アナログちゃんのこっそり映画鑑賞記

自宅でこっそり鑑賞した映画についてぽそぽそつぶやきます。

WELCOME TO THE BLUMHOUSE【ブラック・ボックス】映画感想★

ブラック・ボックス

原題: Black Box/上映時間:100分/製作年:2020年 

ブラック・ボックス

監督:エマニュエル・オセイ=クフォー

脚本:エマニュエル・オセイ=クフォー、ウェイド・アレイン=マーカス、スティーヴン・ヘルマン

出演:マムドゥ・アチー、フィリシア・ラシャド、アマンダ・クリスティーンほか

 

フォーマットが定まらず、毎回異なったスタイルでお届けしているこのブログです。もしも更新毎に読んでくださっている読者の方がいらっしゃいましたら、お礼を申し上げたい。仮に勤めている企業が、勤怠締めやローテーション表のフォーマットをコロコロ月ごとに変えてきたら腹立つでしょ?今の私は、毎回それをやっているに等しいのです。皆さまに感謝&なるべく安定させます。

 

という訳で今回は『ブラック・ボックス』です。


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注:完全ネタバレ記事です。本作品に少しでも期待していらっしゃる方は、ご注意ください。

 

 製作はブラムハウス・プロダクションズ

パラノーマル・アクティビティ』、『ゲット・アウト』など低予算で新しいスタイルのホラー映画を世に送り出してきた製作プロダクション「ブラムハウス・プロダクションズ」の作品です。その中でも『ブラック・ボックス』は、ブラムハウスとアマゾン・スタジオが提携した"WELCOME TO THE BLUMHOUSE"というアンソロジー企画の中の1作品で、これらは全部で8作品になるそうです。

 

この"WELCOME TO THE BLUMHOUSE"とかいうホラー映画アンソロジー第1弾は2020年の秋ごろから配信が始まり、現在4作品をアマプラで観ることができます。で、残りの4作品の個別の海外版トレーラーがおとといあたり公開されました。このホラーアンソロジー第2弾は、日本でも近々配信されるのですかね?まぁとりあえず、それまでに今ある4本を全部観なきゃ!(汗)と思い鑑賞しました。

 

ちなみに先月ぐらいに公開された4篇分のトレーラーはこちら↓↓↓


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『ブラック・ボックス』は、主人公が過去の記憶の中に入って行く話で、夢の中が可視化されるような話なので、ちょっと『インセプション』とか『パプリカ』を思い出しましたよ。あとは『エターナル・サンシャイン』も。

 

個人的には、ちょうど最近『マトリックス』の新作トレーラーが公開されたことで、仮想現実ものに対する情熱が復活したタイミングなので丁度良いなと思います。低予算で製作されているため見応えのあるSF的な描写などはほとんどありませんでしたが、後半の展開がショッキングなもので驚かされました。また本作品はホラー作品となっていますが、ホラーって感じではないですね。グロテスクな描写もほとんどないので、エグい表現が苦手な方にもおすすめです。

 

 【ブラック・ボックス】あらすじ(ネタバレあり)

6ヶ月前に事故で妻のレイチェルを失ったノーランは、本人も脳に強いダメージを受けており過去の記憶が全くありません。小学校に通う娘エヴァは、ノーランのことを心配しあれこれ世話を焼きます。以前の生活をすっかり忘れてしまったノーランは食事を作ったりネクタイを締めたりするのにも、エヴァの助けが必要です。医師であり、以前からノーランのことをよく知っている友人ゲイリーも不安顔。ノーランは今の生活が全くしっくりきていない様子なのです。

 

複数の治療を試してもノーランの記憶が戻らないことから、ゲイリーは神経外科医リリアンの最先端の治療を受けるよう勧めます。そこで試しにリリアンを訪問するノーランですが催眠術のような療法にビビり、尻込みしました。しかしノーランはその日エヴァを学校に迎えに行くのすら、忘れてしまいます。エヴァの担任の女性教師は、まるで不審な人物を見るような目でノーランを見る上、これで3回目だから次は児童保護サービスに通報しなければ、と煽ってきました。

 

一刻も早く記憶を取り戻さなければという危機感から、ノーランはリリアンの治療を受けるべく彼女を訪問。治療には「ブラック・ボックス」というマシンを使用します。ざっくり言えば、過去の記憶を仮想現実として体験できるマシンです。治療台に横たわり催眠状態に入ったノーランは、徐々に過去の記憶の扉を開いていきます。ノーランが記憶の中に入ると、そこはレイチェルとの結婚式の場面でした。教会に集まる大勢の人々。しかしそれらの人々はおろか、レイチェルさえも顔の部分がぼやけていて見えません。

 

その上ブリッジをした人が突進してきたため、ビビり上がって夢から目覚めます。そこで治療は中断。リリアンは「あなたはよく頑張っている」とノーランを褒めます。しかしそれ以降の治療でも、ノーランは全く面識のない母子のアパートに自分がいる記憶などが蘇り、大混乱。「えっ、オレ不倫してたの?」とか「オレってもしかしてすげぇ悪い奴なんじゃね?」とか、自分を疑い始めました。友人のゲイリーは、それを全面的に否定。「お前は本当にいい奴だった」と諭します。しかしその後何度目かの治療で、衝撃的な事実が分かるのです...。

 

 【ブラック・ボックスの感想】(完全ネタバレ)

注:『トワイライトゾーン/超次元の体験』もほんの一部ネタバレしています。

前情報から薄々後半に意外な展開が待ち受けていると知っていたので、あれこれと想像しましたよ。私の中で一番有力だった予想は、主人公のノーランが実はとんでもない男だったという説。あるいは友人ゲイリーが妻のレイチェルを寝取っていて、実はレイチェルが生きていたとか。ノーランが治療を受けるたび記憶を取り戻し、焦ったゲイリーが暴れるのではないか?など勝手に想像し、ヒヤヒヤしました。ゲイリー、ごめん。

 

でも実際の物語はそうではなく、トーマスという新たな人物の名が浮かび上がってきます。トーマスって誰よ???

 

トーマスはリリアンの息子でした。神経外科医であるリリアンは、2年前に階段から転落死した息子の脳波のデータを保管しておいたのです。その後、救急患者として病院に担ぎ込まれたノーラン(アカの他人なんですがね...汗)の肉体にトーマスの脳波を移植。よって見た目はノーラン、心はトーマスというこれまでにない人物が出来上がってしまったのです(汗)恐るべし、リリアン。大概の悪いことはするタイプ。

 

潜在意識の中でトーマスがあえて扉の外にでることで、ノーランの心に肉体を返すという着地が良かったですね。

 

ブラック・ボックスで記憶の中に入った時、人々の顔がぼやけている件は、なんとなく既視感がありました。う~ん何だろうと考えて思い出したのが『トワイライトゾーン/超次元の体験』のジョー・ダンテ監督の「こどもの世界『IT'S A GOOD LIFE』」というエピソード。口を消された姉、みたいな表現がありましたよ。こっちの方はもっと怖かったですが...。

 

 

さらにブリッジをした人は、エクソシストを想起させられます。またグロくはありませんが、南極を舞台にしたあの映画のクリーチャーに似すぎてないか?と(笑)

 

ホラー作品というよりもSFドラマに近い...という印象。しかし、医者の母親リリアンの息子への執着が半端なく怖いので、そこはホラーっぽいですね。ややこしい話のはずなのに、ストーリーがきちんと整理されていて、好感が持てました。俳優さんの演技も素晴らしい。『ブラック・ミラー』とか好きな方は、楽しめるかも知れません。twitterでも海外版『世にも奇妙な物語』とか言われてますね。ちなみに同シリーズ(WELCOME TO THE BLUMHOUSE)の『ノクターン』もなかなか面白かったですよ!おすすめです。

 

ノクターン

ノクターン

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ブラック・ボックス

ブラック・ボックス

  • マムドゥ・アチー
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Amazon.co.jp: プライム・ビデオ: Prime Video

 

映画感想【ブリス ~たどり着く世界~】 完全ネタバレ

ブリス ~たどり着く世界~

原題: Bliss/上映時間:103分/製作年:2021年

ブリス ~たどり着く世界~

監督:マイク・ケイヒル

脚本:マイク・ケイヒル

出演:オーウェン・ウィルソンサルマ・ハエック、マデリーン・ジー

【ブリス ~たどり着く世界~の作品紹介】

脚本・監督は『アイ・オリジンズ』のマイク・ケイヒルで、以前当ブログでご紹介しました『アナザープラネット』の監督でもあります。

analogchan.hatenablog.jp

 う~ん、今回の作品はちょっと不思議な感じです。「不思議な味がする」とか言いますよね。そんな感じです、ご察し下さい。でも、面白くなかった訳ではありません。むしろ個性は強く、鑑賞後その他の映画を観てもなぜかコレを思い出してしまう始末です。

 

 ざっくり【ブリス ~たどり着く世界~】のキャスト


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グレッグ(演:オーウェン・ウィルソン

上記ポスター画像の右側の男性。コールセンターに勤める。

イザベル(演:サルマ・ハエック

上記ポスター画像の左側の女性。ホームレス。

 

【ブリス ~たどり着く世界~】のあらすじ(序盤~中盤)完全ネタバレ

「もしもし、おじさん電話で上司から呼ばれてますよ~!」私の声は届かなかった。グレッグはぐずぐずし、全然上司のところに行きません。とある会社のコールセンターには、ひっきりなしにクレームの電話がかかってきており、大勢の人々が懸命に対応しています。しかし責任者のグレッグはろくに対応もせず、個室に籠ったきり。何かの薬を服用しているようです。

 

グレッグは離婚していましたが、大学生ぐらいの娘エミリーがいます。その娘から大学の卒業式の日一緒に食事をしたいと、誘いの電話が入る。しかしグレッグは元妻が何と言うか気にしているようで、ためらい気味です。

 

彼は、頭の中にある風景を紙に描いて持ち歩いています。女性や展望台、ホテル"プレアデス"など。しかし、その景色はとてもリアルです。

 

その後ようやくグレッグが上司の部屋に入って行くなり、上司からクビを言い渡されました。キーっっ( `∧´)となったグレッグは不意に上司を突き飛ばしてしまい、上司は後部にあったデスクで後頭部を打ち即死。「えっー!ちょ、ちょっと突き飛ばしただけなのに死んだの?」てびっくりしたグレッグは、思わずガラス張りの窓際に上司を立たせた状態で貼り付け、カーテンで隠す。このやり方だと、外からは丸見えなんですがね...。

 

動揺したグレッグはその後会社を飛び出し、通りを挟んで向かいのバーに入りました。バーにはインチキ占い師風の中年女性イザベルがいて、イザベルはグレッグに「リアルだねぇ、あんたリアルなんでしょ」とかなんとか言ってきます。「いかれてんの?」グレッグは女を不審者を見るような目で見ますが、その超マイペースな女はグレッグに「アリバイが必要なんでしょ」と脅してきました。

 

イザベルは、この世界はフェイクワールドで、道を歩いている人やバーテンダーなどは、皆リアルじゃないと話します。「あんたには助けが必要...」グレッグはイザベルにそう助言しますが、彼女は全く自分を疑っていないようです。しかし、その気はなかったにしても、上司を殺してしまったグレッグは身を隠さねばならないので、仕方なくイザベルの隠れ家に案内してもらいました。

 

川沿いの空き地にテントを張り、ガラクタを集めたような住み家。グレッグは日頃から持ち歩いている自分の想像の世界の絵をイザベルに見せますが、イザベルはこの絵の世界こそがあなたのリアルな人生なのだと言って聞きません。更にイザベルは黄色い宝石のような薬イエロークリスタルを持っており、それを飲むとグレッグにも念力のようなパワーが宿りました。2人は、スケート場でその念力を使い、気に食わない連中を転ばせたりして楽しみます。アホか!イザベルいわく、あの人たちはリアルじゃないんだから、何をしたって平気だと言います。

 

ある日イザベルは、グレッグが自分の元から逃げ出そうとしたと勘違いし、取り乱しました。出会ったばかりなのに、もう恋人気取りでグレッグを束縛か?と思いきや理由は他にあったのです。イザベルは「あんたのことが心配だ」と言い、グレッグに真実を教える決意をしました。イザベルは今度はブルーのクリスタルを取出し、「あーっ、ちょっと足りない、でもいいわ~」と言って、不格好なミニ装置に入れます。その装置を思い切り鼻から吸い込むグレッグ。

【ブリス ~たどり着く世界~】のあらすじ(中盤以降)完全ネタバレ

意識が戻ると、そこは研究施設のようです。脳のホルマリン漬けみたいなのを取り囲み、10名ぐらいの被験者たちが眠っている。イザベルもグレッグもこの研究に参加していた、という訳です。なんと先程までのホームレスの世界は全て仮想現実だった(汗)ちょうどあの懐かしい『マトリックス』のような感じです。イザベルの言う「あの人たちはリアルじゃない!」は本当だった。これはブレインボックスという、イザベルの研究だったのです。

 

リアルな世界では、イザベルはクレメンズ博士、グレッグはウィトル博士と呼ばれていました。そこでは、満たされた人々が穏やかに暮らしています。たしかにグレッグが描いた絵とそっくりなユートピア。グレッグは、この世界の景色をうっすらと記憶していたのでしょう。しかしイザベルは、なぜあのような退廃した仮想空間を作ったのか?それは満たされ過ぎた現実へのありがたみを忘れないための、プチ貧乏体験ツアーのようなものだったのです。

 

しかし、仮想現実から戻ってくるために摂取するブルークリスタルが足りなかったせいで、グレッグはリアルな世界にいた頃の自分が思い出せない。その上FJPであるはずの、娘エミリーが現実の世界に紛れ込んできてしまいます。

 

FJP(フェイク・ジェネレイテッド・パーソン)架空の人間

 

これがきっかけでリアルの世界に、シミュレーション世界に住む連中が現れ、車を燃やすなどの暴行を加えはじめます。イザベルいわく、ブレインボックスの細胞が頭に入り込んだせいで、シミュレーションの一部をこちらの世界に連れてきてしまったとのことでした。そこでこの不具合を修正すべく、グレッグとイザベルはもう一度仮想世界に入り込みました。ケンドという薬をくれる被験者を撃ち殺し、ブルークリスタルを奪略。イザベルいわくシミュレーション内のケンドを殺しても、リアルの世界のケンドは死なないらしいですが、あんまりじゃないですかね(汗)。

 

しかし現実に戻るためのブルークリスタルが1人分しかなく、足りないとわめくイザベル。いやいやいや、そこが一番重要なポイントでしょう?この場合。2人は既に警察から包囲されており、イザベルの作った貧乏体験シミュレーションは悪夢へと変わりました。付近にいた娘のエミリーは、危ないからという理由でパトカーに乗せられてしまい、グレッグはこのシミュレーション世界に残ることを決意。イザベルはブルークリスタルを鼻から吸い込み、リアルな世界へ戻りました。

 

【ブリス ~たどり着く世界~】の大まかな感想(ネタバレあり)

映画でルビンの壺をやろうとしたのではないか?

