アナログちゃんのこっそり映画鑑賞記

自宅でこっそり鑑賞した映画についてぽそぽそつぶやきます。

過去1年間で観たSF映画(マイナー作品を含むおすすめ)21選【中編】

こんにちは。インプットは良いが、アウトプットはどうも...(汗)なアナログちゃんです。新しいの観たい!観たい!観たい!という欲望と戦いながら、中編やっと書けました。鑑賞後、すぐに書けば良いのですがね。なかなか...。

※以下、適度にネタバレしています。未見の方はお気を付けください。

8.ザ・フレーム

原題:The Frame/上映時間:127分/製作年:2014年

The Frame

監督:ジャマン・ウィナンス

脚本:ジャマン・ウィナンス

出演:デイヴィッド・カランセ、ティファニー・ムアッリム、カル・バートレットほか

  作品概要

本作品の脚本・監督を務めたジャマン・ウィナンスは過去に『Ink』という映画の脚本監督をし、そこそこ評価されてます。『ザ・フレーム』の方も、悪くない、予想以上に面白かったなどの意見が多く見受けられました。ちょっといい感じの掘り出し物的、SFファンタジー

  ざっくりあらすじ(序盤)

マフィアのアレックス、救急隊員のサマンサは、互いに孤独な人生を送っていた。ある日2人はテレビを通じて、会話ができることを知る。アレックスのテレビではサマンサの日常、サマンサのテレビではアレックスの日常が以前から流れていて、互いにそれをテレビドラマだと思い込んでいたのだ。その後会ってみようという話なるが、どういう訳か会うことが出来ない。まるで、次元の違う世界に住んでいるようだ。

 

サマンサは、アレックスの出演するドラマ「泥棒と聖人」の予告を観て、そのドラマが最終回であることを知る。最終回、それはアレックスの死を意味していた。彼の身の危険を心配するサマンサは、そのことを本人に伝えるが...。

  感想、おすすめポイントや見どころなど

おそらくテーマは「自由」かなと思います。ちょっと不思議な映画ですね。微かな希望が与えられるエンディングは、なかなか情緒深いものがありました。「ザ・フレーム」というタイトルにあるように、枠の中でシナリオ通りに生きてきた2人。孤独な男女(アレックスとサマンサ)がそれぞれの自室でテレビを見ていたら、互いに会話ができることに気付く...という設定は珍しいと思います。

 

「そもそもが出来レースである人生」の中で、必死にもがいて何かを変えようと頑張るアレックス。そして、その気持ちを汲み取ったサマンサが、シナリオを書き換える。このシーンの表現が、独特ですね。タイプライターの置いてある建物内のセットのデザインがややくせもあり、個性的でした。

 

一方、物語は...。過去のトラウマからの呪縛、罪の意識からの呪縛、置かれた環境から抜け出せないでいるアレックスやサマンサに共感してしまうのは、やはり彼らが何かの象徴だからでしょう。大体私も「そういう運命だった」とかそういうのが嫌いです。そのような意味では、若干ですが『アジャストメント』にも近いものも感じました。

 

バイオリンを鳴らした時、好きなメロディーを口ずさんだ時、呪いが解ける。ファンタジックですが、何か全体的にセンスが良いですね。全然安っぽくないし、音楽やエンドロールのフォントなども、地味ながらに美しい。好き嫌いは分かれるかも知れませんが、個人的には良い作品だと思います。

 

The Frame

The Frame

  • David Carranza
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9.ブランデッド

原題:BRANDED/上映時間:106分/製作年:2012年

ブランデッド(字幕版)

監督:ジェイミー・ブラッドショー、アレクサンダー・ドゥーラレイン

脚本:ジェイミー・ブラッドショー、アレクサンダー・ドゥーラレイン

出演:エド・ストッパード、リーリー・ソビエスキーマックス・フォン・シドー

  作品概要

ロシアのSFドラマ、またはSFサスペンスで、劇場未公開作品。ブランド戦争のあり様を、分かりやすく視覚化した風刺的作品でありながら、ファンシーなクリーチャーも多数登場する。

  ざっくりあらすじ(序盤)

広告業界でがっつり成果を上げていたミーシャは、雇用主ボブの姪アビーと恋に落ちる。しかしボブは、ラブラブな二人の仲を良く思わない。そんな折、ミーシャは仕事で大失敗をしてしまう。これは、ファーストフード店を繁盛させたい男パスカルの陰謀によるものであった。世間からの信頼を失ったミーシャだが、謎の儀式により、「他者には見えない奇妙なモンスターを見る能力」が備わる...。

