イラッとするけど心に残る【流されて】映画感想
流されて
原題:Sweapt away/上映時間:125分/製作国:1974年
- 監督:リナ・ウェルトミューラー
- 脚本:リナ・ウェルトミューラー
- 出演:ジャンカルロ・ジャンニーニ、マリアンジェラ・メラート他
【あらすじ】ネタバレあり
船旅の途中、ボートで遠出した上流階級の人妻と使用人が遭難。二人は無人島にたどり着くが、文明と隔絶された環境の中でやがてその立場が逆転する……。突然の状況の変化によって互いの立場が入れ違うという図式は決して目新しい物ではないが、主演二人のキャラクターによる芝居は面白い。一見、男性優位主義的な造りだが、帰途してからの展開と、これが女流監督の手による物だという事を考慮すれば、そうでない事は確かだ。
【感想】ネタバレあり
この映画との初めての出会いは、20代の頃。仕事で疲れて帰宅して、そのままうたた寝。深夜に目が覚めると、ケーブルテレビでこの映画をやっていた。寝ぼけているし途中から観たので、よく意味が分からない。ただただ、島に流された風の男と女が汚い言葉を使い罵り合っていた。イラー!何なのよこの映画・・・と思いつつもしばらく観ていたが、日々のストレスとオーバーラップしてきてテレビを消した。
それからしばらくして深夜のケーブルテレビをつけると、またこの映画をやっていた。またも途中からなので話の筋分からず、男女の醜い喧嘩。イラーッ・・・・。この時、この映画に対して、何らかのご縁は感じたが、テレビを消した。
それから何年かして、この映画をキチンと最初から観た。「流されて」面白いではないですか!これは、男女の恋愛の話だったのですね。
贅沢な生活をしヨットの中で不平不満をたらたら漏らす女ラファエラ。彼女の提案でジェナリーノ(使用人)とボートを出したのはいいけど、ボートが故障してしまい無人島にたった2人で漂流してしまう。
そこで、これまでの立場が一気に逆転。それまで使用人としてこき使われていた男ジェナリーノは、自身がこれまでに培ってきたサバイバル能力を一気に発揮し、大きなエビを取ったり住家を用意したりして、どうにかこうにか生活をしていきます。しかし現金が一切意味を持たない無人島では、女ラファエラの方は何も出来ず男が捕獲した獲物をただ眺めているだけ・・・。この状況下では女ラファエラにとってもはや男は使用人なんかではなく、指図する事も出来ません。私は思いました。せめてこの女の人にもう少しに生きる為の知恵があったらなぁと。
食事もままならず、主従関係も逆転したラファエラは始めの方こそ屈辱を感じ男に反発しますが、野生の本能むき出しで服従させようとするジェナリーノに魅了されていきます。
徐々に島での暮らしを楽しむ様になってきた二人ですが、ついに捜索のボートが通りかかり無人島での生活は終わります。ヨットに救出された二人にはまた以前の無意味で退屈な生活が待っているのですが、この後ジェラリーノが取った行動が非常に切ないです。この映画は当時のイタリアの社会背景が上手く表わされているという意見もあり、興味深いなと思いました。
追記:『流されて』は、2002に『スウェプト・アウェイ』ってタイトルでリメイクされています(観ていませんが)。監督は『スナッチ』、『コードネームU.N.C.L.E.』のガイ・リッチー。当時奥さんであったマドンナを主役にして撮られたものでガイ・リッチー低迷期の代表作です。こんなに評判が悪いなら、逆にいつかは観てみたいと思っています。『リボルバー』も個人的には、結構楽しめたので・・・(笑)。