この映画の鑑賞後、直感的に思い出したのが『ルビンの壺』です。もしかすると監督はこれを映画で表現したかったのではないかと。

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みなさんお馴染みの『ルビンの壺』

白い部分を認識すれば壺に見えるが、その時黒の部分は背景としてしか認識されない。また黒い部分を認識すれば向き合った2人の横顔に見え、白い部分は下地と認識される。この2つの絵柄を同時に知覚することはできない、というヤツです。

同じ絵を見ているのに、その時々によって見える形が違う!というのも面白いですね。

 

で『ブリス ~たどり着く世界~』では

①イザベルの作ったバーチャルな世界

ユートピアのような現実世界

 

という2つのパートに分かれています。

物語の描かれ方としては、もちろんユートピアが現実で、冒頭からの現代に似た世界が仮想現実という風になっていますが、見方によれば、違う解釈もできるなと...。

 

イザベルはこれはリアルじゃないとバーチャルな世界を否定しますが、単にイザベルとグレッグがドラッグに溺れているのでは?という気がせんでもないです。そしてリアルというのは、彼らが見ている幻覚なのではないかとも思うのです。そういう視点で見ると、何もかもがそう見えてくる。ブルークリスタルを吸い込む装置にしても、鼻の穴からって何か変じゃない?と思いました。

 

冒頭シーンだって、グレッグが最優先で電話をかけているのは薬局の処方箋ですし、彼は服用している薬に酷く依存しているようすでした。ラスト付近ではグレッグが退廃(良いことのない)した世界に残る決意をするも、真っ先に飛び込んだのは「セーフ・ハーバーリハビリ診療」の集団セラピーという奇妙な展開。皆の前で娘の写真を取り出したグレッグは「この人は僕の娘だと言っている。僕はそれを信じる」と言いました。えっー信じるって!!

 

 そうなってくると、辛い現実だと思っていた世界が仮想現実だと知らされ安心したが、やはり辛い現実が現実だったのだ。となりそれは、最初は壺だと思って見ていたが、よく見るとこれは人の横顔であると気付き、しかしもう一回見るとやっぱり壺だったみたいなのに似ているなと思ったのです。

 

しかしそこで、どちらが正しい解釈か?を求めるのは野暮というものでしょう。またどちらが本当か?を鑑賞者に委ねるというよりも、どちらの世界も描いています!という風に感じました。以下の記事も興味深いです。

ケイヒルは最近のインタヴューで、次のように語っている。「『ブリス ~たどり着く世界~』は解釈の双安定性が存在するとき、いちばん成功する作品と言えるでしょう」。これは、「わたしはふたつの矛盾する見方がそれぞれ成立する映画をつくりました」ということを、ちょっと物理学っぽくいい感じに語った言い方だ。

引用元:『ブリス 〜たどり着く世界〜』は、矛盾しつつ共存するふたつの世界を描こうとしている:映画レヴュー - ライブドアニュース

何というか、実験的ですね。

 

サルマ・ハエックの演じる中年女性イザベルがえらく不人気で笑う

構造としてはとても面白い試みをされているのに、お話としてちょっと残念な部分があったということも申し上げておきましょう。他の方のレヴューを読んでいても、イザベルに対しての文句が目立ちます。「魅力のないおばさんが出てきた」みたいな感想が多かったです。何だろうこの不快指数...でも確かに観ていて、イラッとさせられる場面が多いんですよね。フェイクを倒した時の、はしゃぎっぷりなど寒くて見ていられません。

 

特にバーチャル空間でのイザベルは向う見ずで、慎重さに欠ける軽率な行動が目立ちました。ケンドを殺した後にブルークリスタルが足らないと騒ぐあたりも、そんな低知能でブレインボックスの開発者だと、誰が信じるでしょうか?20粒必要なブルークリスタルが11粒しかないの、パッと見で分かるでしょう。数ぐらい、ちゃんと数えて欲しいものです。

 

その他面白かったところ

もちろん笑える箇所もありました。例えば、FGPが再起動されることなど。FGPすなわちフェイクである上司が生き返ったのを見て、驚きを隠せないグレッグ。しかしイザベルは「あぁ、再起動したのよ!」と言って軽く流します(笑)そんなぁ...。

 

あとリアルの世界とシミュレーションの世界が混合する描写なども良かったですね。またイザベルは、リアルの世界の地図とシミュレーション内の地図がちょうどカブるように設計しているようでした。だからホームレスの住居区で、仲間がグレッグにビールを投げて渡すシーンがあるのですが、それがユートピアでは露店となり、誰かがリンゴを投げてくれるのです。「いくぞグレッグ!」と掛け声も同じです。

 

それからイザベルとエミリーが鉢合わせになりそうで、ならない。イザベルとエミリーが、直接会話するシーンがなかったことにも(記憶の限りでは...)こだわりを感じました。細かい部分は色々楽しめましたよ。少なくとも、雑な造りではないと思います。次作に期待!

 

 

 

 

【アンキャニー 不気味の谷】映画感想★ネタバレあり-期待を上回る作品-

原題: UNCANNY/上映時間:85分/製作年:2015年

アンキャニー 不気味の谷(字幕版)

監督:マシュー・ルートワイラー

脚本:シャヒン・チャンドラソマ

出演:マーク・ウェバー、ルーシー・グリフィス、デヴィッド・クレイトン・ロジャーズ

パッケージのセンスからは想像できないほど面白く、期待以上の作品でした。 特に考察することもないと感じたので、今回は短めのレヴューです。製作されたのは2015年ですが、日本でリリースされたのは2019年のようですね。


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※本作の他に『エクス・マキナ』のネタバレもします。

【アンキャニー 不気味の谷】のざっくりしたあらすじ

とある研究施設に、ジョイという名の美人記者が訪問します。そこに居たのはデビッド。ジョイはデビッドからアダムという男を紹介されますが、最初の内、アダムがAIだという事に気が付きませんでした。これを見た開発者のデビッドは、大成功だと喜びます。ジョイは毎日研究所に通い取材を続けますが、元々AIの研究に未練があったことから、次第にデビッドに惹かれはじめ、その後二人は良い雰囲気となります。

 

一方アダムの方も、ジョイに恋心を抱いているようす。しかしAIであることからジョイから相手にされません。2人の男(内1名はAI)と美人記者の三角関係となり、次第に険悪な空気が流れ始めます...。

 

【アンキャニー 不気味の谷】のキャストはほとんど3人(完全ネタバレ)

これ以降完全にネタバレします。この映画は、ここが分かってしまうと、もはや面白くなくなってしまう可能性大なので、未見の方はなるべく読まないようにお気を付けください。

 デビッド(演:マーク・ウェバー

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画像引用:https://www.facebook.com/UncannyMovie/

キャッスル社の研究員。19歳でMITのコンピュータ科学の学士を取った天才である。ジョイからの取材では、僕の作品だと言ってAI「アダム」を見せた。次第にジョイとラブラブな雰囲気になりますが、彼こそがアダムでありデビッドの作品だったのです。

※ややこしいですが、この記事では冒頭からどんでん返しまでの名前でデビッドと表記します。

アダム(演:デヴィッド・クレイトン・ロジャーズ)

f:id:analogchan:20220223184040j:plain画像引用:https://www.facebook.com/UncannyMovie/

冒頭で彼はアダムというアンドロイドとして紹介されますが、実はこっちが博士だったというオチ。「もっと早く自己紹介したかった」と、最後だけ人間らしいところを見せる。この俳優さんの演技が素晴らしかったです。

※ややこしいですが、この記事では冒頭からどんでん返しまでの名前でアダムと表記します。

ジョイ(演:ルーシー・グリフィス)

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画像引用:https://www.facebook.com/UncannyMovie/

彼女は元々研究畑の人で、大学院ではロボット工学を専攻していた。あるゲームを開発したらそれが大当たり。キャッスルの研究施設に1週間通いAIの取材をするが、次第にデビッドに惹かれていく。

サイモン・キャッスル(演:レイン・ウィルソン

この研究施設の創始者ですが、ほとんど最後しか出てきません。実はこの人が黒幕。

 

 エクス・マキナとの類似点

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画像引用:https://www.facebook.com/UncannyMovie/

エクス・マキナのB面とか言うと怒られそうですが、実際私はかなり満足しました。筋書きの面白さ、俳優さんの演技、無駄な情報のないシンプルな設定などが魅力です。

隔離された研究所での密室劇

この映画の研究施設は、まぁ普通の綺麗な建物といった印象。エクス・マキナのネイサンの研究所みたいに豪華な別荘のような造りではありません。しかし登場人物が少なく、その中で淡々と話が進んでいくスタイルは同じです。

 

AIの名前がアダムとイブに由来する点

エクスマキナエヴァ

・アンキャニー 不気味の谷→アダム

日ごとのカウントが表記される

エクス・マキナでは、セッション1、セッション2でした。

・アンキャニー 不気味の谷では、1日目、2日目と表記されます。

実は来客が被験者であったという点

エクス・マキナ』の被害者ケイレブ

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画像引用:https://www.facebook.com/ExMachinaMovie/

エクス・マキナ』ではネイサンが、エヴァチューリングテストという口実でケイレブを騙し、約1週間彼をエヴァと対面させた。しかし試されていたのは、ケイレブの方。

 

『アンキャニー 不気味の谷』の被害者ジョイ

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画像引用:https://www.facebook.com/UncannyMovie/

『アンキャニー 不気味の谷』では本物の博士がAIに成りすまし、ジョイにAIを人間と思い込ませることに成功した。AIに惚れ込んでしまったジョイは、無事研究施設から戻ることが出来たものの、妊娠してしまう。被験者ナンバー4などと呼ばれ、酷い扱いである。

 【アンキャニー 不気味の谷】の全体的な感想

冒頭でも書きましたように、明らかにB級ムードをプンプンさせていたので期待値は低かったです。でも観始めると筋書きにスッと引き込まれ、それなりに楽しめました。

 

最初デビッドを見た時、この人もアンドロイドなんじゃないの?と思ったのは私だけではないでしょう。でも私は、実はアダムもデビッドも両方アンドロイドだった...というオチかと思ってたのですが、違ってました。

 

また話の流れから、次第にデビッドが人間なのだろうと解釈せざるを得なくなりました。上手いなと思ったのは、アダムがジョイのトイレ使用中にうっかり扉を開けてしまうシーンです。その後デビッドに「もう、トイレ覗き見されたのよ!」とこっそり告げ口をするジョイ。

ジョイに惚れているデビッドは、けしからん!(`Д´)となりアダムは怒られます。

 

でもこのシーン、どんでん返し後に考えると、人工知能アダムと思われていた男は実は人間だった訳ですから、普通にトイレ行きますよね?「あっ、やべぇ。バレたかも」(꒪ཫ꒪; )と思ったはずです。でも、ややストーカー気味のAIを気味悪く思っていたジョイは全く気付きません(笑)

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画像引用:https://www.facebook.com/UncannyMovie/

不気味の谷」ってタイトルが付いてますが、ジョイがアダムを不気味に思うのは仕方ないですね。AIが限りなく人間に近づいたから不気味なのではなく、単にアダムがストーカー人間だからですよ。いくら研究のためと言っても、「これはないな」と思いました。人工目玉の中に監視カメラを仕掛けたりして、気持ち悪いです(笑)自分の作ったロボットに博士の役をやらせ、自分はAIになりきるという、新しい手口の犯罪ですよ。