  感想、おすすめポイントや見どころなど

社会風刺の効いた作品と捉えることもできますが、主人公がいきなり農場に引きこもったり(笑)とか、中盤になっていきなりチープな造形の化物が出現したりとかして、どうしても珍作という印象の方が強くなってしまいました。リーリー・ソビエスキーが綺麗ですね。

 

細かいレビューはこちらです。

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10.JUNK HEAD

原題:JUNK HEAD/上映時間:99分/製作年:2021年

JUNK HEAD(字幕版)

監督:堀貴秀

脚本:堀貴秀

出演:堀貴秀、三宅敦子、杉山雄治

  作品概要

7年がかりで制作された日本のSFストップモーション・アニメーション。人工生命体が人類から独立した後の、奇妙なディストピアが描かれている。最初の30分の制作は堀監督が4年もかけてたった1人で制作、その残りはスタッフらと3年かけて作り上げられた。独学でストップモーションアニメを学び、自前のスタジオで撮影されたようす。また、ほとんどのキャラクターの声を堀監督が担当した。ギレルモ・デルトロ監督も大絶賛。最近では、FUTURE GATE SCI-FI FILM FESTIVALで「BEST FILM賞」を受賞した。

  ざっくりあらすじ(序盤)

環境汚染が深刻化し、人類は地上での生活がもはや不可能となった。地下に住むためには新たな労働力が必要ということになり、人工生命体のマリガンが開発される。しかし、マリガンは人類に反発し人間が住むための地下組織は、まんまと乗っ取られてしまった。それから1600年が経ち、人類は遺伝子操作によって永遠の生命を得るが、それと同時に生殖能力を失ってしまう。さらに未知のウィルスが繁殖し、人口の3割が死亡した。こうした中、政府はマリガンを調べるための地下調査員を募集。調査員に選ばれたパートンは、ポッドに乗り込むが...。

  感想、おすすめポイントや見どころなど

多くは語りませんが、とにかく生々しいですね。あらすじでご紹介したのは物語のほんの冒頭部分で、ここからパートンとマリガンらの壮大なストーリーが始まります。パートンがクノコのおつかいに行くあたりが、一番スリリング&不気味でした。何というかもう、本当に生々しい。でも、同時に切ない気持ちになりました。普段はあまり見ない様にしている生き物の性みたいなのを突き付けられる感じです。当分は、辛子明太子が食べれそうにないですね(笑)ちょっと、質感が違いますが。

 

人形は1/6のスケールで制作されているようで、だから実写映画を観ているような感覚を味わえるのだ、という話です。素晴らしいディストピアの表現、というのも何だか変ですが、とにかく地下組織のセットにものすごいこだわりが感じられました。

 

 

11.ランダム 存在の確率

原題:Coherence/上映時間:88分/製作年:2013年

ランダム 存在の確率(字幕版)

監督:ジェームズ・ウォード・バーキット

脚本:ジェームズ・ウォード・バーキット

出演:エミリー・バルドーニ、モーリー・スターリング、ローリーン・スカファリア、ニコラス・ブレンドン、ほか

  作品概要

低予算で製作されたパラレルワールドもの。またはSFスリラー。監督は、アニメーション映画『ランゴ』の原案者の1人です。本作品の撮影中は、監督が俳優らにセリフを書いたメモをその都度渡し、読み上げてもらうスタイルを取るなど独特な工夫がなされたようですね。

  ざっくりあらすじ(序盤)

あるカップルが友人宅のパーティに招待される。その家に集まった8人の男女は、しばらく近況報告をしたりして久しぶりの再会の時間を楽しむが、突然停電が起こりその場の空気は凍て付く。その晩は彗星が地球に接近する夜だった。ヒューは大学で科学を教えているの弟から「おかしなことがあったらすぐに連絡するように」と言われていたことを思い出すが、携帯も電話も繋がらない。周囲を見渡すと、2ブロック先に1軒だけ電気の付いている家があった。

 

「あの家に行って、電話を貸してもらおう!」皆は一旦外に出たが、怖くてすぐ引き返す。その後、アミールとヒューがもう1度あの家に行くと言い出ていったが、戻ってきたヒューはどうも様子がおかしかった。彼は2ブロック先の家の中には、この部屋の中の人と同じメンバーがいたと言い張るが...。

