくるので、辛い思いをします。

 

水辺にはワニがいて、誰のか分からない手が浮かんでいます。更にダグは、アジトでクレアのピアスを見つけます。

 

 何と!もう犯人が捕まる 

しかしこのタイミングで犯人の居場所が明らかになり、逮捕。犯人の名前はキャロル・オースタッド。ホシが挙がったにも拘わらず、ダグは落ち込んだ表情です。なぜなら、結局過去を変える事が出来なかったから。それとは対照的にキャロルは、取り調べ中も勝利したかの様な高慢な態度と発言が目立ちます。超ふてぶてしい奴。ちなみに犯人役を演じたのは、ジム・カヴィーゼルです。

f:id:analogchan:20190106234643j:plain

画像引用:http://mihois.blog.fc2.com/blog-entry-76.html

 

奴の「運命には逆らえない」この言葉が意味するものは、要は過去を変える事が出来なかったダグをあざ笑うかの様でもありました。

 

 ダグ、遂にタイムマシンに乗り込む

人を一人救う事は大勢の人を救う事。ダグは自らの危険を承知で、タイムマシンに入り込みます。ダグに協力する博士。案外後半はこの人が良い人で、だんだん好きになってきました。

 

タイムマシンはドラえもんの空き地の土管にのび太が入った様な、イメージですかね。でもこれがタイムマシン。これは割と現実的なのかも知れません。この中にデンゼルが体育座りして入り込むのですが、なんか笑える様で結構切ない。

 

f:id:analogchan:20181212144707j:plain

画像引用:https://www.timepilgrims.com/blog/deja-vu-2006-timetravel-movie

 

f:id:analogchan:20181212144757j:plain

画像引用:https://bokete.jp/boke/33736598


「これは2度目?」ダグは博士に聞きます。博士の答えはイエスですが、本当かどうか。

 

 病院の手術室に転送されるダグ

到着先は病院の手術室。やるな博士!

 

 無事息をふきかえしたダグは、病院のベッドから抜け出し ます。連邦捜査官だと言って救急車をかっさらい、犯人のアジトへ向かうダグ。あんたはATFでしょ。クレアが危ない。救急車のサイレンをガンガン鳴らし、犯人のアジトまで向かいます。そして間一髪の所で、ダグの救急車がアジトへ突っ込む。

 

あれっ、またも前回と同じ光景を、作りだしてしまったのでは?大丈夫かなと思いました。もしや過去を変える事はやはり不可能なのではないか?と思ったりもする訳です。そこでアジトが大爆破。そこまでせんでも・・・と呆れる程、高さを強調した爆発の光景です。

 

犯人は車で逃げます。その後ダグは目隠しをされているクレアを助けようとするのですが、全然信じてもらえない。何とか説得したクレアを車に乗せ、彼女の家に向かいます。クレア宅で撃たれた傷の手当てをするダグ。

 

しかしクレアの疑いの念が再度勃発。「何で私の事そんなに知ってるのよ!」と言いダグに銃を向けます。そしてそのままの状態でATFに、「この男本当にいるの?」と確認の電話。これは冒頭にダグ宛てに女性から電話があったとは、この電話の事なのだと分かります。

 

それにしても血に染まったTシャツ、メッセージボード、机に置かれた銃の位置、留守番電話のメッセージ何から何まで以前見た光景と同じじゃないか!とダグは焦る。ダグは不意に、コップの位置を少しだけズラしたりします。ささやかな試み。更にクレアを1人にしない為車に乗せ、テロが起こるであろう現場へと向かいます。

 

 テロを阻止する為、いざ現場へ

従来犯人はフェリーに乗った車に爆弾のタイマーをセットし、バイクで橋の上まで行くつもりだった筈ですが、ダグが現れた為フェリーへ引き返しました。即ちヤツはここで、前回とは違う行動をとった訳です。それを見て、ダグの危険を察したクレアもフェリーに乗り込みます。

 

船の中の様子は聖者の行進の演奏、誤って人形を海に落とす子供、何もかもが冒頭と同じです。

 