 

不気味の谷の説明

ロボット工学者の森政弘が1970年に提唱した。森は、人間のロボットに対する感情的反応について、ロボットがその外観や動作において、より人間らしく作られるようになるにつれ、より好感的、共感的になっていくが、ある時点で突然強い嫌悪感に変わると予想した。人間の外観や動作と見分けがつかなくなるとふたたびより強い好感に転じ、人間と同じような親近感を覚えるようになると考えた。

 

引用元:ja.wikipedia.org

 

あとは、デビッドとアダムのチェスの対話が良かったです。アダムがオレはクィーンを取ったからもういい、などと急に人間っぽいことを言い出したりして。そんなところがちょこちょこ面白いなと思いました。

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 画像引用:https://www.facebook.com/UncannyMovie/

全てが明らかになった時、アダムが「僕が本物のデビッドだ」と自己紹介し握手を求めますが、ジョイが手を差し出すわけがありません。そういう人の気持ちの読めない男だから、アンドロイドと言われても、違和感がなかったのだとようやく理解しました。しかしアダムからすればずっと研究室に籠りっきりで、やっと姫が現れたかのように思えたのでしょう。しかしジョイからは気味悪がれ、自分は邪魔者扱い。彼だって、研究の犠牲者です。

 

どんでん返しの後、エンドロールの真っ最中。ジョイの妊娠が判明するという嫌がらせのようなカットが挿入され、イヤーな気分にさせられます。しかしSF作品としては、かなり楽しめました。

 

エクス・マキナ (字幕版)

エクス・マキナ (字幕版)

  • ドーナル・グリーソン
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アイランド【映画感想】完全ネタバレ

アイランド

原題:The Island/上映時間:136分/製作年:2005年

アイランド (字幕版)

監督:マイケル・ベイ

脚本:カスピアン・トレッドウェル=オーウェンアレックス・カーツマンロベルト・オーチー

出演:ユアン・マクレガースカーレット・ヨハンソンスティーヴ・ブシェミジャイモン・フンスーショーン・ビーンマイケル・クラーク・ダンカン

 

今更ですが、2カ月ぐらい前に『アイランド』を観たので、その感動と興奮をお伝えしようと思います。

 映画【アイランド】の主な登場人物(ネタバレあり)

リンカーン・6・エコー(ユアン・マクレガー

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画像引用:https://www.facebook.com/theislandmovie/

好奇心の強いクローンで、この物語の主人公。ロスに住むセレブ、トム・リンカーンのコピー。施設のシステムに日々疑いを持っていた。ジョーダン・2・デルタに恋心を抱いている。

トム・リンカーンユアン・マクレガー

ロスの豪邸に暮らす一流のセレブで、リンカーンのルーツとなる人。肝臓を患ったことから、バイオテック社に製品すなわちアグネイトを発注していた。それがリンカーン

ジョーダン・2・デルタ(スカーレット・ヨハンソン

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画像引用:https://www.facebook.com/theislandmovie/

リンカーンが密かに恋心を抱いていたアグネイト。サラという女性のコピー。アイランド行きが決定(即ち臓器摘出が決定)するも、間一髪のところでリンカーンに助けられる。

サラ・ジョーダン(スカーレット・ヨハンソン

ジョーダンのルーツとなる人間。女優かモデルかそういう職業の女性。ポスターのみでの出演。

ジェームス・"マック"・マッコード(スティーヴ・ブシェミ

 バイオテック社の職員であり、おそらく結構重要なポジションを任されている。バイオテック社が感情を持つクローンを作っていると知りながら、見て見ぬふりをしているわけだから許されぬ人物でありながら、どういう訳かいいヤツ感を醸しだしている。物語中盤で、リンカーンとジョーダンを助けた為に殺される。

アルバート・ローラン(ジャイモン・フンスー

ブラックホークという警備部隊のトップ。まるでルパンの銭形警部のような執念でリンカーンを追い回すが、最後にはジョーダンをサポートし、殺害されそうになった複数のリンカーンの友人らを助ける。

メリック博士(ショーン・ビーン

バイオテック社のクローンの開発者であり、総責任者のような存在。「クローンに意思や感情はない」と言って顧客を騙し、臓器を提供させている極悪人物。「それ、やったらいかんやろ!」を全てする人。

 

 映画【アイランド】のあらすじ(ネタバレあり)


The Island - Official® Trailer [HD]

 

舞台は真っ白い施設の中。ここにいる人達は、地球は大気汚染が酷くなったから住めなくなったと聞かされています。人々はお揃いの真っ白い衣類を着て(サイドに妙なラインの入った)、同じ靴を履き、超単調な毎日を強いられています。皆は仕事に通いますが、流れ作業をさせられるだけで、その製品が何に使われるのかも知りません。彼らは、自分らは数少ない人類の生き残りであると聞かされています。「毎朝尿で健康状態をチェックされる」など健康は過剰なほど管理され、少しでも異常があると食べたいものも食べれない日々です。人々の望みはアイランドへ行くことですが、主人公リンカーンはこのような毎日に疑問を抱いていました。

 

リンカーンは仕事中にちょいちょい、技術者マックのところに遊びに行き、ムダ話をしたりしています。リンカーンがマックのところに行くのは、彼と話していると楽しいからという理由ですが、それはマックが施設の事情をよく知ってる人間だからなのでしょう。ある日そこで、リンカーンは生きた蛾を見つけます。そこで「ん?外は大気汚染で生き物が生息できないはずなのに、なんでコイツがいる訳?」と疑問に思うわけです。その後、ジョーダンが「アイランド行き」に当選します。ジョーダンは、リンカーンが密かに心を寄せている女性なのです。リンカーンの心情としては、寂しくなるなぁ...とそんなところでしょうか?

 

 その晩リンカーンは悪夢にうなされて、目を覚ましました。蛾のことがどうも気になってならない。そこでリンカーンは深夜に部屋を抜け出し、蛾を放ちその後を追っていきます。すると...。何やら、病院のような医療ゾーンに通じていました。リンカーンが、これまで一度も足を踏み入れたことのない場所。そこで先日陣痛がはじまり、アイランドに行けると喜んでいた妊婦が赤ん坊を出産した場面に遭遇します。赤ん坊を見つめ、嬉しそうにする母親。しかしその直後、彼女は女医によって殺害されてしまうのです。ざ、残酷過ぎる...。リンカーンはこのようすをやや離れた場所から覗い、絶句します。

 

赤ん坊は妊婦とそっくりの顔をした女性の元に、届けられます。代理出産だった。更にはアイランド行きの当選が決まって大喜びをしていたスタークウェザーという黒人男性が、手術着を着せられ血相を変えて逃亡しているのを見てしまいます。博士は「生きたまま、内臓を取り出せ」とか、何とか滅茶苦茶なことを言っていました。何だ!ここは...。

 

直感的にジョーダンが危ない...そう感じ取ったリンカーンは大慌てでその不気味なメディカルゾーンから抜け出し、ジョーダンの元へ急ぎます。女子寮の中に紛れ込んだような格好となったリンカーンは女子から「キャっ!何この人(〃゚д゚〃)」みたいな目で見られ、その場はややパニック気味。しかし、そこはもうなりふり構わずジョーダンの部屋に直行。手を引っ張り、今すぐ施設から逃亡しなければ危ないと伝えます。

 

しかしリンカーンは医療ゾーンに忍び込んだ時、監視カメラに映ってしまっていたのです。博士らがリンカーンの腕の部分の映像を拡大してみると、リンカーンは医者ではなくクローンであることが分かります。博士は言います「製品だ...」製品!何て冷たい言葉なのでしょう。で博士はその製品であるクローンが逃亡したので、ローランが率いる凄腕警備部隊に追跡を依頼しました。博士のやっていることは、明らかにクローン禁止法を破る、すなわち違法行為だから警察を呼べないのです。館内ではブザーみたいなのが鳴り、リンカーンは汚染された危険人物だとアナウンスされます。

 

一方リンカーンとジョーダンは施設から抜け出し、ヘビに遭遇したりしながら「なぁ~んだ生き物がいる、やっぱり大気汚染なんかしてないじゃないか!」って言ったりします。でマックの職場で拾ったマッチ箱を頼りに、バーを見つけ入って行きました。そこでマックを見つけたリンカーンは「酷いじゃないか!なぜ本当のことを隠していたんだ!」と責め立てます。マックは「ここじゃ何だから...」と自宅に2人を招き、事情を説明しました。

 

リンカーンらは「えっ!俺たち人間じゃないわけ?何だ、それ!」驚くのですが、じゃあ自分らのルーツとなる人間に会って、話をしてみようという結論に到ります。そしてマックはリンカーンらに現金やクレカ、私服を与えました。ところが、駅まで2人を送ったマックは、無残にも何者かに射殺されてしまいます。ビビった2人は急いで列車に乗り込み、ロスへと向かいますが...。

 

※以下完全ネタバレ記事です。また映画『THX-1138』の内容にも一部触れています。

 疑うことの大切さ...アイランドのディストピアはだいたいこんな感じ

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画像引用:https://www.facebook.com/theislandmovie/

パッと見は人々が悲鳴を上げるような残酷なことは起こっていない

何か怖いなぁ~と思うのは、それなりの環境が一応与えられていることですね。例えばお酒を飲んでいるかどうか?は分かりませんが、アフター5にクラブみたいなところで楽しんだりとか...。だから『ハンガー・ゲーム』とか『バトルランナー』みたいに人々が今すぐ、ブチ切れるような理由がないのです。例えば「何でベーコンを食わせないんだ!」って言っても健康の為とか言われてしまいますし、意見すると「大人げないな」と思われそうなムードなんです。仮にこれが豚小屋風住居であると、何でオレたちだけ?となるかも知れません。でもハイテクかつ綺麗な環境で、食事も睡眠も保証されているから、主人公リンカーンのような疑問を持つ人が極めて少ないです。

でも恋愛が禁止

恋愛禁止、これはこの種の映画では割とありがちですが...。権力者は、人々が愛し合わないように仕向けるのでしょうね。またこの映画の場合は、子孫繁栄などの事情も含めて、禁止されているということでしょう。だってこのバイオテック社にクローンを依頼する人達って、セレブばっかりなんでしょ?例えば著名な政治家と女優のクローンの子供がどこかで勝手に生まれていたら、チョー面倒くさいことになりますからね。しかしこの施設内のアグネイトらが「そもそも人間はどうやって生まれるのか?」について、全く考えていないのが凄いです。アグネイトの中には妊婦もいましたから、周囲は「あのお腹はどうやったら大きくなるの?」って疑問に思っても良さそうなものです。確かに彼らはクローンだから、余計な知識を与えられていないかも知れない。でもそもそも人間は、最初からないものに対して鈍感なのかなと思いました。例えば、私達は今恋愛をするのが当たり前の世界に住んでいるので、もしも「全員明日から恋愛禁止」とか言われると、マジ切れする人もたくさん出てくるでしょう。でも、生まれた時からそうだったら、このルールを破る人の方が「変わり者」みたいな目で見られるのかも知れないです。

幸せの観念を植え付けられている

皆は夢の島「アイランド」にいくことのみが幸せだと信じ込んでいて、他の幸せを見出そうとしません。実際は「7年待っているのにアイランドに行けない」とエレベータの中でぼやいていた男が、一番のラッキーマンだったということになりますよね。7年も居たのに、殺されずに済んだわけですから(笑)。幸せと信じていることが不幸になることで、「自分は不幸だ」と思っている人が実はまぁマシだったというメチャメチャな世界観が堪能出来ました。

前半はかなりTHX-1138的な世界観

いや~似てるなぁ!って思いました。真っ白い服を着た集団が出勤するシーンとか。そして管理する側の人間は黒いジャージみたいなのを着ていて、そこもロボット警察とカブるなと思いました。それぞれが住んでいる個室の雰囲気とか、それらを実はものすごくたくさんのモニターで監視されているところとか...。不気味としか言いようがないです。『THX-1138』との類似点は、人々がこんな奇妙な毎日に何の疑いを持っていないところだと思いました。こういうのを客観的に見せられると、もしかしたら自分も彼らと同じ過ちを犯してないかなとか考えさせられます。また後半の逃亡シーンにカーチェイスがあるのも何となく、THXとカブります。それ以外では、ほんの1シーンですが『時計じかけのオレンジ』も、思い出しました。

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 画像引用:https://www.facebook.com/theislandmovie/

ロサンゼルスの都市の描写が、何気に近未来的

あとはマイケル・ベイのアクション描写がド派手すぎてなかなか気付けないことですが、都市の近未来映像が素敵です。空中を走る列車とか特にそれほど目新しくもないのですが、妙にしっくりきている感があります。「ああ、こういう未来か!案外悪くないな...」と。街頭に情報ブースがあるのも、凄く自然でした。