  感想、おすすめポイントや見どころなど

初見では、ほとんど何がなんやら分かりませんでしたね(笑)その上本作品はスリラーテイストなので、何か起こるたびに登場人物がビビり上がり、ハラハラドキドキの感情を煽るんですよ!煽るんじゃなくて、ゆっくり考えさせろと言いたい。でもSF作品独特の、想像し難いシチュエーションにビビりたい、という欲望もきっちり満たされたので、トータルで言えば全然OKな作品です。とても楽しく鑑賞できました。

 

以下結構なネタバレ↓

最初の家に居た8人のメンバーがどんどんすり替わっていく、というハプニングが斬新でした。それぞれの家の8人が停電が起こった時にライトを用意するのですが、これが青だったり赤だったりして、同じ次元に居た人達ではないと分かる。戻る家を間違っちゃったんですね。で、違う色のライトだと「やべっ」って感じで隠したりするんです。え?何組の8人がいるの?ってだんだんややこしくなっていきます。また、劇中では「シュレーディンガーの猫」の話が持ち出されていましたよ。「スライディングドアって映画観た事ある?」とか言うセリフも飛び出してきて、ちょっと何だか、本格的です。

 

その反面、パーティのホストである家主の男が、多次元の自分の挙動を止めるため、過去の女性関係を思い切ってカミングアウト。「あんた、何よそれ!」とかなって、事態はそれどころじゃないのに、色恋事で揉めはじめる展開も面白かったです。そんなことしなくても、異次元の自分を説得する方法は他に方法あったでしょ、と問いたい。色々な面で楽しめる映画です。

 

ランダム 存在の確率(字幕版)

ランダム 存在の確率(字幕版)

  • エミリー・バルドーニ
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12.NERVE ナーヴ 世界で一番危険なゲーム

原題:Nerve/上映時間:96分/製作年:2016年

NERVE/ナーヴ 世界で一番危険なゲーム(字幕版)

監督:ヘンリー・ジュースト、アリエル・シュルマン

脚本:ジェシカ・シャーザー

原作:ジーン・ライアン

出演:エマ・ロバーツデイヴ・フランコ、エミリー・ミード、ジュリエット・ルイス、マイルズ・ハイザーほか

  作品概要

よく知らなかったですが、一応日本でも2017年に劇場公開されていたみたいです。「劇場で観た」というレビューも上がっていました。2016年製作なので結構前の映画ですが、ソーシャルゲームを題材にした作品として、予想しうる危険な事態が上手く描かれていると思います。

  ざっくりあらすじ(序盤)

主人公ヴィーは、内気な高校生。過保護な母親と2人暮らしの彼女は、常日頃、窮屈さを感じていた。ヴィーには地元(NY)を離れカリフォルニアの芸術大学に進学したいという願いがあり、晴れて合格通知も届くのだが、そのことを母親に言い出せずにいる。対して親友のシドニーは外交的で、人気のキャラ。シドニーは巷で人気のゲーム、「ナーヴ」にハマっている。これは挑戦者が超無理めなミッションを与えられ、クリアすれば報酬が貰えるというもの。このオンラインゲームにアクセスすると、「挑戦者」か「視聴者」かを選ばなければならない。シドニーはもちろん挑戦者。挑戦者は与えられたミッションをこなす際それを自撮り、オンラインで見る視聴者は、いくらか課金すれば番組を見ることが出来る。

 

シドニーから、からかい半分に臆病者のレッテルを貼られたヴィーは、ストレスが溜まっていたこともあり、半ばやけくそでこのゲームに参加する。しかしそこで、イアンという男性と知り合いラブラブムードに。次々に過酷なミッションをこなし、大金を得ていくヴィーとイアンだった。しかしヴィーを心配する男友達トミーは、このゲームで過去に死者が出たことを知る...。

  感想、おすすめポイントや見どころなど(結構ネタバレ)

何となくティーン向けに作られた作品という先入観を持って鑑賞しましたが、案外おもしろかったです。「異性とペアになり協力し合いながらこなすミッションは、視聴者の興味をそそり高視聴率になりやすい」など若者にとってワクワクの要素がいっぱい(多分...)。そんな場面は、若干醒めた目で観てしまう私です。

 

でもラスト付近で、人の命がかかっているというのに、危険なミッションを見たい視聴者の票が圧倒的に増えるという展開になり、えぇっ!てなりました。こういうの怖いですね。自分達は見ているだけなので大して責任も感じず、しかも匿名なのでとことん残酷になれる。昨今のSNSにも通じる部分があると思います。そんなメッセージ性を持った、でも大まかにはティーンや若者に受けそうなSFという印象。ヴィーとイアンは色々あったけど、結末では結局ラブラブに。全てが丸く納まるハッピーエンドで、気分も爽快ですよ!