クレアは犯人に見つかり銃を突き付けられます。更に警備員が現れ、彼が銃で惨殺される事に。銃声を聞きつけて船内の護衛の人達も、集まります。そんなに撃たんでも・・・と思う程発砲しまくる人達。

 

クレアは先日売った爆弾の仕掛けられた車に監禁されますが、車を出し犯人をはねます。ダグとクレアはテロリストである犯人を殺害した後、爆弾が仕掛けられた車に乗り込み、海の中へ突入。クレアは何とか脱出し助かりますが、車は爆発。ダグは命を落とします。しかしおかげで今度は、多くのフェリーの乗客の命を救う事が出来た。命は助かったものの、酷く落胆するクレアの元に、新ダグが現れます。

 

「以前に会った?」ダグのクレアに対しての話しかけ方が、他人行儀なのがちょっとだけ悲しい。で、ダグは「あ!オレ今デジャブ」と思った様です。だからその後のセリフが、「まさかね」なのでした。

 

この結末はハッピーエンドと捉えて良いのでしょうか?本作品をハッピーエンドと捉えるか、バッドエンドと捉えるか?は観た人それぞれという気がします。ダグは英雄ですよね。その上クレアにも、寂しい思いをさせなかった。でも、何かこの人じゃないんだけどな・・・ていう感じは、オブリビオンのエンディングとも近い気がします。

 

オブリビオン (字幕版)

オブリビオン (字幕版)

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

緻密に書かれたシナリオと、トニスコのダイナミックな演出。昔の香港映画のVHSビデオには「火薬の使用量が通常の香港映画の2倍!」などのキャッチコピーが書かれていましたが、最近はこういうのをあんまり見かけませんね。これにも「レンタルした船は爆破させない約束でした」などのコピーが付くと良いなと思いました。

 

さて本作品の大きな特徴と見て取れるのが、パラレルワールドという観念。例えばダグは『オール・ユー・ニード・イズ・キル』のケイジ(トム・クルーズ)の様に何度も死んでいる可能性があるが、ループはしていない

 

またループものだと主人公がだんだん強くなっていったりして、その成長を楽しむ事が出来ますが、パラレルワールドだとそういう訳にもいかないですね。

 

加えて大抵の場合はタイムトラベルのルールみたいなものが、早い段階で説明されるものだと思うのですよ。

 

例えばバック・トゥ・ザ・ヒューチャーの様に、過去を変えるとそれが未来に反映されるパターン。もしくはメッセージの様にタイムパラドックスの影響で、矛盾したループから抜け出せなくなるパターン。もしくはパラレルワールドの様な並行世界が描かれているなど。「ああなるほどこういうルールね!」と、観客に分からせそこから話を進める。しかしこの映画に関しては、最初の見せ方は明らかにサスペンスですし(笑)、その後も急に巨大なタイムウィンドウを見せられたりして唖然としたりします。そこで初めてSFなのか?と驚いたりして面白いですね。

 

その上見えていない世界をほんの少しの描写(ヒント)で、これがあるって事は、こんな事があったって事よ。と限りなく言ってくる映画。ウザイ。もう少しだけ、絵で見せ欲しかったです。まるでちょっとした態度で、自分が怒っている理由を察してくれと言わんばかりのわがままな女子のウザさですよ。これは。

 

でほんの少しの描写というのを、少し具体的に挙げてみますと。

・クレアの家には「U CaN SAVe heR (お前は彼女を救える)」と、謎のメッセージが残されていた。

これを冒頭にダグが見付けたという事は、ダグはこの時点でもう既に1度失敗したのだろうと予想が付きます。

 

・ダグがクレアの家を捜査した時、手袋を着用していた筈なのに、その後同じ場所を捜査した人はダグの指紋だらけだったと言う。

過去にダグがこの家に来ていた事を想像させられ、後半にはその理由が明らかになる。

 

・留守電のメッセージ

友人のベスからのメッセージにクレアが出た時、人が来ていると言っていた。それは誰なのか?後半を観ればダグだと思うが、この時に誰が来ていたのかは実際には分からない。またその後の無言のメッセージは誰なのか?など疑問も多い。

 

・犯人のアジトには救急車が突っ込んでいた

ダグのタイムトラベルは初めてではないという事が、後の展開を見る事で分かってくる。ダグが劇中で突撃するシーンは、少なくとも2度目。

 

 

 また、本作品を観ていると様々な疑問が湧いてきます

ダグは何回テロを阻止しようとしたのか?