クローンを「製品」と呼ぶ残酷さ

 確かに彼らはクローンかも知れない。しかし仮にも人型をした、いや人とそっくりのそして心を持った存在に対して製品はないやろ!と思いました。クローンも人間と同じく、一人一人がスペシャルであり、替えのきかない存在なんですよ!と、私は博士に言いたい。そんな超基本みたいなことが分かってない人物が、または分かっていても規則を平気で破る人物が、組織のトップに立ち金や権力でガチャガチャとゲームでもするみたいに人を動かすのってめちゃめちゃ危険ですよ。残酷だなぁ...って思います。でもこの映画の中ではクローン禁止法が適用された世界が描かれているので、そこはまだマシだなと思いました。「適用されていても法を破る人物がいるとこうなりますよ」みたいな部類の怖さです。

 

 【アイランド】は脇役俳優陣が「はまり役」のオンパレード

ブシェミがいきなり出てきたので、それだけでテンション上がりました。ブシェミは、やっぱあの独特の声が良いですね。彼が映画に出てくる時って、分かっていても何かサプライズ感があるような(笑)小さくガッツポーズです。マックは研究施設の社員のようですが、結局彼が何をやってるのか?は分からないままでした。

 

またジャイモン・フンスーが演じるローランって人がなかなか良いキャラで、ラスト付近では、ジョーダンを助けたりするのですが...。よくよく観ると物語の序盤ぐらいから「植物のようなクローンが逃走したんですか?へぇ~」とか、嫌味を言ったりしているのです。だからローランは、最初から博士に反感を抱いていた人物なのですね。ラストシーンでクローンらに紛れ、さっそうと歩いている姿が印象的です。

 

後はアイランド行きが決定し大喜びをしていた黒人男性のスタークウェザーが、手術着を着せられ内臓を摘出される直前に目覚めるという惨事。血相を変えた彼が逃亡するシーンは、結構ショックです。この気の毒な男性を『グリーンマイル』の囚人ジョン・コーフィ役のマイケル・クラーク・ダンカンが演じているのが、何とも言えません。左右対称の構図で引きずられるシーンは、何となくグリーンマイルのラストとオーバーラップしてしまい、より残酷な印象となりました。

 

そして、悪役にはショーン・ビーン。主演のユアン・マクレガーリンカーン(クローン)とトム(人間)の一人二役でしたが、別人のように見えて素晴らしかったです。

 

 クローンを題材にした映画としてはやや軽め【アイランド】の総合的な感想

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画像引用:https://www.facebook.com/theislandmovie/

期待していたよりは何倍も楽しめた、という印象です。前半の方がSF感たっぷりで、後半はかなりアクション色が強め。特に列車の車輪をトラックから落とすシーンは、わざわざ用意された感が凄いです(笑)。でも、インパクトも強く、迫力があるので良いと思いました。

 

あと注目なのはアグネイトらの会話。「デュード」って言葉を知らなかったみたいで、新しい言葉を仕入れては仲間とシェアし、喜んでいるのがとてもチャーミングでした。またリンカーンの友達のジョーンズって人が超数学マニアだったりとかして、いろいろと楽しめます。

 

クローン批判はしているものの、『月に囚われた男』などと同様に、エンターテイメント性もあるので、過度に重苦しい空気にならずに済んでいるところが個人的には良いなと思いました。確かにクローンの問題を軽々しく扱うのはタブーかも知れませんが、内容があまりにもへヴィだったら、観るのすら躊躇してしまう方もいらっしゃるのではないでしょうか。映画にしろ、ドラマにしろ、基本最後まで観なければ意味がありません。だから『アイランド』はSFとして視覚的に楽しみながらも、クローンについても真剣に考えさせられるという具合のバランスが良いなと思いました。監督の作風上、結果そうなっただけかも知れないですが(笑)

 

あとは、この組織内に閉じ込められているアグネイトらが、いろいろ気付いていない内はヒヤヒヤでしたが、気付けばちゃんと反逆し逃げようとする人たちで良かったです。逃げろ!と思った瞬間にリンカーンが逃亡するなどの展開には、スカッとさせられました。また本作品では、搾取される側と搾取する側の逆転劇が描かれています。そこが痛快なのですが、着地はそこにとどまらず、仲間(全クローン)の救助という温かい結末に辿り着くところが素晴らしく、清々しい気分になれました。

 

余談

この映画は「あの映画に似てる」と言われることが多い様です。

この記事で取り上げたのは『THX-1138』でしたが、以下

 

アイランドは『クローン・シティ/悪夢の無性生殖』と似ている

アイランドは『レベル16 服従の少女たち』と似ている

アイランドは『わたしを離さないで』と似ている

 

などです。『レベル16 服従の少女たち』はホラー、スリラーのテイストが強く、少女たちがクローンではなく孤児であるところが尚更恐ろしかった。心底ゾッとさせられましたよ。『わたしを離さないで』は、ドラマ版第9話の鑑賞の途中で挫折しました。頑張って観ていたのですが、あまりにも生々しく悲しく、見続けるのが辛くなったからです。よってガーランド脚本の映画『わたしを離さないで』の方も、まだ観ていません(汗)。こちらは、もう一度勇気を振り絞り、近々鑑賞するつもりですが...。そんな私が言うのもなんですが『わたしを離さないで』は、登場人物に感情移入しやすい人は、要注意!という気がします。原作を読む勇気はありません。相当にショックですよ、これは。仮に最後まで観るとして、仮に映画を観るとして、咀嚼するのに随分時間がかかるだろうな、と思いました。

 

「芸術は人の心を傷つける」どこかで聞いたような言葉が、頭の中をぐるぐる回りました。でもこの場合テーマがへヴィであることが、何よりの原因でしょうね。強くならないと!と思います。でも今は無理、コロナへの恐怖もあるから(笑)

 

もしも興味がある方は調べてみて下さい。長い記事を最後までお読み下さり、ありがとうございます。

 

 

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ザ・スクエア 思いやりの聖域 【映画感想後編】完全ネタバレ

ザ・スクエア 思いやりの聖域

原題:The Square/上映時間:151分/製作年:2017年

ザ・スクエア 思いやりの聖域(字幕版)

監督:リューベン・オストルンド

脚本:リューベン・オストルンド

出演:クレス・バング、エリザベス・モス、ドミニク・ウェスト、テリー・ノタリー

 

なが~い前置き(すっ飛ばしたい方は上の目次より「人々の恥の感情を意識して観る【ザ・スクエア 思いやりの聖域】の主な見せ場」へお進みください)

しばらく前にツイッターで読書感想文って必要?みたいなハッシュタグを見つけました。私がこれを見て思い出したのは読書感想画の嫌な思い出です。小学生に読書感想画を描かせるのは良いですが、子供に対していちいち注文が多すぎます。まず、日本の昔話とか、教科書に載っている物語を指定してくるじゃないですか?好きなお話じゃだめなのですかね。

 

で、そもそも小学校の図工って美術の先生が教える訳じゃなくて、担任の先生が教えますよね。私はその担任とウマが合わず、心の中でロッテンマイヤー(以下ロッテン)と名付けていました。ロッテンは私の絵を見て、「何で鬼なの?」と攻撃を開始。ロッテンの理想の感想画はきっと「おじいさんとおばあさんが優しく微笑んでいて、おじいさんの手が顔の5倍ぐらいはあるパースの狂ったほのぼのとした絵」なのだと、私は即座に感じ取りました。

 

でも私が描きたいのは、そんなのじゃなく、ごつごつとした複雑な鬼の姿なのです。子供は暇ですから、描きごたえのある題材を選ぶのは、自然な流れでしょ?レイアウトは真ん中に黄色いオニ、両サイドに赤鬼と青鬼です。イカツい棒を持っていてそれらを如何に刺々しく描くか?が私の課題でした。しかしロッテンはこの絵が気に入らず、悪者をメインで描くのは良くないと言い始めました。そんなこと誰が決めたのですか?と言いたい。

 

またロッテンは点画で描くように指示したのになぜ守れないのか?とも言いました。私はオニをベタ塗りしていたからです。でも、そもそもなぜ描画方法とかを指定されなきゃならないのですかね?賢い生徒はみんなロッテンの気に入るような、点画で水彩の良さが活かされた老後の趣味の絵葉書みたいなのを描いてました。

 

私がいうことを聞かないとなると、ロッテンは勝手に私の筆を取り無理矢理点画にしようとしました。私はそのとき、この種の人物の残酷さを見た気がします。更には平気で子供に恥をかかせる無神経さ...。これは「従わないなら、恥をかかせるぞ」という脅しですね。

 

確かに私はとある市内のスケッチ大会で賞をもらったりで、少しうぬぼれていたかも知れません。しかしそんな人はごまんといて、自分の絵が大したことないことは子供であっても重々知っています。しかしロッテン、あなたの絵よりは随分マシだと言いたい。その鬼の点画は本当に酷かったです(笑)。それに人の絵に断りもなく勝手に手を加えるのは、明らかにマナー違反ですよね?

 

しかし、私はこの件であることに気が付きました。恥と美はなにか関係があるのだろうな...ということです。ペンは剣よりも強しですよ!覚えとけよロッテンマイヤー

 

ロッテンマイヤーとは昭和のアニメ『アルプスの少女・ハイジ』に出てくる意地悪な教師です。若い方でピンとこない方もいらっしゃるかもしれませんので、一応説明させていただきます。

 

人々の恥の感情を意識して観る【ザ・スクエア 思いやりの聖域】の主な見せ場(完全ネタバレします)

すいません、前置きがえらく長くなってしまいました。ここから本題に入ります『ザ・スクエア 思いやりの聖域』はコメディ作品であると同時に、不愉快な気分を存分に味わえる奇妙なバランスの作品だと思います。なぜ不快なのか?それは本作品が私の、あるいは私達の羞恥心を大いに刺激してくるからだと思いました。レビューの後半は、これらの視点から大きなみどころをご紹介します。

 

話は変わりますが、クリスティアンってあんまり仕事してないですよね。それもこの作品のプチ不快ポイントですね。動画の件に関しても、チェックさえ怠らなければまあ大ごとにはならなかった。慎重さが足りないんだよ、クリスティアン

恥の感情の疑似体験をさせられるから不快①トークショーのシーン

私がもっともショッキングだったのは、トークショーのシーンです。これはクリスティアンが行っている参加型トークショーで、神経に障害を持つ方が急に静まり返った会場で猥褻な言葉を大声で発言するというものでした。人々のリアクションは極めて印象的で、場の気まずさがひしひしと伝わってきましたよ。そしてこの映画全てを通して感じたのは、恥ずかしいという気持ち。

 

このシーンであればつまりは、この障害を持つ方の発言が恥ずかしいのではなく、周囲の人々が極めて恥ずかしくない行動を取ろう、すなわち公平であろうとしている所が注目ポイントなわけです。しかし、この人々の微妙な心の揺らぎ具合が伝わってきて、とてもいごこちが悪い。そして遂にはシビレを切らした一部の人間が、非難し始めます。しかし大抵の人はこれを恥ずかしいこととし、自分はああいう冷酷な人間にはなるまいと粘っているかのように感じました。もしも気持ちが揺らいで感情的になってしまったら、情けない自分を見ることになるからです。

 

またオストルンド監督は、北欧と日本の文化で『恥の感覚』が特に似ているとインタビューでも語っているようです。

「生存本能のスイッチが入ると、文化なんて消し飛んでしまうんだ。ぼくらは自分の行動を自分でコントロールすることなんか、できないのかもしれない。でも、恐怖が過ぎ去ってわれに返ると、再び文化を取り戻す。それが『面目を失う』という感覚、つまり『恥』だよ。この恥が生存本能を上回って、自殺してしまう人もいるよね。動物のなかで人間だけがもつ普遍的な感覚だと思う」

wired.jp

 

一部の書物では恥の感覚は日本独特のもの、とか言われていますが私は本当にそうなのかなと思っていました。だから、オストルンド監督がこのような発言をするのは、非常に興味深いです。猿パフォーマーのショーのシーンなどを見ていてもそうですね。ストレートに言ってしまえば、サル人間から標的にされると皆から注目され、恥をかかされるから不快なのですよ。しかし恥ずかしいこと=悪という認識があるが故、治安が保たれているということだってあると思います。ただ政治に関しては恥ずかしがらず時に怒ったり、はっきり意見した方が良いかも知れません。

 

困っている人を助けなかった、見て見ぬふりをしたなどの理由で「ああ、あの時自分は見苦しいことをした...」と思うのは悪夢です。それは罪の意識とはちょっと異なる感覚ですね。単純に裁かれることが怖いというよりも、自分の心が汚らわしく感じられ不快だということです。よって『ザ・スクエア 思いやりの聖域 』は監督が恥と道徳心を結びつけて表現したというところに、映画としての面白さが感じられました。また恥の感性は、美の意識とも深く結びついていると思います。

 

恥の感情の疑似体験をさせられるから不快②猿パフォーマーのショー

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画像引用:http://www.transformer.co.jp/m/thesquare/

続いては、ガラ・パーティーでモンキーマンが大暴れするショーのシーン。この場面を観て思ったことは、私は過去に似たような経験をしているのではないか?ということです。もしくは多くの方が、かも知れません。例えば比較的内輪だけのライブに行った時無茶振りされ奇妙なダンスを強要されたとか、駅の待合室でぐだぐだ絡む酔っぱらいがじっとこちらを見ているとか、目があったら最後....という状況に追いやられるパターンですね。それは無神経な人から辱められた時の、何とも言えない気分にも似ています。このガラ・パーティのシーンでも、居合わせたセレブ達一人一人がこのパフォーマンス早く終わらないかなぁと思ったはずです。