 

 

13.アンキャニー・不気味の谷

原題:UNCANNY/上映時間:85分/製作年:2015年

アンキャニー 不気味の谷(字幕版)

監督:マシュー・ルートワイラー

脚本:シャヒン・チャンドラソマ

出演:マーク・ウェバー、ルーシー・グリフィス、デヴィッド・クレイトン・ロジャーズ

  作品概要

製作は2015年ですが、日本での劇場公開はされていません。AIと人間のやや薄気味悪い交流を描いたSFスリラー。低予算で製作されたようなセットですが、なかなか捻りの効いた作品。

  ざっくりあらすじ(序盤)

研究所にひたすら籠っているデビッド。そんなある日、彼の研究所にジョイという美しい女性記者がやってきた。デビッドは彼女に、アダムという新しいAIを紹介する。アダムはまるで人間のようだった。さっそくジョイは毎日この施設に通い、このアダムについての取材を始める。元々大学院ではロボット工学を学んでいたジョイ。彼女はだんだんデビッドに惚れ込み、ラブラブモードになる。一方アダムの方もジョイを女性として意識しているようだ。しかしジョイはそのことに気味悪さを感じ始め、3人の関係は次第にギクシャクしはじめる。アダムの言動はエスカレートする一方。それは、デビッドにも制御不可能に思えたがしかし...。

  感想、おすすめポイントや見どころなど

他の方のレビューを読んでいると、『エクス・マキナ』との類似性を挙げられている方が結構おられました。まぁ、作品のスケールとかメッセージ性とか色々違うかなと思いますが、物語の舞台がほぼワンシチュエーション(隔離された研究所)であることや、和食(寿司)が出てくることなど、よく観ると色々共通点があって面白いですね。「アダム、不気味過ぎる...」と思って観ていたら、その理由が終盤になって分かるという...。このどんでん返しのトリックにあらかじめ気づいた人は、あんまり楽しめないかも知れないなと思いました。

細かいレヴューはこちらに書いています

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14.パーティで女の子に話しかけるには

原題:How to Talk to Girls at Parties/上映時間:102分/製作年:2015年

パーティで女の子に話しかけるには(字幕版)

監督:ジョン・キャメロン・ミッチェル

脚本:ジョン・キャメロン・ミッチェル、フィリッパ・ゴズレット(英語版)

原作:ニール・ゲイマン

出演:エル・ファニング、アレックス・シャープ、ニコール・キッドマン、ルース・ウィルソンほか

  作品概要

『ミッドサマー』、『ムーンライト』などA24の作品にハズレなし、そんなA24の配給です。A24はわりと、不思議な作品も多いですよね。『イット・カムズ・アット・ナイト』や『A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリー』なんかも、面白いと思いましたよ。

 

で本作品の原作はニール・ゲイマンの『壊れやすいもの』というSF短編小説に収められている物語で、主人公エンは若かりし頃のニール・ゲイマンを投影したものだと思われます。時代設定は1977年なので、やや懐かしい感じがしますね。

  ざっくりあらすじ(序盤)

パンク大好き高校生エンは、ある晩親友2人とライブハウスに出かける。しかし二次会には誘われなかったことに、しょんぼり。女子との関わりが極めて薄い3人だが、帰り道、不思議なパーティをする空き家を見つけた。中に入るとお揃いのコスチュームを着た人々が、音楽やダンスを楽しんでいる。エンは、その中でザンという同い年ぐらいの女の子と出会い恋に落ちるが...。

  感想、おすすめポイントや見どころなど

パーティで女の子に話しかけるには』というタイトルからは想像しがたいSF作品。でもちゃんと恋愛映画でもあって、なかなか印象深い作品です。いわゆるボーイ・ミーツ・ガールものですが、パンクが好きな方にもおすすめ。

 

細かいレヴューはこちらに書いています

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最後までお読みくださり、ありがとうございます!【後編】は現在作成中です。ではまた!