おそらく3回以上。以上と考えるのは冒頭に出てくるダグが、果たして何度目のチャレンジャーなのかが不明だからです。彼はあの時点で5回目かも知れないし、100回目かも知れない。しかしあのしょっぱなの時点で、「U CaN SAVe heR (お前は彼女を救える)」という伝言をクレアの家で目撃した事から考えれば、少なくとも2回目以降の挑戦であると考えられます。その上クレアが事件に巻き込まれたのは、ダグがタイムマシンで送ったメッセージのせいであると考えると、その前に少なくとも1度はテロの阻止を試みている筈です。

 

ダグが過去にメモを送ったのは、劇中のシーンが初めてではない。

 あくまで推理ですが、冒頭でラリーとクレアは既に事件に巻き込まれている。過去のダグがの試みが、失敗した可能性が高いです。

 

安置された死体の中から、ダグと同じ携帯の着信音が聞こえる描写は?

 あれはタイムトラベルをし、テロを阻止しようとしてきたダグの携帯であるという説。しかし脚本家によれば、あれはダグではないという噂もあります。だったらこの際、紛らわしい描写は、止めて欲しい(笑)。

 

 ワニに食われたのは誰なのか?

誰の腕か?という疑問に関してはよくよく観れば、見た目からどう考えてもあれはクレアやダグの手ではない。そうなってくると、ラリーの可能性がかなり高いですね。

 

それよりも何よりも、なぜ、いきなりワニが出て来たのかなと思いました。うーん、アメリカだとワニがそこら辺の川にいるのがポピュラーなのですかね。確かに多くの映画に出てきますが、でも何かが気になる。

 

 

過去を変えれるかどうかのハラハラサスペンスが魅力

何というか本作はパラレルワールドものですが、そこにいちいちタイムパラドックスの拘束とか、矛盾が絡むと言うか。それをハートと体で乗り越えようとするのがダグ。多分彼はトニスコの分身ですね。それに対して科学者達は、脚本家の分身の様な気がしました。

 

大雑把な所で言えば、伏線はきちんと回収されていると思います。

ダグがクレア宅を初めて捜査した時、留守電に自分自身からのメッセージが入っていて驚きますが、この事も後半で上手く回収してくれます。

 

 

唯一気になるのが、ストーリー冒頭のテロ以前の話。これは未来からやって来たダグが阻止できなかったものと思われますが、それ以前に起こった事を知ろうとすると、どうしても時間の計算が合わない気がします。

 

なぜなら犯人が橋の上にいたのが10:47分。テロが起こる直前。

クレアの遺体を少年が発見した時刻が10:42分。ダグは「爆発の2時間前に殺されている」と推測する。

 

しかしクレアの家の留守電にベスがメッセージを入れ、クレアは途中で電話に出る。これが9:44分。この時間までクレアは確実に生きている。「人が来てるから」というのは、おそらくダグの事だろう。

 

この時点で時間の辻褄が合わない。犯人は9:45分~10:41分の間にクレアを殺害した事になりますが、仮に9:45に犯人が現れたとしても、1時間もない。クレアを殺害し、川に流し、それからテロ現場であるフェリーに爆弾を仕掛けた車を乗り入れ、バイクで橋まで行く。1時間弱で。物理的に無理じゃない?これと思ってしまいます。

 

そこだけが、何となく気になりました。

 

でもあまり深く考えず、さらっと観た方が楽しめるのかなとも思います。

整合性のある緻密な筋書きが頭の中から一気に消え去る程の、ダイナミックなアクション。このギャップが心地良い。難しいお話って、時にイラッとするんですよね。そんな時ドカーンとやってくれるのが良かったです。

 

 

デジャヴ [Blu-ray]

デジャヴ [Blu-ray]