 

その中で運悪く選ばれてしまったジュリアン。パフォーマンスですから、止める訳にいかないのもありますが、周囲の人々は皆保身に専念しているように見える。内心「このパフォーマーうぜぇな」もしくは「このサルうぜぇな」と思いながら、表面的には上品な笑みを浮かべ取り繕っている感じです。そして遂にジュリアンは「クリスティアン、何とかしろ!」と叫びます。そうこの時もクリスティアンはボケ~っとショーを観ており、仕事をしていない(笑)

 

一方猿パフォーマーの方は動物に敬意と恐れを抱けと言わんばかりで、次々に人々を威嚇します。私は犬が大好きですが、まだ子供の頃であった昭和の時代の野良犬たちは、本当に怖かったですよ。3匹ぐらいでつるんでいて、まるで『ひげよさらば』に出てくるような、ガラの悪い犬達でした。私は急遽、ジャングルジムに上り避難したのを覚えています。そもそも獣は恐ろしいのです。

 

※ひげよさらばとは、1980年代にNHKで放送されていた野良猫たちがわちゃわちゃでてくる子供向け人形劇です。子供向けであるにもかかわらず内容が何だか過激で、見てはいけないものを見てしまった感が多分にありました。後味は毎回良いと言えませんが、妙に惹きつけられた作品です。

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画像の方がよりイメージが伝わりやすいとは思いますが、使用出来そうなものがなかったので、ちょっと描いてみました(笑)。気になった方は検索してみて下さい。

 

このシーンを観ていて不快なのは、「まぁパフォーマンスだし、なるだけ寛容であろう」と努めていた人々が本能的な怒りを露わにしてしまい、逆に恥をかいてしまうという結末に着地するからなんだと思いました。「サルごときにブチ切れてたまるか」という人々の妙なプライドをちくちく刺激し、反撃しないと絡まれる、しかし反撃すると恥をかくという究極の選択を強いられた時のジレンマのような。

 

だからセレブリティを皮肉っぽく表現しているにもかかわらず、どこかこの人達側にやはり自分を重ね合せてしまう。嫌な気分を味わいたくないのなら、あっさりサル人間の方に感情移入すれば良いだけのことなのですがね。

 

そして遂にサル人間は女性の方に向かい、性的な暴行を加えようとしはじめます。ここまで来たときやっと人々はこれはマズイという理性での判断と、「法に関わるので」という正当性、もう我慢の限界だという感情の爆発によってパフォーマーを懲らしめるのです。

 

しかし、そうとなったら今度は手のひらを返したように、サル人間を悪人扱いし攻撃。大衆心理の恐ろしさが、よく描かれていると思いました。また、通常は抑圧されている人間の狂暴さが露わになる瞬間の醜さも、みどころです。人々はサル人間を取り押さえ懲らしめましたが、挑発に負けてしまったという羞恥心は消えないでしょう。すなわち猿パフォーマーに対しての憎しみは晴れても、スマートに問題を解決できなかった自己嫌悪感は付きまとうということです。何とも後味の悪い思いをさせられるシーンでした。

 

ドン引きするようなYOUTUBE動画をちゃんと確認せずにすんなりOK

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画像引用:https://twitter.com/TheSquareJP

ザ・スクエア」を展示するにあたって、このインスタレーションを事前に多くの人々に知ってもらおうと、YOUTUBEで動画が製作されることになりました。この広報担当をしたのは若者2人。彼らはより刺激的な内容の動画で、注目を集めさえすれば良いと考えています。そんな彼らが製作した動画は、「貧しい姿をした金髪の少女が四角の中に入ると爆発してしまう」という極めて残酷な内容のものでした。いやいやいや...マジでこれはシャレになってない。何でこんなことを(汗)

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 画像引用:http://www.transformer.co.jp/m/thesquare/

ところが責任者であるクリスティアンは、この動画にあっさりOKを出してしまいます。彼は例の財布の事件以降、そのことで頭がいっぱいだったからです。ロクに確認もしないままOKが出されたもので、周囲の美術館関係者もさすがに戸惑います。そして忘れた頃に、動画に対しての非難の声が殺到し大炎上。クリスティアンは責任を取る形で、辞任することとなりました。常識のない若者に気を許したがゆえに、恥をかいてしまうという結末。またこの若者らが、バズるのであればどんな事をしても良いと思っている辺りが怖いです。「この動画を観て傷付く人がたくさんいるだろう...」とか考えないのでしょう。きっと彼らはゲームとかラジコンをガチャガチャいじる感覚でこれをやっちゃったんですよ。でも結果的には皮肉にも本件で多くの人々にこの企画が認知され、話題となる始末です。宣伝効果はあった...という。とほほ...。

少年が消えてしまい、後味の悪いラストへ

ラスト付近では顔は子供、口調が大人な少年が遂にクリスティアン宅まで押しかけ、罵倒しまくります。注目すべき点はこの少年が「謝れ」をひたすら繰り返し、謝罪を要求してくるところです。なぜなら、濡れ衣を着せられ恥をかかされたから...。しかしクリスティアンはそもそも人を助けた挙句、こうなったという被害者意識があるので謝りたくない訳です。その上2人の娘が見ているので、メンツも保ちたいという変なプライドが顔をのぞかせるのでした。

 

そしてとうとうクリスティアンはうっかり子供を跳ね飛ばし、そのせいで彼は階段からころげ落ちてしまいました。「たすけて~」と何度も叫ぶ声、しかし彼はこれを無視してしまいます。その後あの子供は、どのような経緯で消えたのかな?と思いました。考えられるのは以下のどちらかだと思います。

 

1.団地の住民の言うとおり、おそらく引っ越した

2.行方不明、もしくは死亡

 

ゴミ置き場をあさってまで少年の連絡先を探すあたり、クリスティアンは「まさか!」とは思いつつ「2.行方不明、もしくは死亡」のケースを疑い、不安になっているわけです。そして結局少年の住む団地までもう一度出向くのですが、残念ながら少年はもうそこに住んでいませんでした。安否が確認出来ない...。彼はおそらく引っ越したのでしょう。しかしはっきりとした事実が掴めない為、何とも後味の悪い思いをするわけです。きっと、クリスティアンは罪の意識から解放されることはなく、「なぜオレはあの時素直に謝らなかったのか?」とか「少年の助けを求める声がある内に、階下に降りてみれば良かった」などと自分を責めることでしょう。しかしここで警察沙汰にはならないあたりが、この監督の作風だなと思いました。もうなんと言うかはっきりせずビミョー!!

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画像引用:https://twitter.com/TheSquareJP

そしてここでも恥の意識がつきまといます。なぜそう思うかというと、2人の娘がそれを見ているという表現があるからです。クリスティアンは彼女らの視線を感じ取りますが、それはどちらかと言うと裁きの視線ではないですね。なぜなら、娘らは駐車場で待機するのを「怖いから」という理由で嫌がり、団地まで一緒に行くことにしたからです。2人の娘たちは、「パパはきっと何か悪いことをしたんだ!」と直感的に感じ取り、心配そうに見ています。それを観ているとこちらも恥ずかしくなり、気まずい嫌~な気分を味わうのだと思いました。結局父親としてのメンツも立たず、例の動画の一件で仕事も辞任しているという最悪の結末へと向かう訳です。

現代美術の批判をしているか?

「現代美術を批判している!」とか「いや、現代美術は批判されていない」など様々な意見があるようですが、そもそも現代美術と言っても色々あるわけで、ちょっとざっくり過ぎないかなと(笑)。その中でも『ザ・スクエア』に登場するジャンルの、コンセプチュアルアートやミニマルアートから感じるのは、何となく胡散臭いなということ。たしかに自分は勉強不足で、現代美術がよく分かりません。また一般的に、このジャンルは一部の人にしか理解されないというイメージです。

 

また現代美術(主にコンセプチュアルアートやミニマルアート)が分からない、と言っても「ではあなたは"パウル・クレー"を理解しているのか?」と聞かれると、それもまた微妙ですね。でもウォーホルやクレーやダリやシャガールなどは若い頃から好きで、いずれも本物を鑑賞したことがあります。良いな、好きだなと思うことはできる。だから私の場合、よくよく考えてみると「現代美術が分からない」のではなく、「現代美術が好きなのか、否かが分からない」ということになりますね。

 

だいたい、いきなり箱状の物がただ一列に並んでいるとか、木の切り株みたいなものにどうリアクションすれば良いのでしょう。あえて申し上げるのならアーティストよりも、これらをとりまく世界の持つスノッブな雰囲気に嫌悪感を覚えるのだと思います。よく分かってもいないのに、分かった様なふりをして「う~ん」と唸る人達。前置きで長々と書きました、ロッテンのような人もこの中に入るのかなと。

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画像引用:http://www.transformer.co.jp/m/thesquare/

そもそもこんなものを見せられて、何が「う~ん」なのか聞きたい。ただの砂利の山じゃないですか?

 

 で、劇中ではこの砂利の山が一部崩れて、どうするか?という話になるのですね。そこが面白いなと思いました。それでクリスティアンは、あっさり簡単に手直しさせてしまいます。どこまでテキトーやねん!

 

だからこの映画は、現代美術そのものを批判しているというよりは、その周辺の細かい事情みたいなのが嫌味たっぷりに表現されているのかなと思います。すなわち砂利の山そのものを批判するというよりも、その管理や運営の仕方がこんな感じですよ!って言ってるのだなと。冒頭のインタビューシーンもそうですし、本作品のメインとなるコンセプチュアルアートザ・スクエア」も、キュレーターはこんな感じのセレブなんですよと批判している。

 

また、多くの人がサルの絵と人の絵を区別できないんだよって感じの皮肉も入っている気がします。それは言いかえれば、現代美術館に展示され、四角い枠の中に入った途端に評価する人が出てくるよねって事でもあると思います。

 

 

余談ですが、バンクシ―の絵を街頭で安く売ってもほとんどの人が見向きもしない...というYOUTUBE動画を見たことがあります。高価だからとか有名だからという理由だけで、価値があると思い込んでしまうという悲劇...。私は以前、天然原石を扱うアクセ・雑貨ショップで7年ぐらい働いておりましたが、今、原石を見せられても、はっきり言って全く自信ないですね(笑)。さすがに50万、100万するものと5,000円ぐらいのものの区別はつくと思いますが、これはアクアマリンでこの大きさだからきっと高いだろうとかそういう判断になってくると思います。だからこういう批判的なものを絵で見せられると、凄くイタイと思うんですよね。そこら辺もホント、意地悪だなぁ!

 

ただし、「人気だから」とか「値打ちがあると聞いたから」と言ってなりふり構わず安易に飛びつき、その行為に何の疑いも持たない連中ってどうなのかな?とも思います。見ていてちょっと、恥ずかしいですね(笑)

長い記事を最後までお読みいただき、ありがとうございます。

 

 

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ザ・スクエア 思いやりの聖域 [Blu-ray]

ザ・スクエア 思いやりの聖域 [Blu-ray]

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ザ・スクエア 思いやりの聖域【映画感想前編】 完全ネタバレ

ザ・スクエア 思いやりの聖域

原題:The Square/上映時間:151分/製作年:2017年

ザ・スクエア 思いやりの聖域(字幕版)

監督:リューベン・オストルンド

脚本:リューベン・オストルンド

出演:クレス・バング、エリザベス・モス、ドミニク・ウェスト、テリー・ノタリー

 

※このレビューは『フレンチアルプスで起きたこと』も少しネタバレしています。

ザ・スクエア 思いやりの聖域』この映画のこと、すっかり忘れていました。そんな映画がごまんとあってゾッとします。以前は鑑賞した映画をいちいちメモしていたのですが、最近うっかり忘れていたりすることも多くて(汗)。この映画は、去年やっと鑑賞したのですが『フレンチアルプスで起きたこと』以上に風刺が効いてるなと感じました。

 

ザ・スクエア~』は、鑑賞前に上映時間が151分と知り「うわっ長いな~」と思ったのですが、実際観てみると風刺の効いたブラックコメディが心地良く、ずいぶん短く感じられました。『フレンチアルプス~』の方は、問題のシーンが衝撃的ですが、それ以降の場面は割と単調で山場が少ないと言えなくもありません。確かに夫が泣き出すシーン、ラストシーンなどは衝撃的ですが...。それに比べこの『ザ・スクエア~』は、意地悪で不快なシーンのオンパレードなので退屈な場面がほとんどないのです。

  

ザ・スクエア 思いやりの聖域】の概要


第70回カンヌ国際映画祭パルムドール受賞作!映画『ザ・スクエア 思いやりの聖域』予告編

監督は リューベン・オストルンド

『 ザ・スクエア 思いやりの聖域』は、2017年に公開された(日本では2018年に公開)スウェーデンの風刺映画です。スウェーデンと言えば、福祉大国という印象が強いですが、劇中では以外にも貧富の差の激しさが目立ちます。またこれらの格差が生む社会問題や、人々が他人に無関心であることは意外な一面であり、イメージ通りではないスウェーデンを見せられた気がします。

日本も一見住みやすそうな国であり、しかしその実こうですよ...みたいなところがありませんか?まぁ、自分はそれでも日本は住みやすい国だと何となく思いますが。そんなこんなでスウェーデンの人々のいやぁ~な側面を鋭く描いた監督はお馴染み『フレンチアルプスで起きたこと』で一躍注目を浴びた、リューベン・オストルンドです。ザ・スクエア 思いやりの聖域』は第70回カンヌ国際映画祭パルムドール、バルカン賞をはじめ、それ以外にもかなりたくさんの賞を受賞していて驚きました。

・ボストン映画批評家協会(外国語映画賞

・シカゴ映画批評家協会(外国語映画)

放送映画批評家協会賞外国語映画賞

などなどです。

オストルンド監督の意向

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画像引用:https://www.facebook.com/TheSquare/

オストルンド監督は現代の人々の他者への無関心を憂いて、この映画を製作するに至ったようです。またこの映画が製作されるより前に、「ザ・スクエア」というインスタレーションが実際に展示されています。この映画には、誰かが困っていても、他の誰かが何とかするだろうと皆が思ってしまい、結果誰も助けない...。このような傍観者効果を改善したい、という思いが込められているようです。また監督はこうも話しています。

私はアート作品というより、横断歩道と比べられるような存在として「ザ・スクエア」をつくりたいと思ったんだ。横断歩道っていうのは、ファンタスティックだよ! 道路に線を引くだけで、「車は歩行者に注意しなければならない」という同意、新たな社会契約をつくりだしているんだからね。

横断歩道がファンタスティック(汗)( ;・_・) え?

監督の詳しいインタビュー記事はこちらです。

↓   ↓   ↓   ↓   ↓

https://i-d.vice.com/jp/article/akwdek/team-hurricane-two-years-later

 

※ 完全ネタバレ記事ですので、鑑賞済みでお読みいただくことをおすすめします。面白いと思った所は全て記していきますので、未見の方はくれぐれもご注意下さいますようお願いいたします。

ザ・スクエア 思いやりの聖域】の主な登場人物〈ネタバレあり〉

どの人物にもあんまり好感が持てないのが本作の特徴。しかしその反面、感情移入はたやすいです。劇中の人物らがイラッとしているのがモロに伝わってきますね(笑)。思いやりのない嫌な人物との共感、そこがある意味この作品の持ち味と言えるでしょう。俳優さんらの演技は申し分なく、素晴らしかったです。

クリスティアン(演:クレス・バング)

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画像引用:http://www.transformer.co.jp/m/thesquare/

この映画の主人公。現代美術館のキュレーターとして活躍するセレブリティで、いわゆる人生の成功者です。テスラという電気自動車に乗り、慈善活動の支援も行っている。幼い子供が2人居ますが、妻とは離婚したようすです。仕事上は「ザ・スクエア」という高尚な企画を運ぶ中、自身のプライベートではほぼ無意識のうちに好き放題やってしまう。それが祟ってか、後半には彼の周りでろくでもない事件が連続して起こり、タジタジになっていきます。

アン(演:エリザベス・モス)

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画像引用:http://www.transformer.co.jp/m/thesquare/

冒頭からインタビュアーとして登場。クリスティアンの見当違いなアンサーにぽかんとするが、後に彼と肉体関係を持ったりもします。ボノボというチンパンジーに似た生き物を飼っていますが、動物を愛しているかどうかは疑わしいですね。悪い人ではないんだろうけど、クリスティアン同様どこか温かみが感じられない人物。こういう人とどこかで会ったことあるなぁという印象。

ジュリアン(演:ドミニク・ウェスト

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画像引用:http://www.transformer.co.jp/m/thesquare/

ガラ・パーティのシーンでは、猿パフォーマーのオレグ(モンキーマン)に執拗に絡まれます。周囲の視線を気にしながら何とか体裁を保とうと、笑ったり逆に猿になりきって見せたりしておどけますが、それがオレグの気に障ったのかとことん追い詰められ、うろたえる結果に...。ドミニク・ウェストはこの奇妙な見せ場を、絶妙な演技力でもって盛り上げました。

オレグ(演:テリー・ノタリー)

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画像引用:http://www.transformer.co.jp/m/thesquare/

どうかすれば悪意すら感じられる猿パフォーマー。あるいは、芸術家としてプロフェッショナル過ぎるのかも知れません。もう主役はこの人で良いのではないか?と思う程、インパクトのある人物。演じているテリー・ノタリーは今後どんどん増えていくであろう、モーション・キャプチャー俳優のベテランであり、パーティシーンでの活躍は素晴らしいものでした。オレグという名前は「ドッグマン・オレグ」という実在したパフォーマーから来ているようで、このことは町山智浩さんのトークショーレポートに詳しく書いてあります。

cinefil.tokyo

で、ドッグマン・オレグことOleg Kulikのパフォーマンスを実際にYOUTUBEで観てみると、過激なことをやりすぎて通報されてましたね(笑)。私が見た限りでは、ムツゴロウさんのような変態っぽさも感じられました。


Oleg Kulik : liaisons dangereuses - Tracks ARTE

マイケル(演:クリストファー・レス)

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画像引用:https://twitter.com/TheSquareJP?ref_src=twsrc%5Etfw%7Ctwcamp%5Eembeddedtimeline%7Ctwterm%5Eprofile%3ATheSquareJP&ref_url=http%3A%2F%2Fwww.transformer.co.jp%2Fm%2Fthesquare%2F

クリスティアンの部下。クリスティアンからは、常に面倒なことを押し付けられているようす。クリスティアンの代理でコンビニへ行き子供と面会した際には、強い口調で責め立てられたりと、大変な迷惑を被ります。

 

ザ・スクエア 思いやりの聖域】あらすじ〈ネタバレあり〉

主人公クリスティアンは、現代美術館のキュレーターを務めるセレブリティです。ある朝彼は、街の広場のような所で助けを求める女性の声を聞きました。周囲の人は皆知らん顔。クリスティアンは近くにいた男性と共に彼女を助けますが、その直後に財布とスマホとカフスを盗まれたと知ります。

 

職場に着いた彼は部下にスマホGPSを探知させ、犯人の居場所を突き止めようとしました。しかし建物までは特定できるのですが、財布を盗んだ犯人がどの部屋の住民かは分かりません。そこで部下であるマイケルが、全ての部屋に同じ脅迫文を送りつけるという大胆な案を提案。盗まれた財布などは後日コンビニに届けるように、文書に指示書きします。

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画像引用:http://www.transformer.co.jp/m/thesquare/

脅迫文を考える間、妙に盛り上がる2人

 

クリスティアンは喜々として、部下と共に犯人の住む団地へ向かいました。しかしそこはセレブである彼らとは違い、貧困層の人々の住む区域です。予想外のイカツい雰囲気にビビり上がった部下は、「提案はしたが自分はポスティングはしない」と言い出しました。仕方なく全ての部屋のドアポストに、自分で脅迫文を入れるクリスティアン。彼は自分のことであるにもかかわらず「何でオレがこんなことしなきゃならない訳?」と不満げです。クリスティアンがことを済ませると2人は、そそくさとその場を離れますが、何となくどんよりした空気が流れます。

 

一方美術館では、新しい展示である「ザ・スクエア」の企画が進められていました。この「ザ・スクエア」という作品は、美術館の敷地内にただ正方形の空間を作るというだけのものです。しかしこの四角の中は信頼と思いやりの聖域であり、この中に入った人は、「全ての人が平等の権利を持ち、公平に扱われる」というルール。いわゆる参加型のアートなのです。

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画像引用:https://twitter.com/TheSquareJP?ref_src=twsrc%5Etfw%7Ctwcamp%5Eembeddedtimeline%7Ctwterm%5Eprofile%3ATheSquareJP&ref_url=http%3A%2F%2Fwww.transformer.co.jp%2Fm%2Fthesquare%2F

広報担当は外部の企業の若い男性2名。彼らは、炎上しても良いので注目を集めるような奇抜なYOUTUBE動画を制作するつもりです。数日後...。クリスティアン宛にコンビニに小包が届き、財布とスマホが戻ってきました。やれやれと胸をなでおろすクリスティアン。しかしそれからしばらくして、新たな小包がクリスティアンの元に届いたと連絡が入ります...。

ザ・スクエア 思いやりの聖域 のイラッとくるポイント(完全ネタバレ)

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画像引用:https://twitter.com/TheSquareJP?ref_src=twsrc%5Etfw%7Ctwcamp%5Eembeddedtimeline%7Ctwterm%5Eprofile%3ATheSquareJP&ref_url=http%3A%2F%2Fwww.transformer.co.jp%2Fm%2Fthesquare%2F

話の大筋はあらすじでも触れましたように、一流のセレブである主人公が財布をスラれたことから、調子を狂わせていくさまが描かれています。「ザ・スクエア」という高尚な企画を進行しつつも、プライベートではスリにあったからと言って脅迫文を無差別に送り付けるキュレーター。この事件以降、クリスティアンは自分の心の狭さをいやという程実感することになり、観客である私もクリスティアンの心情にのまれていった...そんな感じです。その中でも、私がイラッときたポイントをピックアップしてみました。

コンビニ前でホームレスの女性にファーストフードを奢るシーン

財布とスマホが無事戻ってきたことでクリスティアンはいささか機嫌が良くなり、コンビニ前にしゃがみ込んでファーストフードを奢って欲しいと頼むホームレスに、バーガーかサンドウィッチかを買ってあげます。しかしそのホームレスの女性は、オニオン抜きを要求してきたりして、結構ずうずうしいタマネギぐらい自分でどけろよ、バーカと咄嗟に思ってしまった自分(汗)。しかし、これが監督の意図なのですね。奢ってもらうのだから、要求をするな!というのは、高慢でありそれはそれで上から目線になる訳ですよね?こういう問題は難しいです、不寛容ですみません。

主人公がアン宅のペットに不自然なほど無関心

クリスティアンはアンと寝ないと心に誓っていましたが、誘われると誓いも虚しく早速アンの家へ。奇妙にもアンは猿系のペットを飼っているのですが、クリスティアンはそのことにも無関心です。チンパンジーみたいなのが室内をうろうろしているのですよ!フツー何か聞くでしょ、名前とか?「珍しいペットだね!」とか一言もない。それって彼女とはその関係しかないことを露骨に本人に分からせているようなものです。失礼極まりないなぁ。それなのにアンは翌日、この一夜の件について質問を繰り返します。アンは被害者のていを取りますが、大抵あの時点で気付くでしょ。鈍い....(汗)。確かにこのような男女の営みは、「本当に愛があるか?」などを考え始めたらキリがありません。しかしあまりにもラフなセフレ作りをするクリスティアンと、鈍感なアンにもイラつきダブル「イラッ」っとです。不寛容ですみません。

使用済みコ●ドームを奪い合うシーン

クリスティアンと寝たインタビュアーのアンは、エッチの時に使ったコ●ドームを自分が処理すると言って、手放しません。クリスティアンの方も負けじと抵抗。よくよく考えてみると、そんなのどちらが処理しても良いことじゃないですか。(この女はオレのそれをなぜそこまで始末したいのか?気味悪いなぁ)これがきっとクリスティアンの心情でしょう。ちなみに私の中では、「アンがまさかサルと人間を交配させるつもりではないか?」という妄想と恐怖が広がりました。しかも、このアンという女性の好感度の低さは何だろう?何を企んでいるのか分からないようでいて、その実、大して何も考えてなさそうな(笑)。そんな場面がしばし続くことに苛立ちを覚えました。不寛容ですみません。

椅子がキーキーいうシーン

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画像引用:https://twitter.com/TheSquareJP?ref_src=twsrc%5Etfw%7Ctwcamp%5Eembeddedtimeline%7Ctwterm%5Eprofile%3ATheSquareJP&ref_url=http%3A%2F%2Fwww.transformer.co.jp%2Fm%2Fthesquare%2F

後日美術館内でクリスティアンとアンが先日の情事に着いて話すシーン。2人の後ろには無造作に椅子が積み上げられていて、これらがゆらゆら揺れる。時折不快な音を立て、崩れそうになるのですが、おそらく構造上決して崩れはしないのです。椅子たちはある不安定な形状を保ったまま、スウィングします。そして不快な音がいちいち2人の会話をさえぎるのでした。イラッ、キーーーーっ>_<となり、いっそのことあの椅子が全部倒れてしまえば良いのに!と思いました。「ああああっつーーー」っと叫びたくなる瞬間です。不寛容ですみません。

妙に大人びた口調のガキの声が耳障り

この映画には、雑音など不快な音がわざと入れてあるに違いありません。観客の感情を煽りたいのですか?と監督に聞きたい。会議中の会話をさえぎるような赤ちゃんの泣き声や、先程述べたイスの音など全部です。また、クリスティアンが全戸に脅しの手紙を入れてしまったことで、「自分は家族から泥棒扱いされた!」とクレームを付けてくる子供が登場するのですが、この子供の話し方が凄かったですね。顔と声は子供、でも口調は大人びたガキがずけずけと正しげなことを言ってくる。なんか子供らしくない、癇に障る態度なのです。ひたすら「謝れ」を繰り返す声。これによりクリスティアンも、謝ったら負け病が発生。でも、フツーに謝ればいいんじゃない?と思いました(笑)。不寛容ですみません。

 

トータルで5000文字以内を目標にしておりましたが、なぜかやはり長くなってしまいましたので残りのレビューは後編に回すことに致しました。後半のレビューは、主な見せ場や現代美術について思ったことを書いています。よろしくどうぞ...ではまた!

 

 

 

ザ・スクエア 思いやりの聖域(字幕版)

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クロスオーバーな映画10選 ! わちゃわちゃと全員集合のキャラ達

 

このブログでは、初めてのおすすめ○選スタイルの記事となります。その1記事目が、なぜよりによってクロスオーバー映画なのか?などの細かい挙動につきましてはスルーしてやって下さい。まぁ敢えて申し上げればコロナの時期なので、いろいろなキャラクターがワチャワチャと出てくる映画をご紹介したいと思います。劇中のキャラクターらは現実だと明らかに「密です」と注意されるような集合具合ですが、映画の世界は関係ないもんねーーー!^-^

 

ちなみに自分はそこまで人の集まる場所に行きたいと思わないので、ステイホームに関してはほとんどストレスを感じていません。あえて言うならば、敬愛するみうらじゅんさんの『人生エロエロ』をコンビニで立ち読みできなくなったことの方にストレスを感じています。衛生面を考慮し禁止になったのでしょう(最近は解除されています)が、やっぱ日頃から立ち読みはダメですね(笑)ちゃんと買わないと!

 

という訳でクロスオーバー映画です。基本的に映画作品のみを選んでいますので、ご了承ください。またマーベルやスーパー戦隊シリーズなどの作品を入れると明らかに10選に収まりませんので、除外させていただきます。

 念のため...クロスオーバー作品とは?

※説明不要の方はスッ飛ばしてください。

クロスオーバー作品とは、全く違った舞台設定のキャラクターらが1つの物語の中に登場する映画、ドラマ、アニメなどのことを言います。最近ではアメコミ原作の実写映画などに多く見受けられ、普段は別々の世界に住んでいる人気キャラやヒーローらが一同に介して活躍する作品が人気を博しています。クロスオーバー映画を鑑賞すると、たまたま好きであったキャラクターが入り口となり、全く違った世界に住むキャラクターや作品にも興味が持てるというメリットがあるかも知れません。1つの映画からさまざまなカルチャーを知るきっかけを作ってくれる作品をお探しの方や、普段からカメオ出演やオマージュシーンに敏感な方には特におすすめです。

 

※完全ネタバレではありませんが、半分ぐらいネタバレしています。ご了承ください。

1.シュガー・ラッシュ:オンライン

原題:Ralph Breaks the Internet/上映時間:112分/製作年:2018年

シュガー・ラッシュ:オンライン (字幕版)

 あらすじ

ラルフ(声:ジョン・C・ライリー)とヴァネロペ(声:サラ・シルバーマン)はゲームセンターに住むキャラクターで、よき友達同士であった。ヴァネロペは「シュガー・ラッシュ」というレースゲームのレーサーであるが、彼女は毎日同じコースを走ることに飽き飽きしている。そこでラルフは、ヴァネロペのために新しい「でこぼこ道」を用意した。

しかしヴァネロペが自分の意思で好き放題レースをしたため、現実世界のプレイヤーと摩擦が生じ、ハンドルが壊れてしまった。ゲームセンターのオーナーはハンドルを買い替えるほどではないと判断。要はそれほどの人気ゲームではなかったのである。結局ゲーム機本体の「シュガー・ラッシュ」は破棄される予定となった。もうレースができないと嘆くヴァネロペだが、インターネットのebayでは200ドルで出品されていると知る。ラルフとヴァネロペは最近ゲームセンターに設置されたWi-Fiを使い、インターネットの世界に入り込むことになった。

 

 おすすめのポイント

2012年の人気クロスオーバー作品、『シュガー・ラッシュ』の続編です。本作品では『ズートピア』のニックやディズニープリンセスなど、前作以上に多くのキャラクターが登場!また劇中には前作同様「Qバート」や「ソニック」などのゲームキャラクターも出現します。

監督を務めるのは、肉食動物と草食動物の共生する大都会を描いた『ズートピア』のリッチ・ムーアと、同作で原案に携わったフィル・ジョンストン。シュガー・ラッシュ:オンライン』では、インターネット内で起こっているできごとが、アニメーションで分かりやすく説明されているのが特徴です。ちょうど『インサイド・ヘッド』が脳内で起こっていることを視覚化したのと同じイメージと言えるでしょう。

 

見どころは、ヴァネロペがインターネットの世界で本格的なレースゲーム「スローターレース」に参加するシーン。ここで登場する女カリスマレーサーのシャンクの声をガル・ガドットが担当しています。更に物語終盤は映画『キングコング』のパロディもあり、全体的に人気・不人気キャラクターのオンパレード。インターネットの世界を可視化した世界観を堪能したい方以外にも、ただ単に「シンデレラ」や「オーロラ」などディズニープリンセスが好きな方など幅い層の方が楽しめる作品ではないかと思います。

 

シュガー・ラッシュ:オンライン (字幕版)

シュガー・ラッシュ:オンライン (字幕版)

  • 発売日: 2019/04/24
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2.フレディVSジェイソン

原題:Freddy vs. Jason/上映時間:97分/製作年:2003年

フレディVSジェイソン [DVD]

 あらすじ

かつてエルム街で悪夢を利用し人々を恐怖のどん底まで陥れていたフレディ(ロバート・イングランド)は生気を失っていた。今や、人を脅かし恐怖心を煽ることでエネルギー源にしていたフレディを意識する者はほとんどいない。なぜならエルム街のほとんど全ての住民達が、フレディのことを忘れ去っていたのだ。そこで彼は人々を不安に追いやるため、クリスタルレイクのジェイソン(ケン・カージンガー)の力を借りることにした。

その頃若者ローリー(モニカ・キーナ)の家には、キーア(ケリー・ローランド)をはじめギブ(キャサリン・イザベル)、トレイ(ジェシー・ハッチ)らが集まりパーティーをしていた。しかしそこへ突然ジェイソンが現れ、トレイを惨殺する。ローリーらがあわてて通りがかりの警察に通報すると、警官の1人がフレディ・クルーガーの名を口走った。エルム街には、若者が知らない恐ろしい過去があったのだ。

 

 おすすめのポイント

ざっくり申し上げると、眠ると現れるフレディの物語と、リアルな世界の殺人鬼ジェイソンの物語が上手く交差して描かれています。街に殺人鬼が2人も登場するため、目撃者の話がくい違うのも、本作品の面白さと言えるでしょう。更に物語中盤以降は、エルム街にジェイソンとフレディが同時に現れることで、人々がパニックに陥ります。

 

しかし物語終盤では主にフレディとジェイソンの対戦が描かれるため、ややアクション色の強い作品になってしまいました。そこは好みが分かれるところだと思います。ジェイソンは溺死したことから水に弱く、フレディは火に弱いなど殺人鬼のキャラクターも対照的に描かれている点なども面白いですね。全く違う背景を持つキャラクターのストーリーを、上手くクロスオーバーさせた脚本は秀逸です。

フレディ vs ジェイソン(字幕版)

フレディ vs ジェイソン(字幕版)

  • 発売日: 2015/03/15
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3. レディ・プレイヤー1

原題:Ready Player One/上映時間:140分/製作年:2018年

レディ・プレイヤー1(字幕版)

 あらすじ

2045年の近未来では都市がすっかり退廃し、人々は「オアシス」と呼ばれる仮想現実のゲームにどっぷり浸り現実の辛さから目をそむけていた。しかし「オアシス」の創始者であるジェームズ・ハリデー(マーク・ライランス)が亡くなったため、その遺産と運営権が授与されるアノラック・ゲームが行われるようになる。

一方主人公ウェイド(タイ・シェリダン)はオハイオ州コロンバスのスラム街で、叔母と暮らしていた。少年ウェイドも「オアシス」に入り浸り没頭する日々である。「オアシス」の中ではどんなキャラクターにもなれる上、さまざまな人と友達になることも可能なのだ。しかしウェイドの目的はやはり運営権が授与される為の、イースターエッグを探すことである。

ウェイドのプレイヤーネームは、パーシヴァルであった。ある日彼はアルテミス(オリヴィア・クック)という名の女性アバターと出会う。

 おすすめのポイント

みんな観ているだろうし、これはもう言うまでもないですね。まさに夢のプロジェクト!スピルバーグ監督の、オタク的な側面を存分に知りたい人の為の作品です。登場するキャラクターは「グレムリン」や「アイアン・ジャイアント」から日本の「ガンダム」や「ハローキティ」まで多数であり、その上懐かしの80年代ヒット曲が流れる始末。情報量の多さは、もはや正常とは思えないレベルまで到達しています。知っていれば知っているほど、好きなキャラクターが多ければ多い程クラクラし、喜びのせいで若干ストレスが溜まる作品と言っても過言ではないでしょう。

 

キャラクターの登場の仕方もパッと見て分かるパターンから、なかなか気づきにくいケースまでさまざまです。また主人公パーシヴァルがVRゲーム空間オアシスの中でバック・トゥ・ザ・フューチャー』のデロリアンに乗りカーチェイスするシーンや、『ジュラシック・パーク』シリーズのセルフオマージュなど、みどころを挙げればキリがありません。

よってこの映画は、1度の鑑賞では把握しきれない程たくさんのキャラクターが登場する作品を鑑賞したい方や、シャイニングの双子やチャイルドプレイのチャッキーなどホラー映画のキャラクターを、SF映画の中で観てみたい方にもおすすめ。キャラクターだけでなく、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のデロリアンバットマンバットモービル、『AKIRA』の金田のバイクなど、懐かしの乗り物も大集合です。

レディ・プレイヤー 1 [Blu-ray]

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  • 発売日: 2018/12/19
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レディ・プレイヤー1(字幕版)

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  • 発売日: 2018/07/25
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4. ピクセル

原題:Pixels/上映時間:105分/製作年:2015年

ピクセル (字幕版)

 あらすじ

時は1982年、少年サム(アンソニー・イッポリト)とウィル(ジャレッド・ライリー)の住む町に、新しいゲームセンターができた。サムはパックマンなど初めてするゲームでも難なくクリアし、周囲の子供の注目を浴びる。その頃アメリカでは、「第1回ビデオゲーム世界大会」が開かれる予定だった。この大会の記録映像は、NASAの宇宙探査機に乗せられ宇宙へ送られる。目的は、宇宙人との親交を試みることであった。

サムやウィルもこの大会に参加すべく会場に向かい、同じくゲーム好きのラドロー、エディと出会う。しかしサムは「ドンキーコング」の対戦で、惜しくもライバルのエディに敗れる。それから月日が経ち、少年らは大人になった。何とゲームが得意でなかったウィル(ケヴィン・ジェームズ)は、アメリカ大統領に就任している。

一方サム(アダム・サンドラー)は少年時代の敗北感が忘れられず、くよくよしながらホームシアターの設置をする仕事に就いていた。その頃正体不明の敵が、グアムのアンダーセン空軍基地を襲う。敵は、あらゆるものをキューブ化する能力を持っていた。大統領ウィルはこの破壊兵器が1980年代のゲーム『ギャラガ』と関係していると睨み、サムに協力を求める。

 

 おすすめのポイント

1982年にNASAが宇宙に向けて友好の印に送ったゲーム映像を、エイリアンが宣戦布告と勘違いし攻撃を仕掛けてくるという筋書きの作品です。エイリアンはなぜか「ギャラガ」や「ドンキーコング」のゲーム方式で戦闘を仕掛けてきます。そこで子供の頃にゲームが得意であったサムやラドローが大活躍、軍人らにゲームの攻略法を伝授するといった内容。

登場してくるゲームキャラクターはパックマンや、Qバート、フロッガーのかえるなど多数で期待値よりははるかに多くのキャラクターが登場。また本作品には、ファンタジー映画のキャラクター「スマーフ」なども少しだけ登場します。スマーフ、可愛くて好きです。またマリオがいつどこに出てくるか?などの楽しみ方もできるでしょう。

 

また劇中でのパックマンは意外にも悪役キャラ。パックマンの生みの親である岩谷徹役をデニス・アキヤマが好演しています。また本作品には岩谷徹本人もカメオ出演ゲーム&映画が好きな方なら、暇な時に鑑賞しておくと良いかも知れません。ただストーリー自体はハートウォーミングですが、手ぬるい感じもしなくはありません。

ピクセル (字幕版)

ピクセル (字幕版)

  • 発売日: 2015/12/23
  • メディア: Prime Video
 

5. LEGO ムービー

原題:The Lego Movie/上映時間:100分/製作年:2014年

LEGO(R) ムービー(吹替版)

 あらすじ

魔法使いウィトルウィウスモーガン・フリーマン)の所に、おしごと大王(ウィル・フェレル)が現れる。おしごと大王は、レゴの世界で最強の兵器「スパボン」を奪いにやって来たのだ。何でも固めてしまう「スパボン」は、自由な創造を楽しむマスタービルダー達にとっては、最悪のアイテムであった。ウィトルウィウスは、奇跡のパーツを見つけた黄色い顔の若者が世界を救うと予言する。

それから8年と半年が過ぎた。ブロックシティに住む主人公エメット(クリス・プラット)は、常にマニュアル通りの生活をする男だった。エメットは平凡な建設作業員であったが、それなりに日々の生活を楽しみ機嫌良く過ごすタイプのポジティブな青年。ある日エメットは仕事帰りの現場で、美しい女性ワイルドガール(エリザベス・バンクス)に出会う。彼女に声をかけようとしたエメットは、深い穴に落ちてしまった。そこでエメットは奇跡のパーツを手にする――。

 おすすめのポイント

本作品では知育玩具として知られる、レゴブロックの中の世界が描かれています。子供の頃レゴブロックで夢中になって遊んだ思い出がある方は、「ブロックの種類がたくさんあっていいなぁ!」とか「壊さなくていいなんて羨ましいなぁ」と妬ましく思うかもしれません。自分は子供の頃レゴで宇宙船(のつもり)を作ったあと、壊さなければならない時に広告紙の裏やらくがき帳にデッサンしてました。レゴがダイヤブロックなどと比べて魅力的だったのは、グレーやカーキなどシブい色があったことです。

 

さて『LEGO ムービー』がおすすめの理由は、同シリーズの作品が程良く出ているからということもあります。筋書きはおしごと大王による創造の自由と個人の個性の剥奪を、レゴマスターらが必死で食い止めようとする中、超平凡で平均的な男エメットが活躍するという内容のもの。

 

エメットは、最初観た時パッとしないキャラクターなのですが、ストーリーが進むにつれだんだん好感を持てるようになってきます。更にエメットやレゴワールドの邪悪な存在おしごと大王と、DCコミックスの人気キャラクターがクロスオーバーする作りにも満足。バットマンやグリーンランタン、スーパーマンワンダーウーマンも登場します。またDCコミックスのキャラクターだけでなく、アメリカのアニメのキャラクターユニキャットやスター・ウォーズハン・ソロなども登場し、ごちゃ混ぜの世界観が楽しめますよ。先入観からストップモーションアニメと思われがちですが、実は全てCG。

LEGO(R) ムービー(吹替版)

LEGO(R) ムービー(吹替版)

  • 発売日: 2014/07/19
  • メディア: Prime Video
 

6.ロジャー・ラビット

原題:Who Framed Roger Rabbit/上映時間:103分/製作年:1988年

ロジャー・ラビット (字幕版)

 あらすじ

ハリウッドの人気スターであるロジャー(声:チャールズ・フライシャー)は、最近スランプに陥りいつもの調子が出ないでいた。理由は妻のジェシカ(声:キャスリーン・ターナー)が浮気をしているのではという疑念によるものであった。アニメーション映画会社の社長であるマルーン(アラン・ティルヴァーン)は、ロジャーを心配し私立探偵のエディ(ボブ・ホスキンス)にジェシカの浮気調査を依頼する。

エディは弟を亡くしてからというもの、酒浸りの日々を送っていた。収入が必要なエディは乗り気ではないものの、ジェシカが働くキャバレーに張り込み、浮気の証拠写真をカメラに収める。浮気相手はトゥーン・タウンの持ち主であるマービンであった。妻の浮気に傷付くロジャーであるが、その翌日にマービンが何者かに殺害されてしまう。犯行はトゥーンによるものだと見られ、ロジャーは殺害容疑をかけられるが...。

 おすすめのポイント

鑑賞したのが随分昔の話で、もうあんまり覚えてませんが...(笑)

通常では、あり得ない組み合わせの共演が果たされていると言えるでしょう。 

『ロジャー・ラビット』は、実写とアニメーションが融合された世界を描いた1988年のクロスオーバー作品です。実写とアニメの融合作品は過去にも存在し、1965年の『メリー・ポピンズ』などが知られていました。しかし本作品はアニメのキャラクターであるトゥーンが、現実世界に存在しているという設定で物語が進んでいきます。

トゥーンらが「トゥーン・タウンに住んでいる」この構想が当時は新しく感じられ、優れたアイデアの作品として話題を呼びました。また『ロジャー・ラビット』ではディズニーやワーナー、パラマウント、MGMなどの売れっ子キャラクターたちが、クロスオーバー出演しているのも魅力です。劇中ではディズニーのミッキーマウスとワーナーのバッグス・バニーなどを同一スクリーン上で観ることができました。(だったと思います...)

ロジャー・ラビット (字幕版)

ロジャー・ラビット (字幕版)

  • 発売日: 2019/04/15
  • メディア: Prime Video
 

7. スペース・ジャム

原題:SPACE JAM/上映時間:87分/製作年:1996年

スペース・ジャム (字幕版)

 あらすじ

時は1993年、絶頂期であるマイケル(マイケル・ジョーダン)は突然引退宣言をする。彼はプロ野球選手への転職を試みていたのだ。ちょうどその頃宇宙の彼方にあるアミューズメントパーク「モロン・マウンテン」では、お客の入りが悪く経営困難に陥っていた。そこで社長のスワックは地球のルーニー・テューンズの人気キャラたちを、こき使おうと考える。

地球に現れた宇宙人らに捕らわれまいと、バックス(声:ビリー・ウェスト)らはある提案をする。それは宇宙人らとバスケの試合をして決着を付けることであった。バスケというスポーツを選んだのは、宇宙人らの身長が低かったからである。しかし宇宙人らはNBAの選手からパワーを吸い取り、偽の実力をつけ試合に出場しようとする。

 

 おすすめのポイント

「バスケットボールの神様」として知られるマイケル・ジョーダンルーニー・テューンズの仲間達が手を組んで宇宙人とバスケの試合をするという、かなり変わったコンセプトの作品です。その他のNBA選手らも実写+皆本人役で出演。ジョーダンの横にバックス・バニー達がちょこんといる光景が、微妙にパースの狂った絵を観ているようで良いですね。あとはゴルフ場で、ビル・マーレイが被っている不思議な傘とか(笑)シュールすぎます。なぜか好きなんですよこの映画。いろんな意味でインパクト大です。

 
確かに、マイケル・ジョーダンのファンの方がこれを観てどう思われるかは疑問です。でも1部の人達からは、カルト的な人気を得ているようですね。自分としてはどちらかというと、スラップスティックコメディを観て息抜きをしたい方なんかにおすすめしたいですが。また1990年代の雰囲気を持った映画や、ルーニー・テューンズ:バック・イン・アクション』など実写とアニメが融合された作品が好きな方にもおすすめです。

 

ちなみに『スペース・ジャム』の続編は、過去たびたび噂されていましたが遂に公開が決まったようです。タイトルは『Space Jam: A New Legacy(原題)』。アメリカでの公開は2021年7月の予定です。ジャスティン・リンに監督して欲しかったなと少し思う。でも楽しみですね。

スペース・ジャム (字幕版)

スペース・ジャム (字幕版)

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 

 8.キングコング対ゴジラ

上映時間:97分/製作年:1962年

キングコング対ゴジラ 東宝DVD名作セレクション

 あらすじ

パシフィック製薬の宣伝部長である多胡(有島一郎)は、自社がスポンサーをしているテレビ番組「世界驚異シリーズ」の視聴率に悩まされていた。そこで南太平洋にあるファロ島の「巨大なる魔神」を番組のネタにしようと考える。多胡はテレビ局員の桜井(高島忠夫)と古江(藤木悠)を探検隊として、ファロ島まで連れて行く。

ちょうどその頃北極海では海水の温度の上昇により、ゴジラが目を覚ました。多胡はゴジラが再び現れたことで、日本国民の注目がゴジラの方に向いたことが気に入らない。一方ファロ島では、島の住民たちが信仰している「巨大なる魔神」のキングコングが姿を現わした。多胡は、キングコングを日本へ連れて帰ることを思い付くが――。

 

 おすすめのポイント

自分はこの映画の公開時生まれていませんから、ゴジラシリーズについてあれこれ言うのはホントおこがましいのですが、若い方はもっとご存知でないかもしれないので一応挙げされて頂きます。東宝創立30周年を記念して製作された『キングコング対ゴジラ』はゴジラシリーズの3作品目にあたり、日本のゴジラシリーズにアメリカの人気モンスターであるキングコングを迎え入れた作品としても有名。またこの作品はゴジラシリーズの中では、でもあります。世紀の対戦とも言えるコングとゴジラのバトルは、当時人気であったプロレスを参考に製作されたと言われていて、確かにプロレスっぽいなと思いました。

 

一番好きなシーンはかなりのネタバレになるので言いませんが、みどころはたくさんあります。今現在の視点から言いますと、まずファロ島に着いた時の島民たちが密過ぎますよ。またそこから、キングコングを日本に連れて帰るシーンが特に良い。あとはパシフィック製薬の宣伝部長のキャラが、異様に濃いなぁと思いました。正に昭和の人という感じです。ファロ島に出現する大ダコが凄い迫力でした。

9. ニンジャバットマン

原題:Batman Ninja/上映時間:85分/製作年:2018年

ニンジャバットマン

 あらすじ

犯罪都市ゴッサムシティからジョーカー(声:高木渉)をはじめとする悪党らがゴリラ・グロッド(声:子安武人)のマシンによりタイムスリップした。着いた先は戦国時代の日本である。何とジョーカーは侍らを子分にし、歴史の改変を試みているのであった。ジョーカーよりも一足遅かったバットマン(声:山寺宏一)は、ジョーカーの悪行を食い止め、悪党らをゴッサムシティへ戻すべく悪戦苦闘する。

危機に陥ったバットマンに、日本の協力者が現れる。それは忍者集団の蝙蝠衆であった。

 おすすめのポイント

ジョ、ジョーカーが陽気過ぎる...。第一印象はそんな感じですが、そもそも戦国時代にバットマンという設定が異色過ぎて案外これはこれで良い。何か全体的にハチャメチャ感が凄くて、呆気にとられました。また後半になってくると分かるのですが、ジョーカーは本作品の中でもやっぱ凄い悪い奴。映像表現も具体的には言いませんが、細かいところまでこだわりが感じられる作品です。

 

なんせDCコミックスの人気キャラクターであるバットマンを、タイムマシンで日本に連れてくるあたりからもう既に滅茶苦茶だし、それを最後までぶっちぎりでやったところが素晴らしいと思います。更にストーリー終盤には、必要以上にデカいロボットが登場。タイムボカンっぽくもあり、こちらの気分も昭和にタイムスリップ出来ました。

 

ニンジャバットマン [Blu-ray]

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  • 発売日: 2019/04/10
  • メディア: Blu-ray
 

10.映画 妖怪ウォッチ シャドウサイド 鬼王の復活

上映時間:94分/製作年:2017年

映画 妖怪ウォッチ シャドウサイド 鬼王の復活

 あらすじ

かつて不思議な時計を持った少年がいた。その時計の名は妖怪ウォッチと言い、妖怪を呼び出すことができるものであった。しかし立派な大人になった少年は、妖怪の姿が見えなくなってしまう。妖怪ウォッチも妖魔界と人間界のバランスを崩す危険なものとして、時空のかなたに葬り去られてしまった。

そして30年の月日が経った。地球上の人々は「鬼まろ」と呼ばれる妖怪ウィルスに侵食され始めていた。「鬼まろ」は人の心の悪意に寄生し、その人間を恐ろしい鬼の姿に変えてしまうのであった。トウマ(声:千葉雄大)はおとなしいが、心に寂しさを抱え持った少年である。ある日トウマは不良らにカツアゲされるが、「鬼まろ」に憑かれたトウマは憎しみを増長させ逆に不良らを徹底的に叩きのめす。「鬼まろ」たちにそそのかされたトウマは、闇のアイテムである鬼眼ギアを受け取ってしまうが――。

 おすすめのポイント

過去の妖怪ウォッチシリーズから、一新したデザインや設定が本作品の特徴です。よってシリーズの中でもホラーテイストが強い、大人向けの作品と言えるでしょう。またジバニャンなどの妖怪のキャラクター表現は“ライトサイド”と呼ばれる愛らしい姿と、“シャドウサイド”と呼ばれるやや怖そうな姿に切り替わるシステムになっています。

 

ケータの時代の30年後という時代設定の中で展開する本作品の物語中盤には、古くから親しまれている妖怪アニメ『ゲゲゲの鬼太郎』のキャラクター鬼太郎目玉おやじねずみ男らが登場。目玉おやじや鬼太郎が出てくると、問題が無事解決しそうな気がしてきて、ホッとしました。ジバニャンと鬼太郎が同じスクリーンの中で並んでいる絵は、妖怪アニメファンには堪らない夢の共演であると言えるでしょう。

 

 

 

長い記事となりましたが、最後までお読みいただきありがとうございます!自分はこのような映画を観ることで、お気に入りのキャラクターが普段とは違った表情や側面を見せてくれるのが嬉しいです。密状態が恋しい方は、映画の中のガヤガヤ気分を味わってください。ウワッっと思うこと間違いなしです(笑)